薬害エイズを忘れない!

1500名の被害者を出した薬害エイズ事件が一応の終結を見て早10年。「薬害エイズってなあに?」と言う若者が増えています

薬害エイズの前史 薬害サリドマイド事件(1)

2005-09-25 20:14:24 | 薬害エイズに関する情報
【サリドマイド剤】
1957年 西ドイツのグリュネンタール社が睡眠薬「コンテルガン」として販売を開始しました。
1958年 日本でも大日本製薬が睡眠薬・つわりの防止薬「イソミン」としてサリドマイド剤を発売
1960年には胃腸薬「プロバンM」として販売開始しました。
このような一連のサリドマイド剤によって、多くの四肢奇形児が生まれた事件です。『薬害の原点』ともいわれ、日本人にとってほとんど最初の大型薬害経験でしょう。

【総被害者数】
198年の段階で、日本の生存被害者は309人。世界で生存被害者総数は約3700人といわれています。

【四肢奇形児とサリドマイドの医学的関係は1961年には分かっていた】
 当時各地で誕生していた四肢奇形児とサリドマイド剤の関係が明確に指摘されたのは1961年でした。61年11月18日、ハンブルク大学のW・レンツがデュッセルドルフの小児科学会で〈あざらし状奇形児〉の原因がサリドマイド剤にあると発表したのです。かれはその前に、西ドイツの販売メーカーであるグリュネンタール社に警告したのですが、拒否されていました。

【マスコミ報道で製薬企業の態度が豹変する】
 11月26日になって「ヴェルト・アム・ゾンターク」紙が、グリュネンタール社のサリドマイド剤「コンテルガン」を名指しして報道しました。すると同時に、グリュネンタール社は「コンテルガン」を市場から回収し、ヨーロッパ各地のサリドマイド剤もつぎつぎに回収されました。

【信じられない日本の企業と厚生省の態度】
 1961年12月5日にはグリュネンタール社の勧告が大日本製薬に届き、翌日厚生省と大日本製薬がレンツ警告について協議しました。ところが「有用な薬品を回収すれば社会不安をおこす」として販売続行を決めてしまうのです。

【その後も驚くべき怠慢と無神経さ 国民の健康を守ろうという気概が全く感じられない厚生省の対応】
 翌1962年2月23に「タイム」誌がサリドマイド被害の記事を掲載しますが、外国の危険情報が次々に入ってきたのにもかかわらず、その前日の2月21日わが国の厚生省は、亜細亜製薬のサリドマイド剤「パングル」に製造許可を与えています(何を考えていたのでしょうね)。
3月と4月になっても製造販売をやめない大日本製薬に対してグリュネンタール社が再度警告を発しています。

【マスコミが騒ぎ出して初めて「出荷停止」命令は出す。が、「回収命令」は出さない厚生省】
5月18日天下の?「朝日新聞」が、西ドイツのサリドマイド被害についてのボン支局の報告を報道したことによって、初めて日本のジャーナリズムがいっせいに動きだした。このため、「報道による混乱を防ぐため」として、サリドマイド剤を販売していた製薬各社がこの5月に出荷停止を厚生省に申し入れました。ところが、これはあくまで「出荷停止」にすぎず、すでに出荷された在庫品はそのまま薬局で売られていたのです!(回収命令なし!!)

【出されても徹底されない回収措置】
 やがてイギリスの有名な医学誌「ランセット」7月21日号に北海道大学の梶井正先生が、〈あざらし状奇形児〉七例の母親のうち五人がサリドマイド剤を飲んでいたとの論文を発表し、地元の研究会でも報告したことが報道され、9月13日になってようやく回収に踏み切ることになります。しかし、この回収措置は不完全なもので、地方の薬局には「イソミン」の在庫があったといいいます。

【しかも厚生省の責任を認めない厚生省】
サリドマイド禍に苦しめられながら、告訴から一九七四年の和解まで「十年裁判」と呼ばれる長い闘いが被害者と家族に待ち受けていました。
 損害賠償請求訴訟は1963年6月から各地の裁判所に提起されましたが、十年以上経った1974年10月に「全国サイドマイド訴訟統一原告団と厚生大臣・大日本製薬株式会社との確認書」が調印され、続いて訴訟上の和解が成立しました。
 確認書では、「厚生大臣及び大日本製薬株式会社は、・・・催奇形性の有無についての安全性の確認、レンツ博士の警告後の処置等につき、落度があったことに鑑み、右悲惨なサイドマイド禍を生ぜしめたことにつき、・・・責任を認める。」(法律用語・政治的用語とはいえ、まるで他人事のようですね)「厚生大臣及び大日本製薬株式会社は、訴訟上十年余に亘って、右因果関係と責任を争い、この間被害児とその家族に対して何等格別の救済措置を講じてこなかったことを深く反省し、・・・衷心より遺憾の意を表する。」「厚生大臣は、・・・悲惨な薬害が再び生じないよう最善の努力をすることを確約する。」と書かれています(そうか確約していたんだ! でもその一方では薬害スモン損害賠償裁判では、国に責任はない!と争っていたわけですね。二枚舌ってやつですか・・・)。
 この時の厚生省薬務局長松下廉蔵氏は、その後社長として、薬害エイズ事件の加害企業の一つ、ミドリ十字に副社長として天下り、非加熱血液製剤への致死的ウイルス混入情報、血友病患者への感染・発病の危険性が高いという情報をつかんでいながら、販売促進・在庫処分を行うことになります。


参考サイト
サリドマイド被害者の皆さんが組織した財団法人「いしずえ」のサイト
http://www.mi-net.org/yakugai/dacases/thalidomaid/thalidomaidmain.html
AAKIMASA.NET
http://www.terra.dti.ne.jp/~akimasa/index.html
その他

米国におけるC型肝炎治療ガイドライン 2002年版

2005-09-25 09:35:12 | C型肝炎治療情報
5年ぶりに改定された米国C型肝炎感染に関するコンセンサス会議の「Management of Hepatitis C: 2002」によると、今日の日本の治療方針につながる興味深い提言がなされています。

Ⅰ まず、C型肝炎ウイルス(HCV)があるかないかを定性的HCV RNA測定法によって確認しよう。またC型肝炎のウイルス量も調べること。

Ⅱ ペグインターフェロン+リバビリンの併用療法が通常選択すべき治療方法であること。
この治療法によるHCVの排除率(著効率)は、一般的に、
Ø HCV遺伝子型1の患者では40%~50%(従来型IFN単独治療では10%程度)
Ø HCV遺伝子型2および3の患者では75%~80%の範囲である。

Ⅲ GPT(ALT)値が正常値でも生検してみると軽度の病変が認められたり、持続的に(GPT)ALT上昇を示す患者の中でも、生検をしてみると肝細胞の線維化を認めなかったり、炎症性変化が軽微な患者もいる。これらの低リスク症例では、患者の選択を治療の決定に役立てるべきである。

Ⅳ 治療を遅らせる場合は、患者を定期的にモニターすべきである。

Ⅴ  肝臓の繊維化が進行した患者、既に肝硬変になった患者の場合、軽症患者(慢性肝炎の状態の患者)の場合よりも抗ウイルス療法(ペグインターフェロンを中心とした治療)に対して反応率(HCV排除率)は低いが、進行した線維化と肝硬変がある患者においても、抗ウイルス療法で病気の進行を遅らせることができるデータが出ている。