salt&pepper days 

ともすれば、子どもとの時間に埋もれそうな日々。でもやりたいことは他にもいっぱい。刺激を求めて悪あがき中。

本の感想・指にはご用心

2007-09-17 01:18:59 | 本・雑誌
昔、就職活動中に
電車の中でスリに遭いました。
ハンドバッグの中の財布をぬかれました。

でも今なら、見抜ける気がする。
もしかしたら、二人組とかだったかも。
チカン行為と思わせておいて
バッグがやられる、というパターンだった。

まず今なら、おとなしくチカンの餌食になる気はない。
なにかしら対処するでしょう。
そういう意味では、昔はウブだった…よう。

今回読んだ本と関係あるのは
チカンの話ではなく、スリのほう。

『神様がくれた指』(佐藤多佳子・著 新潮文庫)

この「指」はとんでもない商売道具ですね、まったく。
はた迷惑です。
といいつつ、起伏あるスリの人生、テクニック、
スリの世界の仁義というか、ルールみたいなものが
描かれていて、なかなか興味深い。

もうひとりの主人公は、占い師。
こちらもタロットを操る「指」が商売道具。
タロット、私は自分ではやったことないけれど
プロの方の手つきは、なかなか美しく
心ひかれるものがあります。

スリと占い師、どちらも
神様からもらった指で仕事をしながら
そこには葛藤や嫌悪も生まれる。

そんなふたりが、不思議な糸で引き合って
友情のようなものが芽生えて
とんでもない出来事に巻き込まれてゆく。
決して人に見せられなかった
それぞれが抱える苦悩によって
引き合ったふたり、ともいえそう。

こんなこと、あり? という展開も
なきにしもあらず、だけど
スリと占い師の仕事の
裏事情みたいなのが見え、楽しめました。

とはいうものの
占いはともかく、スリには気をつけなければね。
もう絶対、負けるもんか。