尾形修一の紫陽花(あじさい)通信

教員免許更新制に反対して2011年3月、都立高教員を退職。教育や政治、映画や本を中心に思うことを発信していきます。

自民圧勝の総選挙

2017年10月23日 22時45分48秒 |  〃  (選挙)
 2017年10月22日投票の第48回衆議院総選挙は予想通り、自民党の圧勝自民・公明で国会の3分の2を維持するという結果に終わった。今回は台風が近づき、前週からずっと雨が続いていた。日曜日も多くの地域で大雨で、それがどう影響するのかと思ったら、前回より若干上がったぐらいで(それでも戦後第2位の低さ)、ほとんど事前予測に変化がなかった。

 離島の票が台風の影響で運べずに、開票ができない地域が多かったのも特徴。愛媛県第1区は松山市の大部分だけど、当日には全く開票できなかった。それでも当日夜に「当選」が出ていた。出口調査等で圧倒的な差が付いていたのだろう。台風による避難勧告なども出ているような状況で、投開票にも防災にも大きな問題が生じずに終わった(死者も出ていて各地にかなり被害はあったが。)徹夜で対応にあたった各自治体職員の苦労はとても大変だっただろうと思う。ご苦労様でした。

 希望の党の苦戦立憲民主党の躍進、それに続いて、共産党や日本維新の会の苦戦など、諸問題があるがそれらは次回以後に考えたい。まずは自民党の圧勝という問題。連立与党の公明党は、小選挙区で一つ敗れ、比例代表でも5議席減らした。比例代表は今回から4つ減ったけど、その分公明党も大きく影響を受けた。だから、今回「与党圧勝」感があるのは、ひとえに自民党が大勝したということに尽きる。僕なんかには理解できないんだけど、それが日本の現実なのである。

 朝日新聞が10月14日(土)付でで各党の議席予測を報じている。それは13日までの調査ということになる。それで見ると、自民党はほぼ予測通りになっている。選挙区は208~217~227、比例区は59~69~76である。(中央値が一番可能性が高い議席数。)実際は選挙区で218、比例区で66。比例は東海ブロックで立憲民主党の名簿登載者がいなくて自民に回った分を含んでいるので、実際は予測よりも減っていた。それでもほぼ調査予測通りの結果になっている。

 公明党は選挙区が6~~9、比例区が18~21~26の予測で、中央値がピッタリである。つまり公明党が固める票はすでに固まっていて、その後の運動や他党の動向では上昇も下降もしないということなんだろう。与党系で選挙区は226、比例区は87、合計で313議席。実は2014年の選挙では、自民の選挙区当選者は223議席だった。(実際はその時に次世代の党や民主党で当選した人が自民に入党したから、実質はもっと多い。)今回は218なんだから、選挙区では減らしているのだ。

 一方、比例区では2012年の政権回復時には、比例区では57議席しか取ってなかった。(その時は「日本維新の会」が比例で40議席、「みんなの党」が14議席、両党計54議席とほぼ自民と同じぐらい取っていたのである。)2014年には、比例区で68議席、2017年が66議席。定数減を考えると、これは党勢に衰えが見られないというべきだと思う。

 2012年の時点では、「民主党でも自民党でもない」勢力に一定の支持があった。その後、「みんなの党」も「日本維新の会」も解体・再編され、維新が大阪中心に一定の力を持つが、他の人々は自民党か民主党(民進党)に吸収分解されていった。そして、自公政権は政権復帰後5年も経つけど、まだ支持が高い。自分の都合で解散できるんだから、有利は事前に判っている。立憲民主党あるいは民進党系無所属にかなり小選挙区を奪われながらも、なお比例区で高い支持を得ている。北海道を除けば、選挙区で落選した議員もほとんどが比例区で復活当選している。

 それは、経済状況をよいと見ての「現状維持願望」、北朝鮮情勢に対応した「強い政権願望」じゃないかと思う。それが正しい認識とは思えないけど、そして安倍首相自身には「飽き」や「不信感」を感じつつも、それでも「政権を任せられるのは自民党だけ」と考える層がかなり広範にいるということだろう。もう一つは「郷里の政治家意識」である。全国民の代表なんだから、地元への利益誘導を言うのはおかしいんだけど、地方では事実上「郷里に一番尽くした」と宣伝している。

 そこでポッと出の「希望の党」候補者が落下傘で来る。全然浸透しないのは当然だろう。相手は親どころか祖父以前からその地域の名門政治家だったりする。政治家本人はもう小さいころから東京に住んで、東京の学校しか知らない。それなのに「父祖の地の選挙区」で出て、安定して当選する。これでは祖先伝来の「封土」を与えられている「封建制度」の領主ではないか。

 今回小池都知事が「三都物語」などと言って、東京、愛知、大阪の三知事会合を開いた。愛知県の大村知事の対応はその後揺れたみたいだけど。それでも東京から神奈川、静岡、愛知では希望の党がそこそこ当選している。一方、日本地図を見て気が付くのは、日本海側は圧倒的な自民独占県だという現実である。青森から、秋田、山形、(新潟を除き)、富山、石川、福井、京都の日本海側の京都5区、鳥取、島根、山口、福岡に至るまで小選挙区はすべて自民党が勝利している。

 北海道と新潟県だけが野党系優勢の結果が出ている。どちらも今までの長い経緯と地域性があると思うが、野党協力の積み上げがあるということが大きい。どっちも昔から知事選や参院選などで革新系が強かった。労働組合や農民組合などの歴史もある地域である。どこでもすぐできるというもんじゃないと思うんだけど、自民党政権と対峙することを考えている場合、こういう地域性を本格的に考えるべきだ。それ以上の具体的なアイディアはないけれど。
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