salt&pepper days 

ともすれば、子どもとの時間に埋もれそうな日々。でもやりたいことは他にもいっぱい。刺激を求めて悪あがき中。

読んだ本・踏切が趣味!?

2007-05-12 23:50:17 | 本・雑誌
風邪をひいて寝込んだ。
昼夜なく寝ていたら、へんな時間に目が覚めて
眠れなくなった。
熱もひいていたので、読書。

『踏切趣味』(石田千・著 筑摩書房)

読みかけの本が、この本でよかった。
まるで梅干おかゆのように
弱ってる心と体にじんわり、しみこむ。

踏切のある町へでかけて行き
踏切を観察し、歩幅で長さをはかり
その町の空気を感じながら
一句詠む…。

石田さんって…踏切好きなんですか!?
俳句をされていることは
これまで読んだエッセイで知っていたけれど
あっちの町、こっちの町へと出かけては
踏切を題材に詠むとは!

いくつか、私も降りたことのある駅
しかも、渡ったこともあると思われる
踏切も登場した。
けれど、私がそこで目も向けなかったものが
石田さんの視界にはちゃんと入っていて
いつもながら、そのまなざしに感服。

なんでもない日常のうまみ、面白みが
ぎゅぎゅっと詰まった文章は
残りページが少なく、読み終わりに近くなるにつれ
もったいない、と思わされるのもいつものこと。

ありふれた景色が、素敵な色に染まって見える文章。

踏切は、車の運転をするようになってから
「怖い」存在。
ちゃんと一時停止、窓開けて、電車の音、警報機の音を聞いてって
教習所時代にうるさく言われ、もちろん守っているけど
踏切を渡るときは、なんか怖い。

以前、使っていた駅近くには
人も車も交通量の多い踏切があり
そこが「開かずの踏切」でもあった。
片方が行ったと思うと、すぐ反対から電車が来て
朝夕、急いでいるときはホント、イライラ。
踏切の脇に、地下道へ行ける階段があり
埒があかないときは、そっちへ駆け込み
反対側へと通路を走った。

たぶん石田さんは、開かずの踏切でも
じっくり待つんでしょうね。
電車の乗客を観察したり
一緒に待っている人々を眺めたりしながら。

そういう余裕に憧れます。