salt&pepper days 

ともすれば、子どもとの時間に埋もれそうな日々。でもやりたいことは他にもいっぱい。刺激を求めて悪あがき中。

本の感想・なんだかなーの生活が転換?

2007-06-20 15:05:03 | 本・雑誌
数年前に見た、フランスだかイタリア映画がおもしろかった。
そのわりに、タイトルの欠片も思い出せないんだけど…。

とにかく群像劇で、数人の登場人物が入れ代わり立ち代わり
話を繋いでいくスタイル。
たしか、ルームシェアしている若者たちの話で
あるアパートを舞台に展開していたような…。

「群像劇」というスタイルは
書くのも撮るのも大変だろうと思う。
それとも、一度流れに乗ってしまうと
そうでもないのかな。
共通項や繋ぎが効果的でないと
なんにもおもしろくない。
「で、だから?」って。

少し前に読んだ本について。
『ラッシュライフ』(伊坂幸太郎著・新潮社)

ある登場人物が遭遇する出来事が
次の登場人物の運命を変え
それがまた、間接的にほかの登場人物の心理に関わり…
という具合にリレーされてゆく。
いずれも、ある街を舞台に起こる
それぞれせっぱ詰まった人々の「ラッシュライフ」。

「ラッシュ」は、つづり違い(lush、lash、rash、rush)で
いろんな意味がたくさんあるそう。
「豊富な」「むちうつこと」「無分別な」「突進する」などなど。

この本の中に登場する人たちが抱えるもの、それは
怒り、やるせなさ、孤独、滑稽さ、あきらめなど。
それが、またさらに新たな怒りややるせなさを生んでゆく。
そのおかしみ。

ままならぬ人生に、乗り続けるか降りるか。
正解などない。
降りる=負けではないのだ、と気づく。

「誰だって自分の人生に関して、アマチュアなのだ」
という登場人物の言葉がいい。
アマチュアらしく、思いきりバットを振り、滑り込めばいい。

そうこうしているうちに
ひょんなことで、ありふれた日常にふと訪れる非日常。
「ラッシュライフ」は、誰の人生にもあてはまる。
誰でもハマりこむ現実なのだと、思う。