黒部信一のブログ

病気の話、ワクチンの話、病気の予防の話など。ワクチンに批判的な立場です。現代医療にも批判的で、他の医師と違った見解です。

アトピー性皮膚炎をこころで治す

2022-05-26 10:27:17 | アレルギー疾患の精神身体医学

     アトピー性皮膚炎をこころで治す

私は長年アレルギーの原因はストレスを始めとするこころにあると考えて治療し、特にアトピー性皮膚炎は、原因を除くとステロイドを使いますが、副作用の出る限界の2週間から、原因にもよりますが、2か月以内には治せています。もちろん2週間たったら4日間くらいの休薬期間をおきます。ステロイドの使い方については、後述します。

 それで「月刊保団連」雑誌1996年7月号に取り上げて頂き、それを見た記者により「朝日新聞」1996年8月4日の「こらむ」欄に取り上げていただきました。それで長年アトピー性皮膚炎で悩んでいた子どもたちが数人来られ、いずれも2週間で治りました。その子たちはうまく原因が無くせるか、中学生の場合には私の教えた通りに心の持ち方を変えることができたのです。その男子中学生は、初診の2週間後に「自分で治した」と言って診察室に入ってきました。その通りです。自分でこころの持ち方を変えることができたのです。それで皮膚症状はすっかり治っていました。でもそれができないと良くなったり悪くなったりします。乳幼児や学童前半では、姉や兄とか、祖母や叔母さんたちが原因だとなかなか説得できず、治りません。成長して思春期になり、自分で自分のこころを変えることができるようになると、克服できるようになり、治ります。

 その後、日本消費者連盟の「消費者リポート」1997年2月7日号にも「アトピー性皮膚炎をこころで治す」という記事を書かせて頂きました。しかし、子どもが親の言うことを聞かなくなるとの投書があり、記事の継続はできませんでした。

 確かに、私の子育て法は病気にならないのですが、子どもが自立して飛んで行ってしまいます。欧米では、子どもを自立するように育てます。例えばフランスでは3歳になると、一部屋与えるように政府が政策を取っています。子どもには自分のお城が必要なのです。でも日本は違います。親の言うことを聞かせようとします。日本と韓国に発達障害(自閉症スペクトラム障害)の子どもが世界で最も多いことも、それと関係があると考えています。

   ア ト ピ ー 性 皮 膚 炎 を こ こ ろ で 治 す

◇アトピー性皮膚炎とはなにか アトピー性皮膚炎は花粉症と共に文明病などと言われ、近年非常に増えていますが、それと共に、乳幼児の湿疹を見るとすぐにアトピー性皮膚炎と診断する医師も少なくありません。アトピー性皮膚炎に使う軟膏や飲み薬や検査が、保険点数が高いからです。96年4月より導入された3歳未満の乳幼児の保険点数の定額制だとかえって損ですが、従来通りの出来高払い制をとると利益が多くなります。 そこで、まず診断が正しいか、日本皮膚科学会の定義・診断基準(1994)を見てみましょう。

 (私が治すというのは、早いと2週間遅くても2か月です。ただし、原因が無くならないと長引きます。それに加えて、アトピービジネスが蔓延しています。漢方でも食事療法でも短期間で治ればよいです。1年かかるのはとんでもないです。放っておけば、子どもは成長と共に環境が変わりますから、それで治ることもあります。大人は難しいです。私の方法でも、自分の気持ちの持ち方を変えられない人は難しく、その為に催眠療法を使うこともあります。)

 

◇アトピー性皮膚炎の定義は、「アトピー性皮膚炎は、憎悪・寛解を繰り返す、瘙痒のある湿疹を主病変とする疾患であり、患者の多くはアトピー素因を持つ」 アトピー素因とは①気管支喘息、アレルギー性鼻炎・結膜炎、アトピー性皮膚炎の家族歴または既往歴があるか、または②IgE抗体を産生しやすい素因があること。

 

◇アトピー性皮膚炎の診断基準、

1.瘙痒、

2.特徴的皮疹と分布、

①皮疹は湿疹病変 ◆急性病変は紅斑、湿潤性紅斑、丘疹、漿液性丘疹、鱗屑、痂皮。◆慢性病変は湿潤性紅斑・苔癬化病変、痒疹、鱗屑、痂皮。

②分布 ◆左右対側性で好発部位は前額、眼囲、口囲・口唇、耳介周囲、頸部、四肢関節部、体幹。◆参考となる年齢による特徴は1)乳児期:頭、顔に始まり、しばしば体幹、四肢に下降。2)幼小児期:頸部、四肢屈曲部。3)思春期・成人期:上半身(顔、頸、胸、背)に皮疹が強い傾向。

3.慢性・反復性の経過(しばしば新旧の皮疹が混在する): 乳児では2か月以上、その他では6か月以上を慢性とする。

 

◇上記1、2、3の項目を満たすものを、アトピー性皮膚炎と診断する。そのほかは急性あるいは慢性の湿疹とし、経過を参考にして診断する。以下略。

 これで、簡単に言えるものではないことが判るでしょう。

 

なぜアトピー性皮膚炎になるの?

 「人はなぜ病気になるのか」というと、人間が環境に適応できない時に、遺伝的にもって生まれた身体の弱点(遺伝的素因)に病気が出てきます。だから、アトピー素因をもち、かつ皮膚に弱点のある人が、環境に適応できない時に、アトピー性皮膚炎になります。環境には、自然環境も人工的な環境も、社会環境もあります。ダニも食事も環境の1つですが、社会環境に適応できない時は、俗にいうストレス状態になった時です。これらの複数の原因が競合して病気が成立するのです。これを病原環境説といいますが、基礎医学者や精神科医に支持者が多いが臨床医にはまれです。

 分かりやすく人を川に例えて説明すれば、川の流れの両側に堤防があり、堤防に何か所かの弱点があっても、水量が少なければ水はあふれません。所が台風がきたり、大雨が続いた時に水量が増えて堤防の限界を超えると、堤防の弱い所から水があふれます。人間では水があふれた時が病気で、あふれない時が健康なのです。堤防の弱点が、人間では遺伝的素因であり(アトピー性皮膚炎では、アトピー素因と皮膚)、また人が環境に適応できない時に水が増えると考えます。

私の治療法

◇以上述べた様に、病気はいくつかの要因が競合して起きるから、その1つを無くせば病気は治っていくし、予防できます。 現代医学は身体的症状や遺伝的素因に固執していますが、私はこころの要因に着目して、そこを治すことによって、つまり川の水を減らすことによって、アトピー性皮膚炎を治すことに成功しました。つまりストレス対策によって、次から次へと出て来る皮疹の発生を抑えることができました。もちろん、難治性の子どももいます。その原因としては、子どものもって生まれた気質と、生後培われた性格と、家庭環境や社会環境によって決まってきます。基本は、いやなことはしないし、させないことと、どうしても仕方のないことは「まあいいや」とくよくよしないようにさせることです。

◇現在できているアトピー性皮膚炎の皮膚症状の治療の基本は軟膏療法で、中でもステロイド軟膏は最も有用で重要な薬です。 これを上手に使うことを患者や家族に覚えてもらい、患者の生活環境を改善し、上手なスキンケアをし、痒みを抑えることが大切です。軟膏療法だけで痒みがおさまらない時は、抗ヒスタミン剤などの飲み薬を寝る前に併用すると効果があることも多く、問題はいかに痒みをコントロールできるかにかかっています。

 ステロイド軟膏恐怖症の人も少なくないが、今できている皮膚症状を治すには、ステロイド軟膏は有力な味方です。ステロイド軟膏は、例えて言えば包丁の様なもので、包丁はお料理に欠かせない道具ですが、日本では殺人ための有力な道具でもあります。ステロイド軟膏が問題なのではなく、その使い方が問題なのです。副作用を知り、上手な使い方を心得ることで副作用を減らしていくことがポイントです。

 

どうすればいいの

 

環境の改善

 食事制限で治るのは2~3%と見られ、基本的には食事制限は不要です。乳児の場合は、アトピー性皮膚炎があれば、1歳迄卵は与えず、1歳過ぎたら卵黄だけ硬ゆでで与えることと、牛乳は沸騰させてから飲ませるように勧めています。

 衣服は、冬は乾燥を防ぐために、長袖長ズボン着用を薦めます。住宅環境は、清潔にするのはよいが、神経質にならず、夏の高温多湿や汗を防ぐクーラーの使用や、冬の乾燥と強すぎる暖房をさけるように薦めます。 入浴時の石鹸による脱脂や垢すりは避け、特にナイロンタオルやボディブラシはいけません。

 

ストレス対策

a乳児-いい気持ちに

 赤ちゃんをいつも「いい気持ち」にしてあげると母親の愛情を感じるし、病気をしません。 赤ちゃんに「気持ちがよくない」状態があることが原因ですから、その原因を見つけてなくすと病気は治ります。赤ちゃんが何かをいやがっているが、泣くほどいやではないことがあるのです。

 その原因の第一は、周囲の人が抱いたり触ったりしていることが一番多い。間違ったスキンシップ論が横行しているために、赤ちゃんを触ると良いと思っている母親が多い。しかし人は、のべつ触られるのは嫌なものです。男が女性を触るのと一緒だよ、と説明すると母親は判かってくれます。生後2~3か月の赤ちゃんは、それだけで治ることも多い。

でも、二世代以上の大家族や、第2子以後の子どもの場合には、祖父母に赤ちゃんに触るなと言っても聞き入れてくれないし、上の子に言っても聞き入れてくれないから難しくなります。第2子以後の場合は、上の子が赤ちゃんを生きているおもちゃにしてしまい、退屈すると赤ちゃんの所へ行って、可愛がってあげると称して、頭や手やからだを触るのです。赤ちゃんは泣くほど嫌ではないから泣かないが、目をへの字にして「いやだな」という顔をしています。これをやめさせるのが、なかなか難しい。上の子を叱ると赤ちゃんに仕返しをするから、叱ってはいけません。叱らずに、上の子が興味をもちそうな他のことをやらせて、赤ちゃんから離すのです。赤ちゃんから離れたら、それとなくほめておく。それができなければおんぶしたり、高いベビーベッドに入れたりして、手が届かなくします。

 予防の方がやさしく、子どもに赤ちゃんを1度でも触らせないことです。そのために女の子にはベビー人形を与え、その子の赤ちゃんを作ってあげます。 男の子は、とにかく赤ちゃんに触ってはいけないと教え、家族もできるだけ触らないようにするしかありません。

 

b幼児-イヤを言わせる

 保育所や幼稚園に行く様になると、さらに大変です。保母さんや友達との関係が入って来るからです。保育所や幼稚園で何か嫌なことがあった時に、がまんをさせてはいけません。いやなことは「いや」と言わせ、どうしても言えない時は、「しょうがないや。まあいいか。」と思うようにさせることです。

 お昼寝がいやな子、給食が食べられない子、プールが嫌いな子、どろんこ遊びが嫌な子、楽器が嫌いな子といろいろです。

 

c小・中学生-イジメに注意

 第一にいじめを見逃してはいけません。次に勉強嫌いや、塾、ピアノなどの習いごと、スイミングやサッカーなどのスポーツがあります。やりたいと言って始めたから最後までやりなさいと言う親が多いが、嫌になったら何時でもやめましょう。家庭での不和が原因の子もありました。いずれにせよ、体質的な要素プラス環境(多くはストレス)で起き、環境(ストレス)を変えることで治ることを判って頂ければ幸いです。  黒部信一

 

 

 これは日本消費者連盟発行の「消費者リポート」1997年5月17日号に載せていただいたものです。

 そうしたらある薬剤師から反論がありました。「心で治すなら、ステロイド剤を使わずに治してほしいです。私はステロイド剤を使わずに食事療法で治しています」と。

 ステロイド剤を上手に使って、短期間に治すことが良いと思います。最短で2週間で治してきました。それはこころの効果です。赤ちゃんは周りの大人を説得することです。ある中学生は、私の話を聞いて2週間後に「自分で治した」とやってきました。すっかり治っていて、私の話した通りに自分の気持ちの持ち方を変えたのです。それでステロイドも不要になったのです。食事療法とか漢方とかで治すと言いますが、半年や一年が普通ですが、私の方法だと、早ければ2週間、少し遅いと1か月ないし2か月で治ります。

 また食事が原因なのは2~3%というのは、皮膚科医も小児科学会でも言われていることです。

   ア ト ピ ー 性 皮 膚 炎 に つ い て 

  • 1.アトピーとは何か

 アトピーとは、アレルギ-性の病気の中で、家族的に多い時にいう。

 アトピー的背景のあるものは--気管支喘息、アレルギ-性鼻炎(花粉症)、アレルギ-性結膜炎(眼瞼炎)、アトピ-性皮膚炎、じんましん。

 アトピー性皮膚炎を起こすのは、遺伝子プラス環境要因で、私は病原環境論または適応説。誤解を招くが判りやすく言えばストレス説。だから、先進国に多く、発展途上国に少ないが、発展途上国も社会経済が発展すると増えていく。(別稿の「アトピー性皮膚炎をなおすこころ」、「人はなぜ病気になるのか」もお読み下さい。)

  • 2.アトピ-性皮膚炎の治療

 1)合併症の予防

 合併症--かきこわして化膿したり、幼児ではとびひになったりする(ブドウ球菌、β溶連菌、単純ヘルペス)、まぶたが黒ずむ(色素沈着)、円錐角膜、白内障(成人)

 2)治療のこつは、かゆみをおさえてやること

 かゆい--ひっかく--かくから悪くなる--悪くなるから尚更かゆい-の悪循環をとめること

 特に風呂あがりや、寝て暖まるとかゆくなる。寝ている間に無意識のうち にかいている。その為には

 1.かゆみやひっかく引き金になる物をさける(食餌、接触する物や環境要因)爪を切る。お風呂に入った時、暖まらない様にする(熱い風呂を避ける)。

 2.食事

 かゆみを悪くするものは避ける-余り制限しすぎると栄養不良になる。皮膚のかゆみを誘いやすい食べ物は--山いも、くわい、たけのこ、さといも、まつたけ、なす、さんま、たら、塩さけ、かれい、そば、ほうれん草。 鮮度が落ちるとイカ、タコ、エビ、カニ、アサリ、ハマグリ、スズキ

 3.環境のコントロ-ル(室内)--

 部屋が高温、高湿にならないようにする-除湿器、エアコン、暖房-

 温暖な気候と適当な湿度が最も良い--

 日光と海水は大半の患児に良い効果がある。汗はかゆみを誘い悪化するのですぐに濡れたタオルで拭くか、シャワー

  をあびる

 4.接触する物で皮膚を刺激するものを避ける

 犬や猫、小鳥、ペット類の毛(飼わない方がよい-特に家の中で)敷物、毛布(カバーをする)、寝具(枕、掛け布など)ぬいぐるみの人形、クッション、じゅうたんなどを除去。乳児は毛の敷物の上をはってはいけない。

 5.乾燥を防ぐように着衣する。上着は羊毛を避け、木綿が良い。毛や合成繊維や金属製品(ネックレスなど)が肌に触るとかゆくなる。

 

 3)薬物療法--ひっかくことを制御できなければ病気を克服できない

 1.ユベラ軟膏、ウレパール軟膏、白色ワセリン--保湿剤

  皮膚につけるオイルやクリ-ムの目的は、皮膚の中に水分を封じ込めることで皮膚のかゆみを防ぐ--かゆくなる前につけるのがコツ

 2.ステロイド軟膏---副作用--多毛になる、皮膚萎縮

  皮膚のかゆみをおさえ炎症を治す。1日3回つける(朝、夕方、風呂上がりまたは寝る時)。それ以外でもかゆくなったらすぐつける。つけて30分がまんすれば(冷たいタオルか氷をビニールにいれて冷やす)かゆみがおさまる。

  副作用を防ぐにはこまめにつけて早く治して(2週間以内)、4日以上休薬期間をつくること。ステロイド軟こうの使い方の詳細は、別紙をご覧下さい。

 3.かゆみをぬり薬だけでコントロールするのは難しい時は、飲み薬を併用するとうまくいく。1日1回(寝る時)または2回(朝も)飲む。抗ヒスタミン剤(第一世代と第二世代)と鎮静剤の内服(特にレスタミン、アタラックス、ピレチアが効果が大)。抗ヒスタミン剤による眠気は続けていると減少するが、ひどければ量を減らす(半分にする)か、第二世代の薬で眠気の少ないものに替える。かゆくてがまんできないときは、氷で冷やすこと。

 最近は、多くの皮膚科や小児科で抗アレルギー剤(実は第二世代の抗ヒスタミン剤)を出すが、アレルギーを治す効果はなく、かゆみをおさえる効果がある。

 4.感染には抗生剤を飲む。

 4)予防

 気管支喘息やアトピ-性皮膚炎のある家族に生まれた乳児には、母乳をすすめ、離乳食のうち特に卵、大豆、魚などを避ける。卵は1才迄は与えないで、1才から硬ゆでで黄身だけ。白身は2才以後。牛乳については確立されていないが、効果が見られることもあるので、できるだけ開始を遅らせ、生牛乳は避け、一度ふっとうさせる。

 アトピー性皮膚炎のできている子は1~2週牛乳をやめてよくなるかを見るのも一つの方法です。

 アトピー性皮膚炎と食事の関係は、一部に認められる様ですが、卵と牛乳以外は証明されていないし、大多数は関係がないです。よくならないのに2週間以上食事制限を続けてはいけません。そのために栄養バランスがくずれる子どもが増えています。

 

  • かゆいのを我慢しろというのは無理。かゆみを抑えるこつを心得ること

 

    アトピー性皮膚炎の子どものスキンケア

 

◇1.入浴は毎日させていますか。

 子どもは大人と違って、夏はもとより冬であろうと、皮膚が汗や、汚れにまみれていますから、それをそのままにしておくことが、皮膚の病気すべてにとって悪いので、毎日お風呂に入るか、シャワーをあびるようにする方が子どもの皮膚には良いのです。

 

◇2.入浴の時に石鹸を使っていますか。

 石鹸は何を使っていますか。こする道具は何を使っていますか。

 効率よく汚れを洗い流すためには石鹸を使うのが一般的でしょう。最近の皮膚科の学会の報告では、アトピー性皮膚炎の子どもに石鹸を使用しても悪化させることはないと言います。石鹸はできれば低刺激性石鹸が良いのですが、高価なので、普通の石鹸でも、使って見て悪くならなければ差し支えないようです。

 石鹸の問題は、むしろ、石鹸を使って洗う道具と、入浴後のスキンケアにあるといいます。合成繊維の洗い布や、垢こすり、たわしなどでこするのは、子どもにはよくないし、大人でも湿疹や皮膚炎などができている場合は、かえって悪化させるのです。やわらかいタオルかガーゼに石鹸をつけて、軽く汚れを洗い流すのが良いのです。最近は、手でこするのが一番です。物でこすると、目に見えない傷がつく可能性があります。傷がつくと、外部からの侵入に負けてしまいます。

 

◇3.入浴後のスキンケア

 第一は、お風呂から出たらすぐすることは、外用剤(ぬり薬)を十分に正しくつけることです。

 第二は、お風呂から出たらほてりをさますことです。むしろ余り熱いお湯には入れない方がよく、ほてっていなければすぐパジャマを着ても汗をかかずにすみます。少しぬるめがよく、入った時に子どもが、熱くではなく、気持ちよく感じる温度がよい。

 「湯冷めをしてはいけない」という、こどもにとっては悪い『常識』を、小児科医すら平気で口にするのには困ってしまいます。その為、入浴後早く寝かせる傾向が広く行われています。身体が暖まった状態でふとんの中に入ると、痒みがひどくなることと汗をかくことで、いずれもアトピー性皮膚炎を悪化させる原因になります。また汗が冷えると寒くなり、鼻水が出たりしてこれもよくありません。

いずれにせよ暖かいと、かゆくなり、その為に寝てからかいていることが多いです。

 

◇4.海水浴はアトピー性皮膚炎によい。

 海水浴をわざわざすることもありません。楽しければ、して下さい。でも、日焼け防止をして下さい。

 海水浴はアトピー性皮膚炎によいということは、大分知られてきましたが、最近白人では10才以下では紫外線を浴びる量を減らす方向にあるようですので、色の白い方は余り紫外線を浴び過ぎない方が安全です。40年余り前に、東北大の皮膚科教授が、

日本でも子どもに紫外線対策を教えなければいけない時代になったということで、私も「紫外線の話」を書きました。紫外線に対する強さは皮膚の色により、黒色、褐色、黄色、白色、白色(ケルト系)の順に弱くなっていきます。日焼けしてしみやそばかす、

しわのできる家系は、できるだけ日焼けしないようにしてください。

 日焼けは、しみ、そばかすを作るだけでなく、発癌を促進し、皮膚の老化を早めますから、早くしわがふえます。

 

◇5.毎日洗髪してよいですか。

 毎日シャンプーを使って洗髪をしていて、悪くなることはないようです。むしろ頭に湿疹がはなはだしい人は頭を洗う回数が少なく、洗う時に何も使わないことが多いと云われています。

 頭を清潔にしたら、薬も落ちている訳ですから、洗髪後に頭髪をタオルで水分をふいてから、ドライアーを使わずに乾かして、外用剤(ぬり薬)をつけておくのが良いのです。

 

◇6.石鹸で顔を洗っていますか。

 自分で顔が洗える年齢では、どのように洗っているか、その回数はどうか確認して下さい。水をちょっとつけるだけですませるこどもが多いのです。少なくとも、入浴時には、石鹸を使って十分に洗顔させて下さい。

 乳児では、生後2ヵ月位までは皮脂腺機能が亢進しているので特に念入りに洗顔して下さい。目は涙の流れに沿って、目の外側から内側に向ってふきとるようにする。

 口の周りは食物などにより汚れるので、毎食直後に、水かぬるま湯でしぼった軟らかいガーゼかタオルでふきとり、直後に薬をぬって下さい。

 

◇7.耳切れがあるか。

 耳切れはアトピー性皮膚炎のこどもに多いですが、これがあったからといってアトピー性皮膚炎とは言えません。むしろ手入れをしていない為に切れてくるので、スキンケアをしていない症状の一つと言えます。

 毎日、朝と夜の顔を洗う時に、一緒にふいて下さい。

 首の後(項部)と前頚部のしわの部分の手入れをしていますか。

 前頚部のしわの部分は深くくびれている為に、赤くなったり、ただれていたりしていることが多いものです。

 頭髪がただれや化膿の原因になっていることも多く、耳に髪の毛がかからないようにするのが良いです。髪の毛は、汚れやすく、そこから化膿する原因になりかねません。

 

◇8.身体や脇の下をかゆがりますか。

 1才過ぎる頃から肌が乾燥し、乾燥する冬や、汗をかいて高温多湿になると痒くなり、かきむしり悪化します。特に肩、脇の下、側胸部、ひじの内側、膝の裏側が著しい傾向があります。入浴後に保湿剤をぬるだけでも効果があることが多く、湿疹ができていれば、かゆみを取るために外用剤が必要です。肌着はランニング型よりTシャツ型の方が痒い場所を覆っているのでよい。

 

◇9.水泳はしてよいか。

 水泳はして構いませんが、水泳後必ずすぐスキンケアをして薬をぬっていればよいです。ぬらなくて、はだが乾いて、痒くなってかくと悪くなります。水泳後は必ず薬をつけるようにしましょう。これがなかなか難しいです。

 水泳をすると良いと言うのはうそで、わざわざさせることはありません。

 

◇10. おねしょをしますか。もししているのなら、朝どうしていますか。

 おねしょをしているのに、乾いているからとぬらしたタオルでふかないでそのまま下着を着せてしまうと悪化します。必ずきれいにぬらしたタオルでふいて下さい。

 男の子は、おしっこをする時におちんちんをふって尿を切るようにすることが必要で、していないと陰嚢に湿疹ができやすいです。

 またお風呂に入った時には包皮(おちんちんの皮)をむいて洗うようにして下さい。

もちろん、女の子もおしっこが出る部分や膣の入り口周辺をお風呂に入ったら洗いましょう。昔、処女膜などと言ったのは、汚れたままでいて、炎症を起こし、それが治る過程でくっついてしまったからではないでしょうか。

 

◇11. 肘や手首は薬を何回つけていますか。

 手の湿疹が治り難いのがこの病気の特徴です。お子さんが毎日の生活の中で手をどのように使っているか、そして手をぬらしたり、汚れたりした時に、どうしているかによって大きく左右されます。

幼児が土いじりや砂遊びをするのは当たり前で、これを禁止しない方がよい。むしろ、湿疹が悪化しなければ、手入れがうまくいっていると考えた方が良い。その為には、土いじりをする前に、保湿剤や軟膏などをぬって、皮膚を保護し、汚れたら落とし、幼稚園や保育園から帰ってきた時に、しっかり汚れを落として、やはり保湿剤などをぬっておきましょう。

 手のスキンケアの基本は、汚れたら洗い、指の間まできれいにふき、その都度必要なぬり薬をつけることにあります。手を洗っても、ぬらしたままにしておかないことが、ポイントです。こどもの手が汚れたら洗い、よくふいて、薬をつけることを、まめにできるかどうかが鍵です。そこで保育園や幼稚園にいる時や祖母に預けている時にそれができるかどうかも大切ですが、他人に頼むことだから余り無理せず、悪くならなければ良い位を目標にしておくと、達成しやすい。

 爪はまめに切り、汚れていたり、土が入っていないようにしておくことも忘れずにして下さい。

 

◇12. 足の湿疹は、どのように手入れをしていますか。

 そけい部(ふともものつけ根)、膝のうら、足首などがひどくなりやすい場所です。また足背や足のうら、足の指(特にうら側)にも、手と同じような湿疹ができますが、しばしば見逃されています。足の指の間に砂がついている幼児も少なくなく、足のうらが土で真黒な子もよくいますが、足もズック靴も汚れたら洗っておかないと、なかなかよくなりません。

 

◇13. アトピー性皮膚炎は治るか

 アトピー性皮膚炎は、もともと乾性の皮膚の人がなりやすく、肌を上手になだめすかして、思春期になるのを待つのです。思春期には皮脂が多くなり、皮膚がちょうどよく湿潤してくるので、治ることが多いようです。だからにきびは少ない様です。

 

◇14.アトピー性皮膚炎の人や、その傾向をもった人は、40歳代半ばを過ぎると肌が冬乾燥しすくなり、保湿剤を使って乾燥を防ぐことが必要になります。更に、高齢になると、皮膚を保護する皮脂が出なくなり、老人性掻痒症とか、乾皮症、皮脂欠乏症などと言われ、木枯らしが吹く頃から、春一番が吹くころまで、保湿剤が必要になります。しかし、これは親の守備範囲ではありません。

 

       ア ト ピ ー 性 皮 膚 炎 の 話  補遺

1.アトピー性皮膚炎が「治る」とは、皮膚の湿疹が全くなくなるか、あってもほとんど気にならない程度にわずかになり、保湿剤だけでおさまることである。乳児では早ければ1週間以内に治る。ところがすぐ再発して、2~3か月前後から、治らずに1年以上かかる場合もある。

 現在できている皮膚の湿疹などの症状は、ステロイド剤を中心とした軟膏療法で治る。普通は3~7日くらいで治る。所が、次から次へと新しい湿疹ができてくるので、治らない。次々とできるのを食い止める方法が、「こころで治す」すなわちストレス対策である。 乳児のアトピー性皮膚炎の場合、一番うまくいくのは第1子の場合で、早ければ1週間、遅くとも4週間くらいで皮膚の湿疹がなくなり、きれいになる。ところが、祖父母に原因がある場合や、第2子以下の場合が難しく、時間がかかる。

 嫌なことは「いやだ」と言わせるようにし、どうしても言えないことや止められない子とは、「まあいいや。しょうがないね。」とか「いいじゃないか」とくよくよしないように誘導する。子どもが「いやだな。いやだな。」と思い続けていると、うまくいかない。

2.私も食事制限は、卵と牛乳だけしています。

 食事アレルギーで一番多いのは卵(特に卵白)、二番目が牛乳、次が大豆である。乳児の卵アレルギーは約5%あり、成長と共に減少し、成人では1%以下である。それで、すべての乳児に生後6か月までは卵を与えず、6か月過ぎたら硬ゆでで黄身だけ与え、卵の白身は1歳過ぎてから与える。

 アトピー素因のある乳児は、1歳までは卵を与えず、1歳過ぎてから硬ゆでで黄身だけ与え、卵の白身は3歳頃まで与えない。その間、卵が沢山含まれている食品はさけたほうがよいが、少量ならかまわない。しかし生の卵が含まれているものは必ずさける。

 牛乳アレルギーは1%以下なので、アレルギーがあれば牛乳をさける。一般には、牛乳は生後6か月過ぎてから、わかして(沸騰させて)さまして与える。

 納豆や刺身などの生の蛋白質は、1歳まではさける。

3.食事アレルギーは、食べると症状が出て、食べなければ症状が出ない。早いと2時間以内に出るが、遅いと8時間くらいしてから出る。ごくまれに24時間以上してから出ることもある。だから、原因と疑われる食品を2週間完全に止めていて,症状がなくならなければ原因とは言い難い。卵アレルギーも牛乳アレルギーも、止めれば3日くらいできれいになるのが普通である。

 アトピー性皮膚炎のアレルゲン(アレルギーの原因)を調べた報告では、食物が陽性に出る率が近年増えていて、最近の数字では6%から20%まであった。報告者で異なり、皮膚科医の方が低く、小児科医の方が高い。しかし、食事療法で治るかどうかとは別のようである。それで私は、前述の卵と牛乳の制限を除けば、2週間以上の食事制限(明らかに疑われる場合で、まれ)はしていない。皮膚科医の多くも、食事制限は不必要だという。

4.地球環境の汚染との関係

 「地球環境の汚染によって、いろいろな病気が増えた。その1つがアトピー性皮膚炎である。」という意見も一考に値するが、そのまま肯定もできない。それは、環境汚染による健康被害は、染色体や遺伝子への傷害(発がん性、催奇形性)、神経毒性、肝障害、腎障害、代謝障害、消化管の出血・潰瘍、肺障害など全身におよび、人間の各臓器が侵されるが、抗生物質のアレルギーと衣類の有害物質による接触性皮膚炎は判っているが、アトピー性皮膚炎を起こしているという証拠はまだない。 人間は、地球環境と相互に影響を及ぼしあってきているので、人間が地球を変えると、それによって人間も変化していく。環境が変わると、人間はそれに適応しようとして変化し、それで遺伝子も変化していく。(ノーベル賞の利根川進博士が証明した。) 適応できない人が病気になる。地球環境の汚染は、病気の1つの要因であり、次々と人間が作り出しているものである。

5.こころで治す。

 アトピー性皮膚炎のアレルギーの原因がダニや食物であっても、社会環境の対策によって、つまりこころの対策によって、競合する原因の1つをなくして、病気を治そうとするものである。アトピー性皮膚炎は、遺伝的素因としては、①アトピー素因がある、②皮膚に弱点がある、の2つが考えられる。

 環境としては、①自然環境--広くは、地球環境の汚染(土壌、水、大気、海、食品)特に、住宅環境、衣服、食物など  ②社会環境--家庭、保育所、幼稚園、学校、職場、地域など。   

 人のこころを変えることは難しく、環境を変える方が早い。子どもは、こころの持ち方を変えやすい。子どもの環境は、大人に比べたら変えやすい。

6.私が書いた文を読んで「母親が悪い」とか「女性に責任を押しつける」と感じた人かいたようだが、母親も実は被害者なのである。私は、開業して内科も診るようになったら、病気の子どもは、母親も病んでいた。だから、現代社会のゆがみやストレスが、母親を通じて子どもに及ぶと考えている。現代日本人の悪い習慣や風習、間違った考えが病気を生んでいる。一人一人の母親に責任があるのではない。女性や社会的弱者に優しい北欧諸国は、アレルギー性疾患が少ない。アメリカの内科医は、人種の違いと言うが、私は社会の仕組みの違いだと言う。現代日本の社会と文化を変えることが病気を治し、予防する早道であるが、それが難しく、待っていられないから、一人ずつ治そうとすると、母親が責められている気持ちになるのである。父親も子育てに参加すると楽しいが、社会的援護がないと難しい。それよりも、現代医療が間違っていることに最大の原因と責任がある。

 

 

 


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