新型コロナウイルスの感染は、緊急事態宣言解除後に猛烈なスピードで、全国津々浦々に拡大しています。
その原因は、リンクを追えない無症状感染者からの感染が増加しているからです。
緊急事態宣言解除後の発生源のひとつ、新宿歌舞伎町のホストクラブやキャバクラの従業員に実施したPCR検査の結果、陽性だった感染者のほとんど90%以上は無症状だったとのことです。
国や都道府県が発表する感染者数は「氷山の一角」にしかすぎません。
感染している自覚がないまま、濃厚接触しながらの接待を伴う接客を繰り返していたのですから、客は感染を疑うことなく生活する中で、家族へ、職場の同僚へと2次、3次感染を広げていったこと、10日から12日といわれる潜伏期間中に無症状の次々と感染を広げているのが、これまでの新規感染者の最多を次々更新する現在の状況になっています。
感染拡大を防ぐには、PCR検査を徹底的に行い、隔離して治療する以外にないことが分かっています。
諸外国では、民間医療機関やドライブスルー方式など、多種多様に方法で、1日数十万単位で行われていますが、わが国では1日2万件、東京都では1日1万件が目標と、諸外国と比べ際立って少ないうえ、実施件数はこの目標すらクリアしていません。
PCR検査はなぜ増えないのか?
保健所や地方の衛生研究所の機能がぜい弱で、検査等の対応が限界にあることが明らかになっていますが、根本の原因は厚労省の規制、そして国立感染症研究所(感染研)の情報独占体制にあります。
民間でも、大学病院や検査機関などで、検査する能力があるところは多数ありますが、これを活用できないような規制があるのです。
それは保険適用というカラクリです。
濃厚接触者などが保健所の指示でPCR検査を行えば、本人に費用負担は生じません。もし、自費で検査を受ければ、2〜4万円の負担となりますが、健康保険の適用ができれば、個人の負担は軽減されます。
「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)」です。
同法第3章の感染症に関する情報の収集及び公表の規定により、感染症の疑似症患者などに「行政検査」をし、濃厚接触者などに「積極的疫学調査」をすることになっていて、対象者の検査費用は公費負担となります。
3月6日から、医師が必要と認めたときには、検査の健康保険適用を行うことを厚労省は許可しています。
ところが、医療機関でも健康保険によるPCR検査は、感染研の積極的疫学調査の業務委託という形になっています。
したがって、一般の医療機関がPCR検査を行うには、都道府県と医療機関の契約が必要になりますが、その契約のために1カ月もの期間を要します。
民間が行ったPCR検査であっても、すべてのデータは国立感染症研究所(感染研)のみに集積され、独占されます。
「感染症法」による情報独占体制こそが、PCR検査を阻害する要因です。
緊急事態宣言解除後も、相変わらず院内感染が発生していますが、医師や看護師などがPCR検査を受けようとすると、感染症法上の規定がないため、費用は自己負担となってしまいます。
国会を開いて、「感染症法」の抜本的な改正を急げ!
PCR検査を圧倒的に増やすには、保健所や地方衛生研究所だけではなく、大学の医学部、民間医療機関、民間検査機関による検査を可能にし、公費負担にするような法的な裏付けが必要です。
緊急時ですから、国会を開いて、「感染症法」の抜本的な改正を急ぎ、医療機関でも健康保険によるPCR検査ができるようにして、検査数を現在の50~100倍にまで増やすべきです。
また、「感染研」による情報の独占をやめ、広く公開して、ワクチンや治療薬の開発、感染防止のための研究などに、民間の活力を活かしてほしてものです。