二条河原の楽書

京都サンガF.C.を中心にJリーグを楽な感じで綴るサッカー忘備録(予定)

2013 J2第35節 京都vs長崎

2013-09-29 | 蹴球

京都サンガF.C.○2-0●Vファーレン長崎
13'バヤリッツァ
48'駒井善成

■影武者
 今、世間では代役のことを影武者と表現するのが(一部で)流行っているらしい。となると、この日体調不良で欠場した山瀬功治に代わってスタメンに名を連ねた宮吉拓実は、山瀬の影武者である。もちろん、山瀬と宮吉は違う個性を持ち、長所も短所も全然違う。宮吉の優れている所は、{ディフェンスラインとの駆け引き} {気配を消してからの抜け出し} {周囲への気配り}…あたりだろうか。しかしこのゲームの宮吉はどうもゲームに入れていなかった。サイドから中央に絞っていく動きをしても、それが効果的な攻撃に繋がっているかといえば疑問符が付く(相手への牽制という意味では効果的だった)。基本的にサイドにいるので、相手最終ラインとの駆け引きしようが効果も薄く…。山瀬の影になれず、宮吉としても周囲に上手く使われず、本領を発揮したとはいえなかった。影武者が落武者にならないことを願う。
 ところで宮藤官九郎氏の影武者の概念はちょっと間違っていて、本来影武者というのは、総大将の身なりをして一番目立つ所に身を晒して、敵勢を一身に引き付ける役目。護良親王の影武者となった村上義光などが有名だ。そういう意味では、相手を引き連れては身体を張ってファウルをもらっていた横谷繁こそ、素晴らしい影武者ぶりだった。

■じぇじぇじぇ!
 影武者(代役)といえば、酒井隆介は染谷悠太の代わりで出て好パフォーマンスを発揮し続け、今や京都の守備に欠かせない存在となっている。この日も相手に激しく寄せ、素晴らしいスピードでカバーしながら堅守を築いていった。
 このゲームをワンフレーズで言い表すならば「球際」。前半から長崎は寄せが速く、球際で決して負けない勇敢なチームだった。対する京都も球際に強く行き、競り合いでも酒井、バヤリッツァを中心に応酬。そしてオスンフンの「じぇじぇじぇ!」と驚くハイボールの強さ。長崎との対戦では、どうも守備陣が奮起するようだ。
 もっと「じぇじぇじぇじぇ!」っと驚いたのは後半からの福村貴幸の球際の強さ。危ないところに急行してはボールをさらって前に出す。2点目もそんなプレーが起点になった。けれども目を見張るべきは攻撃面よりも守備面の充実。これだけ球際で激しく行けるならば、頼もしいことこの上ない。
 後半、長崎は疲れて運動量が落ちたが、京都は落ちなかった。倉貫一毅と工藤浩平のベテラン勢のボールへの寄せも速く、寄せては返す波のように、激しく奪っては攻撃に転じることができた。守備の調子を上げていくことが、おそらく昇格戦線を勝ち抜く鍵。大木監督、わかってるじゃん。


〈京右衛門的採点〉
 オ 7.5 …クロスもシュートも防いで、止めて、弾きまくった。サンガの守護神、熱いよね~。
安藤 6.5 …自陣ゴール前から敵陣深くまで攻守に躍動。厳しい場面でも身体を張った。
酒井 7.0 …序盤にミスもその後は激しい守備で突破を防ぐ。前に行くバキとの関係も良好。
バヤリッツァ 6.5 …勇猛果敢な守備で空中戦得意の長崎攻撃陣に制空権握らせず。先制点も見事。
福村 7.0 …危ない場面に現れては救っていくスーパーマン。攻撃への貢献ぶりも大きかった。
秋本 6.0 …前半はミスもあったが、最終ラインのカバーで存在感。70分の大ピンチを防ぐ。
倉貫 6.5 …ボールの動く局面によく顔を出してはファーストプレス。安藤との補完関係も抜群。
工藤 6.5 …よくバランスをとりながら高い位置で奪う場面も。テンポを変えるパスも熟練の技。
駒井 7.0 …ガンガン仕掛けて長崎守備陣を退かせた。得点場面でも貪欲。運動量も途切れず。
横谷 6.0 …前線でよく身体を張ってキープ。もっと能動的に前を向ければもっと怖さが出るはず。
宮吉 5.0 …ボールが出てこないのか、受けに行けてないのか、攻撃に有効に絡めず。全体的に鈍し。
---------
三平 5.0 …右サイドで守備で追う時間が多かったが、決定的なシュートを外す。あーあ(ため息)。
中村 5.5 …プレスに突破に気合いは感じられたが、ミスも多し。打開するアイデアは持っている。
---------
大木監督 6.5 …相手の勢いをしっかり受け止め、最終的に走り勝つ展開。見応えある戦いぶり。