花と火の帝〈下〉 (講談社文庫) 価格:¥ 680(税込) 発売日:1993-09 |
花と火の帝〈上〉 (講談社文庫) 価格:¥ 680(税込) 発売日:1993-09 |
本書は、歴史小説界の金字塔の1つと評価の高い、
「影武者徳川家康」、の著者である、隆慶一郎さんの絶筆となった作品。
修学院をつくった後水尾天皇を主人公に、
天皇の隠密として働く、修業により超人的能力をもつにいたった八瀬童子が、
幕府の忍びや柳生一族と暗闘を繰り広げる物語。
隆慶一郎さんの作品には、
単にストーリーの面白さや、くの一の色香に頼っただけというものは全くなく、
どれ1つとっても、深い歴史研究に裏打ちされ、
しかも、歴史学者なら立場上慎重にならざるをえないような、
大胆な仮説を小説化しているから、はずされるということがない。
江戸幕府が、(禁中並公家諸法度の制定などを通じて)体制を固めていくという、
なじみの薄い時期を舞台に、
その謎めいた響きを聴くだけで無限に想像がかきたてられる、
八瀬童子という集団を、初めて小説化した、というので読んでみたのだが、
予想通り面白かった。
未完に終わったのが悔やまれる。