尾形修一の紫陽花(あじさい)通信

教員免許更新制に反対して2011年3月、都立高教員を退職。教育や政治、映画や本を中心に思うことを発信していきます。

記録映画「Workers 被災地に起つ」

2018年10月31日 21時15分58秒 | 映画 (新作日本映画)
 優れたドキュメンタリー映画を作ってきた森康行監督の「Workers 被災地に起つ」が東中野のポレポレ東中野で上映されている。前作「ワーカーズ」も見てるし、大震災の被災地の「ワーカーズ・コープ」(労働者協同組合)の映画だというから、見なくてはいけないと思った。

 とても興味深い映画だったが、それは「ワーカーズ・コープ」というものへの興味が大きい。ワーカーズ・コープそのものに関しては、前作のブログを参照して欲しい。要するに働くものが自分で働く場を作る。利潤を求める株式会社を起業するのと違って、お金を出し合って自分たちで自分を雇うようなものだ。最初に出てくるのは、岩手県大槌町。大津波で壊滅的な被害を受けたところである。「復興」も進むが、人口も減った。このままでは障害者や高齢者、子どもの居場所がなくなってしまう。福祉の仕事を必要とする人たちが自分たちで仕事場を作ってしまった。

 続いて宮城県の亘理(わたり)町登米(とめ)市の山村も描いてゆく。亘理町はやはり大津波で多くの犠牲を出した。地震の時は仙台空港で整備士をしていた人が、震災で人生観が変わって「ワーカーズ・コープ」を作った。登米では日本初の「山村」のワーカーズ・コープが作られている。かつては炭作りで栄えた地区も、限界集落になりつつある。そんな村に住みついた若者たちが、何も知らないまま山仕事を始め、苦労の末に村人に受け入れられてゆく。

 何より出てくる人たちの顔がいい。自分で切り開いた道を歩いている誇りがある。全員に向くかどうかは別に、もっともっと「ワーカーズ・コープ」というものが必要だなと思う。多くの日本人が将来に不安を抱えているだろう。「働き方改革」などという言葉が踊っている今こそ、必要な映画だ。7年経った大震災の被災地を理解するためにも。自分の「働き方」を見直すためにも。

 森康行監督は以前「こんばんは」という映画を作った。東京墨田区の夜間中学をじっくりと撮り続けた映画だった。その当時墨田区の定時制高校で働いていたので、その映画に出てくる生徒の何人かを教えている。夜間中学を卒業して夜間定時制高校に入学する高齢の生徒がいたのである。「こんばんは」はその学校でも、あるいは三部制高校でも生徒に見せる機会を作ってきた。そんな森監督の仕事はずっと見続けて行きたいと思っている。
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