WALKER’S 

歩く男の日日

16日目 民宿磯屋(愛南町)~民宿みま(宇和島市)

2015-07-14 | 15年四国の旅


 朝食も豪華、これだけの品数を揃えてくれるのはぼくの知っている限り善根宿うたんぐらだけではないでしょうか。聞いたところでは、砥部町のたちばな旅館はもっとすごい朝食を出してくれるようですが。なんといってもスクランブルエッグがうれしい。定番の玉子かけご飯も嫌いではないけれど、3回に1回で十分という感じ。ポーチドエッグや目玉焼き、玉子焼きもいいけれど、やっぱりスクランブルが一番。同宿の女性は、これだけのものを朝から用意するのは大変でしょう、と女将をねぎらいます。でも朝はあんまり食べられないので大部残していました。ぼくは上手は言えないけれど、出されたものは全て残さずいただきます。それが礼儀だと思っています、十善戒より大切なことだと思っています。普通に考えれば、ぼくたちはお金を支払って泊めて貰うお客に過ぎないし、出されたものをどうしようとそれはお客の自由、でもぼくはそう思わないことにしています。それ以上の思いを持ってぼくたちをもてなしてくれる宿には、それなりの敬意を払わない訳にはいきません。他の人はどうか知らないけれど、ぼくは宿がないことには絶対歩けない。極端なことをいえば札所がなくても歩けるけれど宿がないと歩けない。

 夜明け前から雨が降っていますが、レーダー画像を見ると雨の地域は固まっていなくてまだら、うまくいけば止みそうな感じもあったのですが、食事が終わってもまだ降っています、でも雨足は強くはなく激しかった南風も大分おさまっています。同宿の二人はがっちりレインスーツを着込んでいます。食事の前はすごい風だったので初めて合羽の出番も覚悟したのですが、何とか傘をさしても普通に歩けそうです。同宿の女性はぼくのザックの小ささに感心しています。納経帳、線香、ろうそく、写経も入っていると言うと、「写経もですか」とびっくり、
 6時48分、3人そろって宿を発ちます。
 旧内海町の柏のバス停まで8.5kmの間に、昨日満倉小学校の手前で追い抜いた人と,Eさんと、足摺の手前ですれ違った白人女性を追い抜きました。時々傘をあおられるような突風もあるのですが、だいたい追い風なので歩きにはほとんど影響ありません。
 8時12分、柏のバス停に到着、宿から81分50秒、ベストより3分遅れでした。雨のせいではありません、ベストを出したときも雨が降っていましたから。あのときはもっとひどい雨だった、おそらくこの差は気温の差だったのかもしれません。あのときは柏から国道を歩いて須の川の休憩所で寒くて長い時間休めなかった記憶があります。今回は太平洋から雨雲と一緒に暖かい空気がどんどん送り込まれている状態、特に暑さ、暖かさは実感しないけれど、全く寒くはありません。
 しばらく休んでいると白人女性が目の前を通り過ぎていきます。柏坂に入らずそのまま国道を行きます。山越えの道の入り口だと気がつかなかったのか、初めから国道を歩くつもりだったのか、声のかけようもありません。
 8時30分、バス停を出発、柏坂に向かいます。山の頂上付近は一面雲がかかっています。前回この道を歩いたのは6年前で、その時は全く調子が出なかった。野口雨情の都々逸のパネルを全部撮影していたのでそれで調子を崩したのかもしれません。
 その時よりは気持ちよく歩きたいとは思ったのですが、6年ぶりの山道はほとんど記憶に残っていなくて、完全に歩かされている感じです。雨は完全にあがって傘を杖にすることはできているものの、全く足が伸びる感じはしません。今年の焼山寺と同じで湿気のひどさが影響しているに違いありません。いつもは休まない最初の四阿で休憩をとってしまいました。
 タイムチェックポイントの展望台まで、61分20秒、ベストより5分遅れ、6年前よりは2分早いですが、かなり残念。

 柏坂にははっきりした峠がないので柏峠ではなく柏坂というのかもしれません。ぼくが休んだ柳水大師とその先の清水大師の間に最高地点がありますが、このあたりはおおむね平坦なのでそうなったのでしょう。清水大師の少し先に展望台(崩壊しかけていますが)があって、そこがタイムチェックポイントで、今まではそこで休憩していました。今回は柳水大師で休んだので、タイムをメモしてすぐに出発です。9時45分です。
 これまでの雨で足元が危ないので、スピードは完全に無視してとにかく転ばないようにくじかないようにと慎重に下ります。


 長い柏坂の下りはやはりいいときの歩きとは大部違う感じです。下に下りてきても足取りがちょっと重いかもしれません。
 11時24分、自転車道に入って津島の町も大部近くなってきたところに見慣れないトンネルができていてびっくり。昨年自転車道が不通になっていたのはこの工事のせいだったということですか。


 11時34分、いつもは津島大橋を渡ったところにあるスーパーで買い物をして休憩もとるのですが、今回は橋の手前にあるローソンにふらふらと倒れ込むように入ってしまいました。スーパーの入口の近くにあるベンチは灰皿もあるので昨年は不快な思いをしながら休んだということもあるし、こちらのベンチには灰皿はありません。おなじみのコンビに加えて贅沢をしてしまいました。飲料を買うのは今年初めて、よく我慢したものです。今日は距離が長いし山越えもあるので宿から持ってきた850ccだけでは足りないことは判っていました。コンビニのトイレで汲ましてもらうことも考えたけれど、かなり疲れていたので自然に手が伸びてしまいました。
 15分ほど休んで11時50分にコンビニを発ちます。津島大橋を渡りきったところでタイムチェック、展望台から111分23秒、ベストより5分遅れでした。でも前回この道を歩いた6年前よりは4分早い、6年前はどれだけひどかったんだという感じですが記憶はほとんどなくて、自転車道のあたりで思うように足が出なかったということだけうっすら残っています。なぜそうなったかは全く判らないまま。判らなくてもとにかく前を向いて歩き続けねばならない。
 津島郵便局で百円玉を下ろす予定だったけれど、買い物のおつりで大部ストックできているのでパスします。
 松尾トンネルの少し手前で男性を追い抜きます。柏の近くの宿から来たと思われます。レインスーツもつけて山越えもあったので相当疲れている感じです。柏から宇和島駅の近くまでだと30km、今日のコンディションだと普段の2割り増しというところでしょうか。
 最初の予定では峠を越えるつもりで、タイムメモもそちらのタイムを書いていたのですが、宿の予定が変わって6km多めに歩くことになったのでトンネルを歩きます。松尾トンネルはへんろみちでは一番長いトンネルだけれど歩道もしっかりあるので苦手ではありません。今回で6回目になります。
 トンネルをくぐると雨でした。柏のバス停から全然降っていなくて、もうこれで完全に上がったと思っていたからちょっとがっくり、とはいっても傘を開くだけだから大した負担にはなりませんが。2kmほどすすむと前を行く歩き遍路の団体が見えました、その数9名。全部歩くツアーもあれば、バスツアーで一部分(昔ながらのへんろみち)だけ歩くのもある。松尾トンネルを抜けて宇和島の町まではふつうの歩き遍路でも苦手にする人が多いから、ここを歩くのは全歩きのツアーに違いないと思ったけれど、いろんな事情があるだろうから本当のところは判りません。彼等は右側の歩道、ぼくは左側の歩道を歩いていたので、挨拶する手間も省けゆうゆうと追い抜くことができます。


 13時09分、開店間近のユニクロの前を通過、新しい風景を見るとなぜかカメラを向けてしまいます。


 その向かいにあるヤマダ電気は6年前来たとき開店間近だった、この店舗は残るのでしょうか。


 14時00分、宇和島の中心に入ってきました。国道の歩道は狭くてやっぱりすごく苦手、久万高原から明神レストパークまでの道と双璧です。


 14時13分、宇和島駅から南へ延びる大きな商店街に入ります。今年も健在、島崎和歌子さんはぼくが初めて四国に来た12年前からずっと四国銀行のイメージキャラクターをつとめています。


 14時18分、別格6番龍光院に到着、津島大橋から138分24秒、ベストより9分遅れでした。今日はこういうもんだと思うしかないですね。昨日が良かっただけに首をひねる部分はあるのですが、この時点では天気気温の影響は考えませんでした。歩き直したい気は満々だけれど、来年は観自在寺からは宿毛街道中道、満願寺からは県道46号を歩くので、歩き直しは当分できません。


 14時20分、宇和島駅にやってきました。駅の写真も、鉄道唱歌の歌碑も、闘牛の像も前に撮ったので気持は動かず、400年祭のポスターに目が留まりました。
 待合室で休んでいたら、昨日観自在寺の前で会った男性がやってきて案内所の人になにやら尋ねています。ぼくの方にやってきて、今日はバスに乗って早く着いたので宇和島城などを見学していたと少しきまりわるそうに言います。他の人がみんな歩いているのに自分だけバスに乗って、という気持は当然あるでしょうが、お遍路はそれぞれの人のものであるし、自分が納得していればどんな巡り方をしても引け目を感じることなどありません。この区間は札所がないしバスの便も多いので、バスを利用する人に何回か会ったことがあります。ぼくも、来年は電車バスを利用して少し楽をしながら巡ろうと思っています。
 たっぷり30分休んで、14時50分に出発です。


 宇和島駅から33分、県道57号を歩いていたら、見事な藤の花。ここを歩くのは7巡目までは5月になってから、昨年は1週間早かったので、初めて見ます。
 この少し手前、クアホテルが工事中で閉まっていました、改装のための休業かとも思ったのですが、帰ってから調べると今年の3月に廃業したようです。


 16時20分、務田駅の近くにある民宿みまに到着、初めての投宿です。
 龍光院から8213mを82分24秒、ぎりぎり時速6kmに届きませんでした。前半から不調だったし、予定より距離が6kmも延びたから、がんばった方でしょう。延びた段階で電車に乗ることも考えたけれど、疲れたけれど足を痛めることはなかったから乗らないで正解でした。


 食事は部屋食で同宿の人と顔を合わすことはありません。夫婦連れと、女性一人、女性は明日の電車の時間を尋ねていたから、全歩きではないようです。今日は雨具をつけて到着したので、仏木寺まで歩いて戻ってきたようです。歯長峠を回避するために務田から北宇和島に電車で戻って乗り換えて卯之町まで行く。夫婦連れははっきり確認したわけではないけれど車で巡っているようでした。
 食事は中央の南蛮漬けは美味しかったのですが、それ以外はことごとくぼくの口には合いませんでした。刺身がいまいちというのは何回か経験がありますが、ここまでそろって美味いと思えなかったのは初めてです。もちろん全て残さずいただきましたが。でも、味は好みだから、ぼくの味覚が絶対だとは思っていません。この味が好きだ、美味しいと思う人もいるでしょう。2食付き6500円。

 16日目の歩行距離  46.1km
      歩行時間  7時間55分  4日ぶりの不調
      平均時速  5.84km