先日、京都に滞在した際、近いこともあって、堺町通り六角を西に少し入ったところにある大極殿に、2度、カキ氷を食べに行った。
東京では、カキ氷といっても、フラッペに近い、氷のツブが未だ粉砕されきっていない、粗いものしか食べられないことが多いのに、京都のカキ氷はあくまでも繊細だ。
京都のカキ氷の水準は本当に高い、と想う。
ところで、私には、今、お気に入りの京都のカキ氷・スポットが3ケ所ある。
祇園白川の小森、八坂の塔近くの文之助茶屋、そして、この大極殿だ。
懐石料理であれ、カキ氷であれ、それをいただくシチュエイションというのが大事だと思う。
たとえば、京都の街が白く見える真夏の昼下がり、
小森の薄暗い物音1つしない座敷に座り、スダレ越しに、キラキラと光る祇園白川の川面を眺めていると、
なにやら、幕末の志士にでもなった気分が味わえる。
あるいは、庚申堂から八坂の塔に向かう坂道(多分、京都でも一二を争う景観のはずだ)を、
汗を拭き拭き上りきり、文之助茶屋で口にするカキ氷は格別だ。
大極殿の場合には、堂々とした旧商家風の建物と、
風に揺れる入り口に掛けられたアサガオの染物の暖簾(大極殿の夏のシンボルとしてすっかり有名になった)、坪庭、みんないい。
とくに、薄暗い内側から、京町屋特有の格子越しに、
強い夏の陽差しを照り返す六角通りを見ていると、
今にも舞妓さんたちが格子の向こうを通り過ぎてもおかしくない、
白日夢のように、ついそう思ってしまう(地理的にまずありえない)。
いずれにしろ、この大極殿は、京都の拙宅に近いこともあり、今一番よく通う甘味処だ。