京男雑記帳

洛中で生まれ育った京男が地元視点で見た日常風景や話を雑記的に掲載

松葉杖遍歴・・・最終形?

2013年06月16日 05時56分55秒 | モノ

↑2011年11月~2012年1月、病院からのレンタルの松葉杖、木製。レンタル期限が2ヶ月だった。私の母親に「あなた、こんなモッサイ杖をなぜ使っている」といわれたのがこの杖。

本日は、どこへ行くにもついてくる杖についての記録です。
自分でここまで付き合うとは思いもしなかった。
普通の骨折なら一ヶ月もすれば必要でなくなる松葉杖。
2011年年末には、必要なくなるとのことだった。
でも整形の主治医から許しが出なかったのです。
太股の骨の一番先端の丸い部分が骨盤サイドの骨を突き破った。
バラバラになった骨をチタンのプレートで止めてある。
その骨が固まるのに2年かかるのだそうです。
杖で補助しないと関節部分が削れてきて「痛みますよ」といわれています。
だからいまだに右脚の体重を50%以上かけられない。
だから松葉杖のお世話になるということです。


↑松葉杖トリオ
左/2012年1年~2012年3月、アルミ製折りたたみ式、重量1,200グラム/1本
中/2012年5月~2013年2月、マグネシウム合金製、重量610グラム/1本
右/2012年3月~2012年5月、アルミ製、重量800グラム/1本

そんな状態での松葉杖。
ひょっとして似た状態の人が検索されるかもしれないのでこういう記録を残して置きたいのです。
すこしでもお役に立てれば幸いです。

松葉杖トリオで最初使い始めたのが写真向かって左の杖です。
これは、二つ折りに出来るのです。シャフトにバネが入っていて結構反発力で前に進めた。当初、嬉しくなって病院のリハビリに通ったモデルです。問題は、重いこと。このお陰でバネ指になりました。私は薬指で持ち上げていたようです。それと二つ折りできるのはいいのですが、使っている内にガタツキがでてきた。それと音が結構する。大げさに言えばロボットが歩いているような感じです。

ガタツキと重さに耐えきれなくなり、写真向かって右のタイプにしました。
これはパラコードを巻いたおかげで立ち上がる時に重宝しました。(現在はトイレに配備してあります)
この松葉杖でもまだ重かった。

そこで写真真ん中の松葉杖にして見ました。
これは、マグネシウム合金製で軽かった。
最初のモデルからすると半分の重さ。これは優秀でした。

それでも坂道や平坦でない道(道の両端が同じでない)歩きにくかった。
清水寺の坂を経験されたことがありますか?
あれを毎日上り下りしているのです。
もちろん階段もある。バスにも乗ります。

ある時、京都にリハビリ要員を教育している人と食事をする機会がありました。
歩き方や姿勢を見てもらいました。
結果「ロフストランドクラッチ杖にするといいですよ」とアドバイスをもらった。
当然、ネットで調べました。
これが使えるとは思っても見なかった。
そこで、整形の主治医とリハビリ担当の方に聞いてみました。
使っていいとの答えをもらいました。
「なんでもっと早く言ってくれないの!」と思いました。


↑ロフストランドクラッチ杖
左/2013年6月~ ロフストランドクラッチ杖、カーボン製フルオーダー、重量450グラム
右/2013年2月~2013年6月、ロフストランドクラッチ杖、マグネシウム合金製、重量400グラム(石突きをカスタマイスしているので実質500グラム)

そこでロフストランドクラッチ杖の選定に入りました。
使い方が未知数なのでいきなりオーダーという訳にはいかない。
調節できて、軽いものを探す。結局、マグネシウム合金の松葉杖を作っているメーカーのものを手に入れる。
いままでも松葉杖と確かに違う。
松葉杖と違って自由度が高い。道路の高低に影響されない。杖を立て掛ける時、よく倒れる。真田紐と組紐でストラップを作ってもらったけど、あまり使うことはなかった。これは計算外だった。

カフ(腕を通す部分)の形状が色々あり、このカフの形はオープン・カフという形状。
最初、不安だったが慣れるとそうでもなかった。
他に、クローズ・カフというのがある。これは腕から外れないのが特徴。いいのだが、車の乗り降り、座席に座る時に不便だとおもった。しかも転んだ時、テコの原理で簡単に腕の骨が折れる危険性もある。
今回、フルオーダーで作ったものは、中間系のカフなのです。
使い心地は、まだ使い始めなのでなんとも言えない。


↑カーボン製ロフストランドクラッチの上部

マグネシウム合金のロフストランドクラッチ杖は、長さの調節ができるのはいいのですが、その機構が故に重くなり、壊れやすく、ガタツキが出てくる可能性があった。
長さをリハビリ担当の方に正しいかどうかを見てもらった。
この時点、つまり今年の2月では、まだカーボンで作るメーカーにであわなかった。
カーボンについては松葉杖の当初から思っていた。
松葉杖をカーボンで作れないだろうか・・・と。
結局、重量とシンプルな構造が一番と身体をもってわかったのです。


↑クラッチ部分、銀色の留め具がチタンの削りだしならなぁ・・・。

カーボン!!と強く念じておりました。
すると答えが返ってきました。
想えば実現するものですね。
素材の状態はわかるから、頭の中でイメージし易かった。
出来たイメージを頭に描き「うれしいなぁ~」と念じるのです。
そうしていったん忘れるのです。(これがコツ)
ある時、偶然、キーボードをうつ指がキーワードを売ってくれました。
でてきました!
それが4月下旬だった。
メーカーに電話をして直接受注できないとの答え。
作ってるもらえる窓口を調べるとなんといつも外来で行く整形に来ている。
これには、びっくりしましたね。


↑カーボンって凄みがありますね

それから一ヶ月、マグネシウム合金のロフストランドクラッチ杖を使ってテストしました。本当に使えるかどうか。
で5月の連休明けにサンプルをみせてもらって、カーボン製のロフストランドクラッチ杖を発注したのですよ。
発注する前に、整形の主治医に「まだ手術しませんよね」と確認しましたよ。つくってすぐに杖が入らなくなったら笑えないですからね。少なくとも半年は使わないと。

そんな経過で新しいカーボン製のロフストランドクラッチ杖が実戦配備しました。
現在、使い慣れるために、ひたすら歩いております。
もうこの杖以上はありません。
別にオープン・カフも発注してあります。
必要に応じて付け替えるためです。
専用のスリッパも追加発注しました。
スリッパは、日本の家屋に上がる時に必要です。
お寺に行ったりすると当然必要。いままでは、ウエットティッシュで石突きを拭いてから上がっていましたから。
またトイレ用のスリッパも考えております。
石突きを小さくしたのでオーダーじゃなく規制品で間に合います。



ながながと書いてしまいました。
結論は「軽さ」と「構造のシンプルさ」が一番大切。
歩くフォームをしっかりキープすること。
こういう新素材をもっと導入できるといいと思う。
高齢化社会になり、必要とする人が増えますからね。
優秀な道具を作ることができる職人さんを育て、世界中の必要とする方に届けられたらいいだろうなぁと思います。

それから今回思ったけど、このインダストリアルデザイナーもこういう分野に取り組んで欲しい。世界中の売れると思います。
いまの外国製品は、荒っぽいものが多いしね。日本人の感性を活かした物作りが世界に貢献できるように思います。
武器を作って売るよりいいと思うけどなぁ・・・。

家族からすると私はすごい道楽をしているように見えるだろうな。
でもね。これって使う身にならないとわからないのですよ。
私も想像もしなかった。
試行錯誤の一年半ぐらいでした。
また大手術をしたら杖は必要なくなるだろうけど、2年間使わないといけないのはかなり本人にとって厳しいものなんです。
どうか理解してください。なにも道楽でやっている訳ではないのです。
わかっていたら最初からカーボン製のロフストランドクラッチ杖を発注していました。わからなかったのです。

和菓子
中村 肇
河出書房新社

↑これから暫くの間、京男の和菓子本のお知らせをさせてもらいます。説明は1月27日の記事をご覧ください。(色のかわっている部分をクリックすると表示されます)

Twitter→@kyo_otoko
コメント (14)
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