尾形修一の紫陽花(あじさい)通信

教員免許更新制に反対して2011年3月、都立高教員を退職。教育や政治、映画や本を中心に思うことを発信していきます。

3度目の「緊急事態」、「東京に来ないで」を考える

2021年04月24日 23時05分38秒 |  〃 (新型コロナウイルス問題)
 2021年4月25日から5月11日にかけて、東京都大阪府京都府兵庫県に3回目の「緊急事態宣言」が出された。2回目の宣言解除時に、菅首相は「3度目の宣言を出さないようにすることが私の責務」と語っていたということだが…。東京で2回目の緊急事態が終わったのは、わずか一ヶ月前。3月21日のことだった。そして4月9日に「まん延防止重点措置」が出た。春休みと年度末期間だけ、全く何もなかった不思議。それは政治の間違いというべきではないのか。

 今回は大阪は感染者が多く、医療崩壊状態ともいうから緊急事態宣言は必要だろう。しかし、東京は現時点ではほとんどの数値が、緊急事態宣言が必要とされる「ステージ4」に達していない。「変異株」が増加していて、何もしないと連休明けに2千人にもなるという想定もあるようだ。しかし、いつも後手後手だった政府が何故今回だけ東京で「先手」策を取るのか

 そのため土曜の24日はデパートや大型映画館も開いていて、25日の日曜から閉めるという。みんなそれを判っているから、土曜の24日に出掛けている。会社や学校は大体土日が休みだから、金曜の夜に決まっても何の方針も決まってないまま月曜の始業を迎えることになる。2度目の宣言時には東京は2千人を超えた日があった。それでも「飲食に特化した対策」だったのに、それよりはるかに感染者が少ない今回になんでデパートも閉鎖、プロ野球も無観客となるのか。

 理解しがたい不審点がいくつもあるが、ここでは特に小池都知事の「東京に来ないで」発言を取り上げて考えたい。小池都知事は今まで何回か同じような発言をしている。最初は15日だったようだが、「通勤を含め、(医療従事者などの)エッセンシャルワーカー以外の方は可能な限り東京へ来ないでいただきたい」と述べた。都民に対しても「都県境を越える外出自粛」を要請してきた。ただ、感染者の増加に歯止めがかからないために都外からの通勤客などに幅広く移動自粛を呼び掛けることにしたという。
(小池都知事の発言を報じるテレビ)
 「エッセンシャルワーカー」って何だろうと話題になったが、逆に言えば「重要じゃない仕事」はあるんだろうか。勤めている人は会社やお店などが求める限り出勤せざるを得ない。そこで給料を貰っているんだから、その人に取っては掛け替えのない仕事だ。通勤しなくても給料をくれるんならいいけど、そうじゃなければ行かざるを得ない。それを言うなら会社に言ってくれという話だろう。通勤者に求められても困る。大企業の本社などは東京にこそ集中してるんだから、都知事が要望するのは大企業の方だ。

 それともう一つ大事な点は、東京という都市の構造を判ってないという点だ。都県境を越える移動がダメだというなら、23区と多摩地区の移動もダメだと言わないとおかしい。たまたま親の家が大きければ別だが、東京以外から来たり、あるいは結婚等で独立した場合、どこかに家を買うか借りるかしなければならない。東京の中心は中央官庁や大企業本社が集中する千代田区や都庁がある新宿区などである。そこから1時間位内で通えるところを探してみる。

 たまたま23区内や多磨地区に見つかるかもしれないが、たまたま神奈川県埼玉県千葉県などで見つかる場合もある。持ち家もマンションも都県境に関係なくズラッと続いている。近隣県だけでなく、茨城県や栃木県、静岡県から通勤している人も今までにいた。僕も千葉県に住んで東京に通っていた時期があるが、東京に来るなと言われても困ってしまっただろう。今も一駅行けば埼玉県というところに住んでいる。時々寝過ごして都県境を越えるけど、同じように住宅が並んでいて見ただけではどこだか見当が付かない。

 町の規模や機能を考えると、多摩地区の立川と神奈川県の相模原、埼玉県の大宮、千葉県の船橋などは同じような感じがする。東京中心部に通勤する人がたくさん住んでいて、デパートなども集中している。下の写真を見れば判るけれど、駅前の様子も何となく似ている。しかし、25日からは立川のデパートや映画館は閉まるけれど、他のところは営業している。「東京に来ないで」と言ってる間に、どんどん東京から近県繁華街に出かけるんじゃないだろうか。
  (順番に、立川、大宮、柏の駅前風景)
 東京は山手線に沿って主要な繁華街が並んでいて、そこからJRや各私鉄が放射状に伸びている。昨年夏には旅行に行けないなら、東京でも奥多摩の方には素晴らしい自然があるとテレビで紹介していた。それを見て思ったけど、何で東京の東に住んでいる自分が3,4時間もかけて奥多摩まで行かなくちゃ行けないのか。奥多摩に行ったこともあるし、いいところなのは知っている。でも東武線特急を使えば日光に2時間以内で着くのである。小田急線沿線なら箱根へ行った方が早くて安全。中央線沿線の人なら奥多摩が近いけど、他地区の人には不便なだけである。

 テレビ東京の「アド街ック天国」でちょっと前に東村山を取り上げていた。プロ野球では隣の所沢市が本拠の西武ライオンズのファンが圧倒的に多いと言っていた。そりゃ、そうだろう。都県境を越えるなと、東村山市民も東京ドームでジャイアンツ、または神宮球場でスワローズの応援をすべきなのか。もちろん、そういうファンもいるだろう。でも「感染リスク」から考えた場合、都心に出かけるのではなく西武ドーム(メットライフドーム)に行く方がずっと安心だろう。

 例えば西武新宿線沿線で住む人にとって、東村山駅と所沢駅で大きな違いがあるとも思えない。僕はそれぞれの通勤、通学路線を中心に、出来るだけ「沿線で過ごして」と言えばいいのではないかと思う。東京に出たい場合は新宿や池袋、自然に触れたいなら秩父や奥武蔵に行ってもいいんじゃないか。東武線沿線だったら、一日ぐらい子どもを東武動物公園に連れて行くぐらいはいいんじゃないだろうか。自分の家から車や電車で行きやすい動線の中で過ごすようにするという呼びかけの方が合理的で、東京の都市構造に合っていると思う。
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