尾形修一の紫陽花(あじさい)通信

教員免許更新制に反対して2011年3月、都立高教員を退職。教育や政治、映画や本を中心に思うことを発信していきます。

世界の選手たち-リオ五輪③

2016年08月25日 00時00分57秒 | 社会(世の中の出来事)
 僕個人はリオよりロンドン五輪の方がいっぱい見ていたように思うけど、なんかリオ五輪について3回も書いている。1回で全部書くつもりで始めたんだけど。最後に五輪で活躍した世界の選手たちの中から何人かを取り上げて。

 まず一番最後の日に行われる男子マラソン。今回も東アフリカ勢が強くて、金はケニアのキプチョゲだった。以下、エチオピア、エリトリア、タンザニア、ウガンダと入賞者にはズラッと東アフリカ諸国が並んでいる。そんな中で銅メダルの米国ゲーレン・ラップ選手は、白人系だけど長距離界で近年アフリカ勢以外のトップになることが多いらしい。ロンドン五輪1万mで銀メダル、今回も5位入賞の選手である。しかし、それより銀メダルのフェイサ・リレサ(26歳)の手を✖印に組んでのゴールは世界に衝撃を与えた。「オロモ族迫害への抗議」ということが後に明かされた。

 調べてみると、「エチオピア:オロモ族に対する過酷な弾圧」という、2014年10月29日付でリリースされたアムネスティのレポートが見つかった。エチオピアではオロモ人は34.4%を占める最大民族なんだけど、伝統的に支配民族だったアムハラ人(27%。エチオピア帝国を建設した人々)が中心で、公用語もアムハラ語になっている。かつて社会主義体制打倒の中心だったティグレ人も強く、オロモ人の反体制運動が存在するということのようだ。いわゆる「少数民族弾圧問題」とは少し違う構図ではないかと思う。とにかくリレサ選手の今後は要注目だと思う。

 次にシェリー=アン・フレーザー=プライス(Shelly-Ann Fraser-Pryce)を取り上げたい。ウサイン・ボルトは誰でも知ってるけど、フレーザー=プライスは知ってますかという感じ。ジャマイカの女性陸上選手で、北京、ロンドンの100mで連続金メダルを取った選手である。200mや400mリレーはロンドンで銀メダル。だからボルトほどではないわけだが、それでも今回100mの3連覇がかかっていた。それはリオ五輪の注目の一つだったのだが、今回は残念ながら銅メダルに終わってしまった。29歳だから、これでお終い。だけど、今回の金メダルは同じジャマイカのエレーン・トンプソンが取った。トンプソンは200mも金メダルである。24歳だから、東京で連覇が期待できる。ジャマイカの女子陸上短距離界は世代交代に成功したわけである。写真は最初がフレーザー=プライス、後がトンプソン。
  
 今回は米国のアフリカ系女性選手の活躍も目立った。体操のシモーン・バイルズは団体、個人総合、跳馬、ゆか運動のなんと4個の金メダルを取って体操女王になった。身長145センチの19歳、小柄ながら閉会式で米国旗手を務め、アメリカでも人気が出ているらしい。

 体操もそうだけど、水泳も「黒人選手がいない」競技だった。だけど、今回初めて競泳でアフリカ系米国人初の金メダルが登場した。いろいろあっても、こういうところからも米国の変化を見て取れる。それは一部の黒人が豊かになって「白人向け競技」を子どもに教えられるようになったということで、黒人間の格差は広がっているのかもしれないが。それはとにかく、100m自由形シモーン・マニュアル選手が金メダルを獲得したのだが、なんとカナダのペニー・オレクシアクと同着の金メダルだった。オレクシアクは池江が入賞した100mバタフライで銀メダルだった選手。同じ16歳で、池江が準決勝敗退だった自由形で金を取った。ショックと刺激を受けた相手である。マニュアル選手も20歳だから、4年後まで熾烈なメダル争いが続くだろう。池江璃花子は追いつけるか。

 ところで、アメリカにはバイルズの他にも、4つの金メダルを取った女子選手がいた。ほとんど報道されず知らない人が多いと思う。僕も何となく記録を見ていて気付いたのである。競泳のケイティ・レデッキーという選手で、200m自由形、400m自由形、800m自由形、800mリレーの4種目である。なんとロンドンで15歳で800m自由形で金メダルを取っていた。今回は400mリレーで銀メダルも取っていて、19歳にしてすでに6個のメダル数を誇る。東京どころか、後3回ぐらい五輪に出られそうだ。「フェルプスを抜けるか」という存在ではないかと思うけど、まだ日本で多くの人が知ってはいないと思う。

 さて、柔道では日本選手ばかりが注目され、放送される。だけど、非常に注目すべき金メダルが女子で2つあった。一つはコソボ初の金メダル、マイリンダ・ケルメンティである。まあ、コソボは今回が国としては初参加だから、初の金に決まってるけど、母国は大いに沸き立っているという。セルビアからの独立は、必ずしも全世界から祝福されたものではなかったけれど、こうしてコソボという国家が作られていくのだろう。「柔道」は「ジュード-」となり、世界に広まっている。

 ケルメンティは52キロ級で、北京五輪銅メダルの中村美里は悲願の金メダルに届かなかった。一方、57キロ級で「知性のある野獣」松本薫の連覇を阻んだのは、ブラジルのラファエラ・シルバ。リオのファヴェーラ(貧民街」出身の黒人系選手で、さらに言えば同性愛者だという。映画「シティ・オブ・ゴッド」の舞台になったあたりの出身で、NPOの支援を受けて競技を始め頭角を現していった。松本薫は素晴らしい選手で、独特の感性が大好きなんだけど、今回に関してはラファエラ・シルバが金メダルを取るべくして取った大会だったんだろうと思う。そうしてラファエラ・シルバのような選手がいるということがスポーツの素晴らしさだと思う。

 ということで、なんだかマラソンのリレサ以外は女性ばかりになっているので、最後はウクライナのオレグ・ベルニャエフを挙げておこう。個人総合で内村に続く銀メダルだった選手。種目別の平行棒では金メダルだった。今回の日本は予選が悪すぎて、種目別決勝にあまり残れなかった。ウクライナは団体8位だが、ベルニャエフという人がいて、個人総合狙いで勝負できる。それより、記者会見の様子が、イマドキ用語で「神対応」だったので世界に驚きと感動を与えた。50キロ競歩の日本の荒井と4位のカナダのダンフィー。女子5000mで助け合った米国とニュージーランドの選手。スポーツマンシップは生きている。今は「スポーツパーソン」というのかな。
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