尾形修一の紫陽花(あじさい)通信

教員免許更新制に反対して2011年3月、都立高教員を退職。教育や政治、映画や本を中心に思うことを発信していきます。

上野の「鈴本新緑寄席」昼席に行く

2019年05月05日 21時16分27秒 | 落語(講談・浪曲)
 10連休もあと2日となって、テレビでは渋滞とか帰国ラッシュなんかのニュースが多くなってきた。長すぎるという声も多いようだけど。確かに病気や障害、あるいは介護や育児を抱える人には長いかなと思う。しかし、それはそれとして、「ヒマなときの過ごし方」も知ってないと「長い老後」が大変だ。

 自分はこういう混雑するときは、昔からノンビリすることにしている。昔の映画を少し見に行き、後はひたすら「モンテ・クリスト伯」を読んでいる。この前ウエルベックの「ランサローテ島」というのを借りに近くの図書館に行ったら、そこに「ワイド版岩波文庫」の「モンテ・クリスト伯」があった。普通の岩波文庫全7巻は、買うには長くて重い上、字が小さいから、一度も読んだことがなかった。これがワイド版なら全然目に苦にならない。ハズキルーペなんか必要ない。今4巻目の半ばだから、10連休じゃ終わらない。 

 さて5月5日「こどもの日」は、上野鈴本演芸場の昼席で落語。長い休みの一日ぐらいは夫婦で落語でもと、家に一番近い鈴本の昼席を買っておいた。(鈴本だけパソコンやスマホからチケットを買える。)トリは林家正蔵だが、柳家さん喬春風亭一之輔、襲名披露中の4代目三遊亭円歌(前歌之介)、さらには桃月庵白酒古今亭文菊らいつもはトリを取る売り出し中の人気者も続々。いつもより高いけど、立ち見もいっぱいの連休興業の賑わいだ。

 (鈴本演芸場ホームページから)
 ただボケッと聞いてたら、最後の頃になって「子どもの噺が多いな」と気づき、そうか「こどもの日」かと思った。一之輔は「人形買い」という噺で、長屋に生まれた男の子のために男二人が人形を買いに行く。うまく値切ったつもりが、人形を持たせた店の小僧がませたガキで、あることないこと内情をバラしていく。本来もっと長い噺のようだが、とにかく「顔芸」がすごい。何度も聞いてるが、やはりただ者ではないなと思う。桃月庵白酒古今亭文菊はたたずまいが面白いけど、短い噺。
 (春風亭一之輔)
 寄席では落語の合間に「色物」と呼ばれるさまざまな芸人が出てくる。最近はそっちの方が楽しみで、今日も大満足。太神楽曲芸の「鏡味仙三郎社中」、漫才の「ロケット団」(いつもの四字熟語だが大受けだった)、浮世節の立花家橘之助、紙切りの林家二楽(場内からのお題「チョコレート」と「バルタン星人」が見事。チョコはバレンタインでチョコをあげる少女少年だった。大喝采)と満足。

 でも一番の収穫は「のだゆき」さんだった。江戸家子猫の代演だったけど、どういう人かと思うと「ピアニカ」なる楽器を持った女性が出てきた。それで救急車やコンビニの出入り音なんかを再現する。続いてリコーダーを2本、短いのと長いの(アルトとソプラノ)を同時に吹いて演奏。とぼけたムードも最高で、すごく面白かった。検索すると東京音大大学院卒で、2013年から落語協会加盟という。
 (のだゆき)
 トリの林家正蔵は久しぶり。「ねずみ」という仙台の没落した宿屋の噺。子どもが客引きをしていて、宿とも思えぬぼろ屋に案内される。訳ありとにらんだ客が話を聞き出していくと、そこには悲しい事情があった。同情した客は自分が彫り物をしていこうという。前に聞いてる噺なので、この人が左甚五郎だと判っていたけど、なかなか聞かせた。そして「彫刻なのに動くネズミ」が虎の彫刻に怯えて動かなくなる。下げは検索すればすぐ判ると思うけど、下らないところがいい。マクラの小三治師匠のことも面白かった。軽すぎもせず重すぎもしないところが、深まってるんだかどうだか不明だけど、まあ当代の正蔵の持ち味と思って楽しんだ。上野松坂屋で買い物して6時前帰着。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« フランスの女性作家コレット... | トップ | 映画「12ヶ月の未来図」とフ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

落語(講談・浪曲)」カテゴリの最新記事