WALKER’S 

歩く男の日日

20日目 長珍屋(松山市)~マリーナシーガル(今治市)

2015-07-24 | 15年四国の旅

 6時04分、宿を出発。6年前も前日に八坂寺を打って48番に向かったのですが、その時は最短の道(久谷中学の前を通過する)を選択。今回は文珠院の手前で遍路道に入り、後はいつもの道を歩きます。


 6時25分、別格9番文珠院から1kmほど進んできたところです。確か昨年までは麦畑だったはず。


 6時49分、48番札所西林寺に到着、宿から44分55秒、八坂寺からのベストと、時速で換算して比較するとほぼ同じでした。昨日の三坂峠の下りでがんばりすぎたせいか右の踵にひび割れができたのですが、全く痛みはなく歩きにも影響は出ていないようです。
 境内にはぼく一人ではなかったのですが、静かに落ち着いてお参りができました。7時06分に出発です。


 7時34分、49番札所浄土寺に到着しました。
 西林寺から浄土寺までは、4巡目からずっと赤点線の遍路道ではなく、県道40号を直進しています。遍路道は歩道のない箇所があってかつ通勤の交通量が多くて3巡目の時に嫌になりました。やや遠回りになりますが歩道のある県道の方が安心です。ただ踏切を渡って左折すると歩道がないのですが、それも前回から線路沿いの路地を歩くようにして難を逃れました。
 この区間は、07年がベストであとの4回はいずれも1分遅れ、時速6.6kmを出さないとベストタイにならない厳しい区間、今回も初めから諦めていたのですが、結果は27分05秒でベストタイ、思ってもないいいタイムが出てしまいました。昨日の好調さが続いているようでいい気分です。
 浄土寺の大師堂でお参りを終え、納経所へ向かおうとしたら、すぐ先に納経帳がいっぱい詰まった袋を抱えた男性二人が納経所へ入っていくのが見えました。納経所では、結局20分近く待たされてしまいました。6番札所から始めて44ヶ所目、ちょうど折り返しで初めてです。受け入れるしかないのでひたすら静かに待たせていただきました、ちょっとした修行です。ぼくは歩くのは修行だとは思っていないので、初めての修行という感じです。今日は札所の数が多く距離も長いので、この20分は痛いなあと少し焦る思いもあったのですが、1日が終わってみれば、このおかげでちょっといいこともありました。
 8時05分に浄土寺を発ちます。


 8時20分、50番札所繁多寺に到着、ベストタイでした。タイの中でもかなり余裕のあるタイムでした。焦りが力になったようです。団体さんはまだ到着していません。1.5kmしか離れていないからつい警戒してしまいます。


 お参り納経を終えて山門に戻ってくると、ちょうど団体のバスが到着したところ、納経の二人は別働隊、乗用車で先に来て既に納経も終わっています。
 8時35分、繁多寺を出発、さあ次と気合いを入れ直したところで、車が止まって呼び止められました。「お遍路さんですか」と聞かれて、「はい」と答えると助手席の奥さんが出てこられて、納札とお地蔵さんのストラップを手渡してくれました。松山市在住の伊賀上さんご夫妻、納札の上には「祈・結願」と書かれてありました。早速次の札所でお遍路キティといっしょにザックにぶら下げました。今年25回目のお接待、浄土寺で待たされなかったら出会えていなかったでしょう。


 8時59分、51番札所石手寺に到着、繁多寺から22分14秒、ベストより1分早い。時速は6.78km。県道40号に下りてきてからは幅員が狭く歩道がなくて歩きにくい箇所もあるのでこれだけのスピードは自分でも信じられないくらいです。お地蔵さんの御利益があったのか、昨日の大浴場で思い切り時間をかけてくつろいだのが良かったのか。
 到着する少し前、女性の歩き遍路さんを追い抜きました。一人で歩いている女性は本当に少ない、ここまで200人近い歩き遍路さんと出会ってその内5人くらいだったでしょうか。


 石手寺で初めての休憩、たっぷり30分ほど休んで、9時40分に出発です。道後温泉は携帯で撮ったので撮影しませんでした。松山大学グラウンドを抜けて300mほどの所にある、松山御幸町郵便局で百円玉16枚下ろします。明日もお参りは6ヶ所です。


 11時29分、52番札所太山寺の山門に到着、石手寺から10540mを97分48秒、ここへ来てベストより3分遅れですが、時速は6.47kmだから全然悪くはありません。
 もう一つ先の山門をくぐって境内に上がると、本堂で、白人の夫婦がお参りを始めるところでした。なんと、手製の経本を見ながら般若心経を読み上げています。大師堂に行くとちゃんと線香灯明も上げていました。挨拶だけはしたのですが、さすがに話しかけるまでには至りませんでした。今日はおそらく道後から、それでこの時間というのはずいぶんゆっくりですが、その分味わいもじっくりでしょう。北条までならあと12kmだから十分です。
 納経を終え再び山門に戻ってきたのは12時01分。休憩をとらなくても30分かかる広い敷地。
 次の札所までは山門からちょうど2km、途中で今度は日本人の夫婦に追いつきました。こちらも味わいながら歩いています。タイムを気にしながら前しか向いていない自分がバカみたいに思えたりします。


 12時20分、53番札所円明寺に到着、太山寺から18分29秒、ベストタイでした。ベストタイにするには時速6.58kmで歩かないといけないので最後はちょっと無理矢理でした。距離が短いときにはそういう小細工をすることもあります。
 ここでもちょっとした修行がありました。納経所ではなく、ほんのちょっとしたことで怒りがこみあげて、十善戒をおかしてしまいました。その直後思いもかけない失敗をしてしまい、罰はてきめんだと思い知りました。この数日後にも同じことがあって、その時は本当に痛みを伴う罰を受けました。怒るということは普通のことで間違ってはいないのだけれど、それをねに持ったり、ため込んだりしても何の徳にもならない、ましてお遍路の最中ともなるとすべきことがいっぱいある、その集中力を削ぐようなことはしてはならない。受け入れるか、それができなければ軽く受け流すようにした方がよい。歩いて、お参りをして、休んで、食べて、それの繰り返しだけのようだけど、全て意識を持って、力を注いで行動してきたのだと、少し判って、また本当のお遍路さんに一歩近づけたような感じがしました。

 円明寺では15分ほど休んで12時50分に出発、今日のお参りは6ヶ所完了したのですが、あと20km以上残っているので、16時までに宿に入ることはできません。
 円明寺から250mの踏切を渡った所で、先に出たご夫婦が立ち止まって地図を眺めています。どう見ても迷っているようなので声をかけました。踏切の先は区画整理で昔の道がなくなって、道しるべや遍路シールもないので迷う人がいても不思議ではありません。一緒に県道347号まで歩いてあげれば良かったのですが、そこまでの余裕はなくて地図を見ながら大体の方角を教えるだけになりました。地図が苦手な人には、確かに判りにくい。今の地図はどうなっているか知らないけれど、ぼくの地図では県道347号に出てJRの上を越えたあと脇道に赤点線が付いていて、これも一つの迷い所になるかもしれません。347号に出る手前の橋がまだ工事中で、これも初めて来た人にはどうしたものかと思うかもしれません。仮歩道を渡って直進すれば347号だけど、左折する道の方に赤線があるし、どちらでももちろんいいのだけれど、ややこしいといえばややこしい。
 円明寺からの赤線の道は一通り歩いたけれど、今は347に出た後はそのまま脇道には入らず県道を歩きます。距離が長くなるとどうしても近道を選びがちです。
 気持のよい海の歩道を抜けて、光洋台駅の所で国道に入ります。国道にも赤線が付いていますがこの道を歩いているお遍路さんに一度も出会ったことがありません。一度バイパス(国道)を歩いてしまうと、県道347号(旧国道)には戻れません。旧国道は4回歩いたのですが、北条までのタイムはとっていなかったので比較はできませんが、バイパスを歩く方が5分くらい早いのは間違いないと思います。海鮮北斗からの旧国道は久万からレストパーク明神までの道より歩きにくいはずです。

 円明寺から光洋台駅まで5297m、光洋台駅から国道196号を歩くと北条郵便局まで5897m。へんろ地図を見るとバイパスの方が遠回りのようにも見えますが、実際は距離の差はほとんどありません。ただ北条の宿に泊まる場合は少し遠回りになります。その場合でもぼくはバイパスを歩くでしょうが。
 14時45分、北条郵便局到着、円明寺から104分38秒、ベストより1分遅れでした。とはいえ時速は6.42kmだから十分な歩きです。動きは悪くないからタイが出てもおかしくないと思いながら歩いていました。バイパスを歩いた1回目と2回目は郵便局で休みましたが、3回目は日曜日で休めず、前回は鎌大師で休みました。今回も夏みかんのお接待を期待しつつ鎌大師で休むことにします。
 郵便局から鎌大師まで1850m、17分20秒。この間タイムをとったのは昨年だけ、その時より40秒早いタイムでした。到着する少し前に前を行く歩きの人が入っていくのが見えました。到着するまでに追いつきそうだったのですがバイパスの交差点で信号待ちで離されてしまいました。
 今日の宿を聞くと、ぼくと同じマリーナシーガル、今日は道後からだから31kmほど歩く人です。明日は仙遊寺宿坊、その次は小松の同行民宿。やはり仙遊寺から小松というのはスタンダードになりつつあるようです。丹原の栄家旅館は昨年ぼくは臨時休業で断られたし、食事はできなくなったようだから、どうしても小松に流れてしまう。国道を歩けば24kmだからほとんどの人が無理なく歩ける距離でもあります。でもそうすると三芳の手前から丹原にかけての感じのいい遍路道が歩けなくなってしまう。あの道をはずすのは歩き遍路としていかにももったいない感じがします。
 小松に泊まると横峰寺は本来の下り道で登って、下りも同じ道というのが近道で多くの人がそうすると思いますが、ぼくは敢えて遠回りでも本来の登り道を歩くようおすすめしました。小松から国道11号を西へ4km、ファミリーマートの手前の交差点で本来の遍路道に合流、ここからここまでが何kmで、何分くらい、と全区間教えてあげて、普通に歩いても十分余裕をもって小松まで戻ってこられるとアドバイス、丹原の道も歩かない、横峰の表参道も歩かないでは、本当につまらない。
 その人は横峰を下ってから、翌日にはバスとロープウェイで石鎚にも登るそうです。ぼくはまだ登っていないから、思わず「うらやましい」と声に出してしまいました。
 鎌大師では美味しい夏みかんもいただいて22分ほど休みました。話も盛り上がって予想外の長居になりました。
 15時24分に出発、十分休んだので目の前の峠越えはいつになく足取りは軽く、浅海まで24分48秒、郵便局からのトータルでベストより1分早い。15時50分、浅海から宿のある菊間までも、気力は衰えず46分06秒、ベストよりは2分遅れですがそれは朝一番で歩いた記録、午後から歩いた5回の中では一番いい記録でした。時速は6.51km、40km近く歩いた後なら6.2kmでも十分満足のいく速さだから最高といってもいい状態です。
 遍照院のすぐ近くにあるコンビニで夕食朝食を調達、二日続きの素泊まりです。


 16時42分、本日の宿マリーナ&ホテルシーガルに到着。札所も多く、距離も長く、休みも長く、納経も長く、いろいろあって予想より大部遅くなってしまいました。入るところが判らなくて建物の周りを1周したのですが、左のオープンスペースから中に入って左の奥にエレベーターがありました。1階はボートや機材がいっぱいおいてあって、ちょっと入っていけないような雰囲気もありました。エレベーターで上がるとそこは普通のホテルの雰囲気、フロントの女性に聞くと、今日は2人、昨日は4人、大体2人くらいの日が多いということでした。営業はだいぶ前からしているようだけれど、へんろ地図には記載されていなくて(新しい地図には記載)存在を知るお遍路さんは少ないようで、月の家旅館が廃業になってからは、ここまで歩いて、電車で北条や大西の宿まで行くという人に2回会いました。この存在がもっと一般的になればさらに需要は伸びるでしょう。部屋は普通のビジネスホテルの2倍はある広さにベッドが二つ、使わないベッドの上に全ての荷物が並べられるので、普通のビジネスのように忘れ物をする心配もありません。素泊まりのみ4320円。

 20日目の歩行距離  45.7km
      歩行時間  6時間57分
      平均時速  6.56km   初日に次ぐ速さ

この記事についてブログを書く
« 19日目 笛ヶ滝(久万高原町... | トップ | 21日目 マリーナシーガル(... »