クリオ製剤とは、1972 年に承認された,血液の凝固因子だけを血液の中から取りだして開発された血友病の治療薬です。クリオプレシピテート(creopresipitate=低温沈殿物)とは、輸血の血液を低温処理したときの沈殿物のこと。乾燥処理されたクリオ(冷蔵保存)を,添付されている注射用蒸留水に溶かして,基本的には点滴で静脈注射します。中には自宅の冷蔵庫でクリオ製剤を保管し、自己注射していた血友病患者もいましたが、東京近辺や京都などの大都市の特定の医療機関の患者に限られており、全国的には「医療機関に受診して、点滴製剤として打ってもらう」が基本でした。
特に地方都市の医療機関に置いてあるクリオ製剤は(保管のコストや、小児から大人まで対応できるという観点から)一瓶100単位のものが大部分でした。したがって、小学校高学年以上になると(500単位以上の投与が必要な出血が増えるので)「病院の開院時間を待って受診し、点滴を5本打ってもらう」といった感覚でした。
国内の1~2人の供給者から少量作るので,それらの人の病歴がチェックでき,品質の安全を管理しやすい,血液凝固因子の純度が血液の数十倍~数百倍あり,少量の注射でよいなどの長所があるものの,大量生産できないという短所があります。しかし輸血よりも少量で迅速に処置ができ,血友病患者の社会参加に大いに貢献しました。血友病患者の平均寿命が20歳を超えるようになったのはこの時代以降の話です。
非加熱濃縮製剤が使用されるようになってからはあまり使用されなくなりました。軽症の血友病患者であればクリオ製剤で十分だったのですが、病院経営上、極めて少数回の治療のために購入・保管しておくのは不可能だったのでしょう。
特に地方都市の医療機関に置いてあるクリオ製剤は(保管のコストや、小児から大人まで対応できるという観点から)一瓶100単位のものが大部分でした。したがって、小学校高学年以上になると(500単位以上の投与が必要な出血が増えるので)「病院の開院時間を待って受診し、点滴を5本打ってもらう」といった感覚でした。
国内の1~2人の供給者から少量作るので,それらの人の病歴がチェックでき,品質の安全を管理しやすい,血液凝固因子の純度が血液の数十倍~数百倍あり,少量の注射でよいなどの長所があるものの,大量生産できないという短所があります。しかし輸血よりも少量で迅速に処置ができ,血友病患者の社会参加に大いに貢献しました。血友病患者の平均寿命が20歳を超えるようになったのはこの時代以降の話です。
非加熱濃縮製剤が使用されるようになってからはあまり使用されなくなりました。軽症の血友病患者であればクリオ製剤で十分だったのですが、病院経営上、極めて少数回の治療のために購入・保管しておくのは不可能だったのでしょう。