「つくつく日記」

NGO代表、空手家、学校の講師とちょっと変わってる私の日々の雑感をお届けします。

「RYRCの空手教室」~その1~

2005年06月03日 | 「武道の旅」

今日はフィリピン政府の社会福祉開発省(Department of Social Welfare and Development) 管轄下にあるRYRC(Regional Youth Rehabilitation Center) へ空手教室をしに行って来ました。日本語では青少年矯正施設。少年院みたいなものと言ったらわかりやすいでしょうか。

場所はパンパンガ州マガラン町です。この施設では昨年の11月から極真オロンガポ道場とACTIONで協力をして月2回の空手教室を開催しています。目的はこどもの更生と武道を学ぶことによって、社会復帰後に強い人間でいられるようにすること、そしてストレス解消です。

空手教室の参加者は毎回20人前後。こどもたちの入れ替わりが早いため、いつも5人程度新しいこどもたちが参加をします。前日からアンヘレス市在住の日本人の方宅にお世話になっていたので、一緒に施設へ向かいます。午前10時に施設についてからソーシャルワーカーの方と話をしばらくしていると、大きなバイクのマフラー音が響いてきます。



この空手教室を一緒に実施している極真オロンガポ道場のエルシルがやって来ました。以前に「押忍の心」で書いたイーグルのお兄さんで、昨年のフィリピン体重別(中量級)チャンピオンです。毎回オロンガポ市から2時間かけて来てくれています。上の左がエルシルです。

早速2人とも道着に着替えて、稽古場所のバスケットコートへ向かいます。コートに向かう途中はこどもたちの生活棟が並んでいます。その中から「オス!」「カラテ!」「オス!」という声が飛んできます。10時半から稽古の開始です。

空手教室を始めた頃は、落ち着きがなく稽古中の御喋りも多く集中力もあまりありませんでしたが、回数を重ねるごとにしっかりと整列をし、話を聞き、真剣に取り組むようになって来ています。これもエルシルがしっかり指導をしてくれている成果でしょう。準備体操から始まり、基本稽古、移動稽古、基本技の受け返し、体力作りを行います。



この空手教室では組手はさせていません。様々なバックグラウンドがあるこどもたちが集まっていますし、普段あまり仲の良くないこどもたち同士もいます。施設側の要望もあって組手は行っていません。その代わりに攻撃に対する受けを数多く行っています。程度の差こそあれ、ここのこどもたちは他人を攻撃した経験があります。

空手を攻撃するためのものとして教えるのではなく、あくまでも自分や自分の大切な人を守る為のものとして教えているため、まずは防御から入ることにしています。あくまでも自分からは攻撃をせず、出来るだけ戦いを避ける。もし相手が攻撃をしてきたら、それをきっちりと防御して逃げる。これがこの空手教室で教えていることです。

次回は空手教室の続きです。

最新の画像もっと見る