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オレに模型を作る時間をくれぇ~っ!

安倍首相の所信表明演説

2006-09-29 17:06:08 | マスコミ批評
 いずれ首相官邸のサイトに載ると思いますが、まずは防備録備忘録として。

消費税は「逃げず・逃げ込まず」=所信表明で安倍首相 (ロイター) - goo ニュース
2006年 9月29日 (金) 13:14

 [東京 29日 ロイター] 安倍首相は29日午後、衆院本会議で首相就任後初めての所信表明演説を行い「美しい国、日本」の実現や「再チャレンジ支援」の実施などを表明した。財政再建については経済成長を維持しつつ歳出削減を徹底するとし、歳出・歳入一体改革に正面から取り組む考えを強調した。

 一方、医薬や情報技術などの分野で長期の戦略指針を取りまとめることを表明。これまで具体性に欠けていた成長戦略について、やや踏み込んだ。ただ、税制改革の焦点になる消費税では「逃げず・逃げ込まず」との表現にとどめた。

 安倍首相は、自民党総裁選を通じて訴えた「美しい国、日本」の実現に向け、組織を整備することを表明。官邸機能を抜本強化するとともに改革を続行する姿勢を示した。

 小泉前政権から継承する財政再建については「歳出・歳入一体改革に正面から取り組む」とし、「成長なくして財政再建なしの理念のもと、引き続き経済財政諮問会議を活用して、経済成長を維持しつつ国民負担の最小化を第一の目標に歳出削減を徹底し、ゼロベースの見直しを行う」と表明した。

 2011年度のプライマリーバランス(基礎的財政収支)黒字化を実現するため、2007年度予算はメリハリの効いた配分にするとし、同時に「新規国債発行を今年度の29兆9730億円より下回るようにする」と明言。行革の推進で「筋肉質の政府」を実現すると同時に公務員の総人件費削減を断行するとした。

 道路特定財源は、現行の税率を維持しつつ一般財源化を前提に見直し、納税者の理解を得ながら年内に具体案を取りまとめる方針を示した。

 公共事業に関しては「これまでの改革努力を継続する中で、未来への投資となる必要な社会資本の整備を重点化、効率化を徹底しながら実施する」と述べた。

 安倍首相は、所信表明のなかには盛り込まれていないものの、規制緩和やイノベーションにより「実質3%」の経済成長が可能だとみているが、その実現については具体性が乏しいと、金融市場関係者やエコノミストらから指摘されていた。所信表明演説では「成長に貢献するイノベーションの創造に向け、医薬、工学、情報技術などの分野ごとに、2025年までを視野に入れた長期の戦略指針『イノベーション25』を取りまとめ、実行する」と明言した。

 また、地方の活性化にも資する海外からの投資を2010年にGDP(国内総生産)比で倍増する計画を早期達成させるため、アニメや音楽などのコンテンツ、食文化や伝統文化などについて国際競争力や世界への情報発信力を強化する「日本文化産業戦略」の策定を打ち出した。こうした施策で「今後5年以内に主要な国際会議の開催件数を5割以上増やし、アジアでおける最大の開催国にする」との方針を示した。

 こうした改革を実施しても対応しきれない社会保障や少子化などに伴う負担増に対しては、安定的な財源を確保するため、抜本的、一体的な税制改革を推進し、将来世代への負担の先送りを回避するとしている。

 しかし、消費税に関しては「逃げず、逃げ込まず」という姿勢で対応するとの表現にとどめ、これまで以上に踏み込んだ発言は見られなかった。

 再チャレンジ支援については「2010年までにフリーターをピーク時の8割に減らすなど、女性や高齢者、ニートの積極的な雇用を促進する」と述べた。

 再チャレンジする企業家には「資金調達を支援するとともに、個人保証に過度に依存しない融資を推進する」とし、資金面でサポートする考えを強調した。

 一方、外交に関しては、中国と韓国をはじめ、米国との関係強化の必要性を強調した。特に「中国と韓国は大事な隣国だ」としたうえで「両国との信頼関係の強化は、アジア地域や国際社会全体にとって極めて大切であり、未来志向で率直に話し合えるようお互いに努めていくことが重要だ」と述べた。北朝鮮問題も、拉致や核について従来通りの姿勢で臨むことを強調した。

 日米同盟については「基盤である信頼関係をより強固にするため、首相官邸とホワイトハウスが常に意思疎通できる枠組みを整える」と表明した。

 安倍首相はさらに「わが国の理念や目指すべき方向、日本らしさを世界に発信していくことがこれからの日本にとって極めて重要だ」とし、「国家としての対外広報をわが国の英知を結集して挑戦的に実施する」と述べた。

 物理学者のアインシュタインがかつて訪日した際に賞賛した日本人の美徳にも触れ、日本を魅力や活力に満ちた国にすることへの思いを訴えた。

 今の時点ではこのロイターの記事がいちばんよくまとまっていると思います。他社のは↓ですが、産経を除いてやはりなんつーか各社の分析とか論評とか希望(笑)とかが織り込まれていてどうにも読みにくいです。

経済成長維持し改革断行 安倍首相が初の所信表明 (共同通信) - goo ニュース
安倍首相が所信表明 集団的自衛権を研究、改憲にも意欲 (朝日新聞) - goo ニュース
首相が所信表明演説、集団的自衛権の事例研究を表明 (読売新聞) - goo ニュース
安倍首相:集団的自衛権行使の容認検討 初の所信表明-今日の話題:MSN毎日インタラクティブ
Sankei Web > 政治 > 安倍首相が所信表明 「改革の炎を燃やす」(09/29 14:15)

 ロイターの記事ではなぜか触れられていない、改憲とか集団的自衛権とかの話を朝日から抜粋。
【前略】
 首相は「世界とアジアのための日米同盟」をうたい、政府が禁じる集団的自衛権の行使について言及。「いかなる場合が憲法で禁止されている集団的自衛権の行使に該当するのか、個別具体的な例に即し、よく研究する」とする。国会論戦でしばしば紛糾の原因となる集団的自衛権に、国会演説で首相自ら議論を提起するのは異例だ。

 国会が発議する憲法改正についても「現行の憲法は、日本が占領されている時代に制定」されたと指摘。「新しい時代にふさわしい憲法のあり方についての与野党の議論が深められ、方向性が出てくることを願っている」として、憲法改正への道筋ができることに期待感を表明した。
【後略】

 ひと段落ごとに「朝日新聞の分析」がくっついてるので読みにくいったらないんですが(笑)。この件は他社はすべて触れています。読売なんかこのことしか書いてない的(爆)。なんでロイターは触れなかったんだろ。

 さてさて、その首相への取材のやり方を巡って。

Yahoo!ニュース - 時事通信 - 首相への直接取材「1日1回夕方に」=世耕補佐官提案、内閣記者会は抗議
 世耕弘成首相補佐官は27日午後、新聞、通信、テレビ局各社で構成する内閣記者会に対し、安倍晋三首相が立ちながら記者の質問に答える「ぶら下がり取材」について(1)原則、1日1回夕方に行う(2)首相官邸ホームページ掲載のため政府のテレビカメラも撮影する-と提案した。しかし記者会側は、小泉前政権時代に合意した1日2回の取材機会を減らすのは認められないと反論した。政府のテレビ撮影も「取材の場であり広報ではない」と拒否。継続協議することになった。 
(時事通信) - 9月28日1時0分更新

 取材は好きなようにやらせろ、だが取材されるのは断る! ということですか。いいご身分ですこと。そもそも前政権の時の合意事項は見直されてもいいんぢゃないですか? だいたいが、首相が呆れるような内容のない情けない質問ばかり繰り返してる、自分たち記者のアタマの悪さを棚に上げて何言ってるんだか。お粗末な内容の取材なら1日1回で充分、と首相官邸側に判断されても仕方ないんでね? しかもなんでその風景を映され公開されるのはイヤなんですか。普段「権力は監視されるべき」とか抜かしてるのであれば、“第四の権力”たるマスコミだって監視されるべきでしょうに。同じ権力どうし、公平にいきましょうや(笑)。どっちがウソついてるかは、“劇場の観客”たる我々一般国民が各人それぞれに判断させていただきますので。

 ところで、「安倍内閣は短命に終わる」という分析もあちこちで聞こえていますが、もしそうなった場合は次の首相には当然麻生閣下がなって欲しいもんです。で、その後でまた安倍っちが返り咲いたりしたら、それこそ『再チャレンジ』の具体例ということになるんかな? とかチラッと思ってしまいましたのことよ。

【18:43追記】
 首相官邸サイトに全文、載りました。(^o^)


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12 コメント

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文系偏重を辞めなきゃ (Maj.AGGRESSOR)
2006-09-29 19:13:53
 医薬にしろ、情報技術にしろ、テクノロジーの国際競争力を高め国の富の原資とする、そういう骨太の方針を持つのであれば、まずは技術者の待遇の大幅改善が重要じゃないですか。



 サムスン辺りは日本人技術者の頬を札びらで叩くようなヘッドハンティングをして、今日の競争力を築いた訳で、技術者の一人と事務屋さんの一人は、戦力として大きく異なること、理系優遇を推し進めることが必要です。

 理系の職業の社会的地位と待遇を引き上げなきゃ学生の理系離れは食い止められませんし、前途有為な学生が入って来なきゃ競争力もへったくれもありゃしません。



 まずは手始めに、官が範を垂れること。公務員と言っても技術者の技官、特に定数が充足されていないような特殊技能の技官については大幅な待遇・ポストの改善が望まれます。厚くするところと削るところのメリハリをつけて。
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あーそれは言えますね (KWAT)
2006-09-29 23:26:58
 理系の人ぢゃないと科学技術は発展させられないんですから、『成長に貢献するイノベーションの創造』をしたいのなら理系をもっと育てることは必須ですよね。



 それと同時に、企業に対しても自社の研究部門が上げた成果に対する報酬というものを、もっと技術者ひとりひとりのモチベーションを上げる方向に考え直すよう、働きかけていくことが必要でせう。寒寸、ちがうサムスン辺りに札びらで頬をひっぱたかれても、「ワシ財布はじゅうぶん膨らんどるけん」と大見得を切れるくらいの報酬を、成功報酬でいいからあげるようにしないと。



 このへん、官も民も給与に対する考え方をもっと大胆に改める必要がありそうです。もっとも、これがまた「格差を拡大させる」とかいってケチ付ける人がいるのもまた事実で。そういう向きをどう黙らせるか、政策が問われます。
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技術者と言うか (みほり)
2006-10-01 22:42:38
専門家の待遇をもっと考える必要があると思うのですが。

外務省であれば対象国の情報分析官とか、そういう「専門分野に特化した専門家」という人材は金に代えられない重みを持ったもので、そういう人材もまた、ある意味の技術者ではないかと思ったり。

職人というものが軽視される世の中を改革していく必要もあろうかと。資源に恵まれない国ならでは、の必要のはずなんですが・・・・
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自分自身がその系列だからかもしれませんが (たひらあ)
2006-10-02 00:45:46
技術系も、いわゆる現場系と研究系は、その思想というか哲学というか、同じ物事に対する取り組みや考え方自体が、大きく異なります。



研究系の人は、思いついたらとにかく試したがるんですね。

ダメならダメでいいから、とにかく試したがる。

データを欲しがる。

すぐに数字を欲しがる。

しかも採算度外視。



現場系というか、実際に物を作るほうは、まず何よりも、決められた基準に合致した物を、許された予算の範囲内(つまり採算ベースに乗る中で)、ただただ忠実に、ただただ淡々と作り続けることが最重要課題であって、つまみ食い的に思い付きを試すコトは、絶対にあってはならないコトなんですね。

それはデータじゃなく、数字じゃなく、経験と知識と勘に裏打ちされた、日々の努力の積み重ねであり、データ(数値)としての蓄積が出来る物事では無いのです。





団塊問題の一つ、というよりは一番大きな部分は、この「データ(数値)化」の出来ない技術、簡単に言えば「職人技」の継承にあるわけで、そこに力点を置かないうちは、結局は技術立国なんてのは絵に描いた餅でしょう。

研究者がどんなにすばらしい成果を残しても、それをモノに、カタチにして世に送り出すのは、現場でモノ作りに携わる職人たちなんですから。



何が言いたいかというと、研究・開発、生産、販売・流通、事務方、という全体のバランスがきっちりと釣り合った人材育成が必要なんです。

現在の日本は、完全にこのバランスが崩れています。

現場を派遣労働者や業務請負に任せ、正社員は事務方と研究・開発だけに絞るような今のカタチ。

現場系を「製造装置の部品」と位置付けた成れの果てが、「安価な部品」を求めた製造業の海外流出に拍車を掛け、失業率を押し上げた大きな要因だってコトを、よくよく肝に銘じた運営をしないと、永遠に好転なんぞしません。



「やりたいこと」と「やれること」の落差も是正する必要があるでしょう。

高学歴で高給取りのホワイトカラーが上級に位置するヒエラルキーの存在する現状は、大半の人から「やれること」の選択肢を奪い続けています。

本来の労働運動系左翼というのは、こうした状況の改善、職人が職人であることを誇れる社会を作ることに存在意義があったはずなのですが、左翼がサヨクに成り下がった現在は、それを期待することも出来ません。



「美しい日本」を再生することへの挑戦こそが、安倍政権の「再チャレンジ社会」と信じたいです。

錯覚なのかもしれませんが・・・。
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四角侵攻ぢゃないや資格信仰 (ゆずこせう)
2006-10-02 08:02:23
なんつうか、試験勉強をいっぱいやってテストの成績のいい子が勝ち組、ってえところがありすぎましたからね、この国。私らの10代の頃はまだ、入試の失敗を苦にして自殺、なんて今じゃもう希少価値な方も少なからずいらっしゃいましたし。それを思いとどまらせたり、励ましたりするのに「いい大学に逝くの『だけ』が人生ぢゃない!」なんて今から思えば、なにその閉塞社会、みたいなこと言ったり。



結局、これも煎じ詰めれば「官」のお仕着せに個人も家庭も企業も寄りかかってきたってえことのツケみたいなもんだな、と。団塊さんたちにしても「現状打破!!」(おっと今も言ってる人いるし!)って言ってるうちは「現状」に絡め取られてたわけで、結局今はその仕組みの中で経済的安住を享受するほうに逝っちゃったわけで、試験で評価されなかった俺らの見えないスキルを、って今更言われてもなあ、って気持ちがあります。



むしろ、コイツなにやってんの?とか、「おぢちゃんやおにいちゃんははたらかなくていいの?」なんて言われてもシコシコやってる奴の中に本当に目に見えない凄いチャンスやスキルが生まれているかもしれないと思っていますよ。ええ。



ビル=ゲイツがDOSの使用許諾契約書のサイン貰いに国中足を棒にして、それを横目に「なにあれプゲラ」と皆やってたんですが、ネット社会もそれ無しには今頃出来てないわけで。
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頭でっかちの国 (KWAT)
2006-10-02 10:15:20
 隣の半島国では「職人を蔑ろにする」のが伝統だったと聞きますが、我が国の現状もそんな感じになってきてるようにも思えますな。みんながみんなホワイトカラーを目指す社会になっちまったのがいけないんです。それがたひらあさんの仰る『現場を派遣労働者や業務請負に任せ、正社員は事務方と研究・開発だけに絞るような今のカタチ』に行き着いているんでせう。



 正直、ウチのような“現場”の会社は、上流にいる「現場を知らない正社員」によく難癖付けられるんですよ。そういう人たちに共通なのが、出来上がったモノに対する「こうであるはずだ」「こうでないと認められない」というリアクション。現場の経験がないから、図面を渡せばその通りのモノが寸分違わず出来上がってくると信じてる(笑)。オマエ1ヶ月でいいから現場やってみな?と言いたいのは山々ですが、それをやっちゃうと仕事が来なくなるからグッと堪えるわけです。でもまぁ、今はまだその上司の上司くらいは現場を知ってたりするんで、そこまで裏から手を回せればスムーズに話が進んだりすることもあるんですが、そのへんの人になるともうすぐ退職ってトシだし、そもそもそんな上の人と話せるのもウチの社長くらいのトシの人なんだよなぁ。orz
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ものをだいじにしないとばちがあたるお (ゆずこせう)
2006-10-02 19:53:46
一応、白襟隊の一員(でもなにげかクビになりますた(σ゜∀゜)σエーワセレント!! )だったのですが、現場知らずっつうよりもヘンにお鼻の高いお子たちにはずいぶん手を焼きました。



一応ん百人のプロジェクトのたかが中堅だっつうのに、「あのプラントはウリが作ったニダ!!」「現場はわからんのに言うこときかん、かんしゃくおこる!!」「●社長はすばらしいなりアンニョンハセオ」



これ、理系とか文系とか関係ないですね。むしろヘンに理詰めでオレ全部理解した、おまいらバカ、っていうのは理系に多かったり。



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理系文系とかいう前に (KWAT)
2006-10-03 16:53:03
 それ人間としてどーよ? という感じがしますなぁ。やっぱ教育改革は必要ですよ。うん。
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ついでに言うと (たひらあ)
2006-10-05 00:50:59
>>ヘンにお鼻の高いお子たち



ってのに限って、「トラブルの原因は人にある」って結論ありきで事に当たるんですよね。

いわゆる犯人探し。

んで、そういうのに限ってたいがい、当事者(鼻高小僧)がホントの原因だったりする(プゲラ)

でもね、「犯人捜してメデタシメデタシ」をやられると、それで解決したような空気になっちゃうから、解析を続けてると「しつこいよ!」なんていわれて・・・。

結局は原因探求が出来ないから、「同種不具合の再発」っていうすばらしいオマケが付いてきたり・・・orz
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誰のせいだ! (KWAT)
2006-10-05 21:55:02
 ってすぐに犯人探しを始めると、不具合の真の原因追及はできなくなりますわな。でも日本だと「オマエが悪い!」となるとそれで終わっちゃう。でも本当に「悪いのは“オマエ”」だけならまだマシですが、不具合の原因なんて大抵はそんな単純なことぢゃないでしょ。往々にして“オマエ”が悪かった点は単に「引き金を引いたこと」だけだったりするわけで。



 ・・・なんてこと、当事者の鼻高小僧には想像もできないんだらうな。(´ー`)フウッ
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