川端裕人のブログ

旧・リヴァイアさん日々のわざ

「PTAは任意団体だから任意加入」というのは間違いではないけれど、ミスリーディングだということ

2008-12-06 15:22:27 | 保育園、小学校、育児やら教育やら
R0010860ちょっとトリビア。
でも、意外に大切かもしれないこと。
しばしば聞くのだけれど、「PTAは任意団体だから任意加入」という言い方。
たしかにすべての任意団体は、任意加入だというのは、間違いないだろうけれど、ここで使われている「任意」という言葉の意味はそれぞれ違う。
混同しやすいけれど、別のこと。
軽く解説。
任意団体の「任意」は、法的な手続きを経ずに、自由に作り自由に解散できるという意味での任意性を言っている。

法人と対になる概念としての任意性。法人・任意団体の違いについては、このウェブページが一番分かりやすいと感じた。
http://www.city.nagareyama.chiba.jp/section/komyuniti/suisinsitu/npo/tsukuro/1-4.htm

その一方で、任意加入の「任意」は、個人が集団に属するかどうかが任意であることを述べている。

だから、任意加入であることを説明するのにわざわざ任意団体という言葉を使うなら……

PTAは任意団体だから、自由に作り自由に解散できるし、当然、入退会も自由である。

というところまでいって満点の記述になるんじゃないだろうか。

なんでこんなことが気になっているかというと……。

考えてみれば、わたしたちの社会で、大抵の場合、ある集団に属するかどうかは任意じゃないだろうか。

企業のような法人であろうと、もっとゆるやかなNPO法人であろうと、任意団体であろうと、本人の意思とは関係なく「一員」にされてしまう集団はきわめて少ない。

しいていえば、最近話題の裁判員制度がそうかも。
本人の意思をとわず(都合は聞いてくれるとしても)、裁判員グループに組み入れられる。
こういうことをするには、法律の後ろ盾が必要だし、この場合は裁判員法が作られた。

で、話は戻ってくるけれど、「PTAは任意団体だから任意加入」と言ってしまうと、どこか「我々の社会では、何か特別な場合でもないかぎり、自分が所属する集団は自分の意志で決めてよい」という大原則をスポイルしているような気がしてならないのだ。

それはかなり前からそう思っていて、本でも「任意団体だから」という表現は使っていない。

というわけで、あえて「任意団体」という言葉を使いたいなら──

PTAは任意団体だから、自由に作り自由に解散できるし、当然、入退会も自由である。

と言いませんか。

提案でもありました。

あるいはぼくの「任意団体」理解が間違っていれば、ご指摘を。

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