黒部信一のブログ

病気の話、ワクチンの話、病気の予防の話など。ワクチンに批判的な立場です。現代医療にも批判的で、他の医師と違った見解です。

第4回子ども医療講座

2019-01-27 18:23:29 | 子ども医療講座シリーズ
 さあまた子ども医療講座を続けましょう。子どもを育てる時のいろいろなアドバイスが書かれています。
 是非、飛ばし飛ばしででもよいですから、御読み下さい。子育てに役に立つことがあると自負しています。できれば打ち出して、必要な所を読んで下さい。まとめて全部読む必要はありません。


              第 4 回 子 ど も 医 療 講 座

                   「 子 ど も の 生 活 に ま つ わ る 話 題 」

 子どもの生活にまつわることでいろいろ頭を悩ますことが多いでしょうが、子どもの性格を知っていると割にうまくいくと思います。
 でも一人ひとり違います。そこを見て育てて下さい。この講座を始めた頃は、自分の子の違いを判ったのですが、それを一般化できませんでした。しかし、経験を積み、今ははっきりと言えることは、子ども誰でも一人ひとり違い、どんなにして育ててもすくすく育つ、野に咲くたんぽぽのようなたくましい子どもと、上手に手をかけて育て方や指導の仕方を変えないとうまく花を咲かせられない洋蘭(シンビジウムなど)のような子どもがいることです。
 だからどの子も同じと思わないで下さい。子どもをよく見て、上手に育てること。そうしないと、ひきこもり、親や兄弟殺し、無差別殺人などを起こす子どもや、発達障害の子どもを生んでしまいます。50年小児科医をしていて気が付いたのです。というよりも、小児科医としては子どもたちより教えられ、開業して内科小児科をして母親たちから教えられ、心療内科をしていてこころの悩みを持った人たちから教えられて、現在の私が育てられたとも言えます。今の私の立場は、ここにあります。上手に子どもを育てて下さい。(2019.1.27)

①一般的には、子どもはどんなことでも少しは我慢してくれます。ところが我慢の限度が少ししかありません。だから、嫌だと言った時に、むりやりさせると大嫌いになってしまいます。嫌だと言うときに止めておく。これがこつです。
そうすればいつも少し我慢してくれます。子どもに口をあけさせようとする時、「はいお口あけて」というと、ほんのちょっとパッと口をあけます。でもそれが少しだけ。そのわずかの時間に素早く喉を見ます。これがタイミングです。その時を逃して嫌だという時に無理にあけさせようとすると、今度は抵抗して次からは口をあけなくなってしまう。医者によって無理やりする人がいますが、無理やりあけさせたりするとますます嫌いになってしまいます。口をあけなくなってしまいます。それを大人になる迄持ち越している人がたまにいます。
でも、私の所に通って頂ければ、治すことは可能ですが、時間はかかります。子どものこころを開かせなければできないからです。
なんでもそうです。目薬をつける。頭を洗う。それを嫌がる子がいます。それは無理やりすると嫌がってしまう。本当は目に薬をつけることも、頭を洗うことも気持ちがいいものです。まず気持ちがいいことだと教えることが大切です。つまり、初めての時です。それから、途中で嫌になった時にすばやく切り上げて終わらせます。ここのところがコツです。
子どもの我慢している時間には限度があって、限度を超えるともう嫌になってしまいます。嫌になったら、できるだけ素早く切り上げておくとまたやるようになります。気持ちがいいということを子どもが感じてくれれば、もう繰り返しやらせてくれるようになります。いかに気持ちよく感じさせるかということがこつです。
 ②子どもに、嫌なことは嫌だと言わせることです。自己主張させること。
もう7か月前後の時期から人見知りをしますが、これは自己を主張することであり、この時期にはもうプライドを持つようになります。
よく1歳頃の子どもは「いや、いや、いや」と連発します。ちょうどそういう頃です。それを止めさせようと思う必要はありません。一種の自己主張ですから。しばらく放っておきましょう。その時にいろいろ言ってもすべて「いや」と言います。少し時間を置くとしたいことを言うようになりますから、少し待ちましょう。
もう一つはどうしてもしょうがないことは、「しかたがないでしょう。しょうがないよね。まあいいでしょう。」というふうな言い方で教えていきます。決して「我慢しなさい」と言わないことです。我慢しなさいということは、嫌なのに無理やり我慢させることで、子どもがやっぱり「嫌だな」と心の中で思い続けてしまいます。嫌なことでも、「まあいいか」というように、くよくよしないで通り過ぎてしまうようにさせると、ある程度は我慢という形ではなく、我慢させられます。
私も若い時は、子どもに我慢することを教えなければと思ったのですが、それは思い違いでした。大人になるまでに我慢したことが無い人は、大人になってからがまんすることができるのです。子ども時代に、つまり自分の意志でなく、我慢させられると、大人になって自分の意志で自由にできるようになると、嫌なことを我慢しなくなります。
どこかでも言ったとは思いますが、盲導犬を養成する時に、生まれたらすぐ親犬から離して(離さないていろいろ教えてしまうから)、犬の好きな一家に預け、決して叱ったりしつけをしようとせずに、甘やかすだけ甘やかせて、一歳だったか忘れましたがある年齢になったら預け親から離して、訓練に入ります。その後は一切面会もさせません。そして訓練士と訓練指導犬とその訓練される犬がいつも一緒に行動します。そして厳しい訓練をします。その訓練に耐えさせるために「十分に甘やかしておく」のです。しかも二度と育てた親にも会わせません。会ったらしばらく訓練ができないくらい泣き続けてしまうのです。
人間でもそうでした。嫌なことを我慢したことが無い人ほど、じっと我慢するのです。

③子どもは何かをさせようとすれば、強制してやらせようとするとやらなくなります。また禁止すると、やりたがります。ですからできるだけ無理やりやらせないこと。やりたがるように仕向けて、やりたくなったときに、正しいやり方を教えるというのが、幼児教育の基本です。(それを逆手に取ろうとしてもうまくいきません)
例としてお話しますが、イソップ物語の北風と太陽が旅人のマントを脱がせるというお話があります。北風のように無理やりマントをはがそうとすると、しっかりマントを抱えてしまいます。周りからポカポカと暖かく脱ぎたくなるようにさせてあげると、マントを脱ぎます。
子どもも全く同じです。周りからしたくなるように仕向けてあげることがポイントです。上手に持っていくと、孫悟空が自分の思いどおりに世界中の隅から隅まで走り回ったと思っていたら、実はお釈迦様の手の中だった、というように子どもが自分の思いどおりにやっていると思っていたら、お母さんの手の中で踊っていたというようにすることができます。
実はそういうふうにするのが、本当の教育だと思うのです。確か、国木田独歩だったと思いますが、「忘れ得ぬ人々」という隨筆がありました。忘れ得ぬ人々というのは、本当は忘れてはいけない、でも忘れてしまう人のこと。
教育する時に、どういうふうにするかというと本人が自分の意志でまたは自分で考えてしたように教育し、教えていく。そうすると、教わった方は教えられたと思わないのです。自分でやったと思います。だから教えてくれた人を忘れてしまいます。だけどそういうふうに教育する教育者というのが本当はいい教育者であり、忘れてはいけない人なのです。
お母さんもお父さんも上手に子どもをそういうふうに教えたりしつけたりすると、いろいろな面でうまく行きます。これがなかなか難しいですが、そういうことをできるだけ心掛けるとよいです。

④1歳半頃までは理由を説明しても解ってくれないし、全然いうことを聞いてくれません。7ヵ月くらいまで、あまりいやいやと言わないうちは、子どもの関心を悪いことからそらせることでうまく行きます。おもちゃや子どもの関心をひきそうな物をもってきて「はい、これはどう?」と言って、子どもの関心を別な所へ移すことができると、いけないことは忘れてしまいます。
1歳前後になってくると、なかなかそれが難しくなります。親の意図を見抜いてしまったり、いやと言って親の言うことを聞いてくれなくなります。言葉が通じるようになる2歳過ぎから3歳近くになったら、いけないことはいけないと説明してあげます。なぜいけないかを説明します。それでも言うことを聞いてくれるとは限りません。だけどそれでも必ず説明します。それを受け入れてくれたら、ほめてあげます。ほめることによって子どもはまた同じことをするようになります。ほめられると、またほめられたいと子どもは思います。だから、ほめてあげます。親のいうとおりにしたことを当たり前と思わないことです。してくれたら、ほめてあげる。それから叱るときは、「あなたは良い子だから、こういうことはしてはいけませんよ」と叱るのです。頭ごなしに叱らない。したこと(行為)を叱り、子どもを「悪い子」などと否定しないことです。

⑤いろいろな時期に、子どもの指導の仕方があるのですが、一番むずかしい時期が1歳前後から2歳ぐらいまで。いわゆる第一反抗期。かんしゃくをおこしたり、何でもいやいやしたり、こうしようと言うと、いや。ではやめようというと、いや。何でも全部いや。そういう時期があります。どうしてもいけないことでない限りは、とりあえず放って置くこと。無視することです。それを何とかして止めさせよう、言うことを聞かせようと思わないこと。無視して知らんぷりすると、子どもは何とかして、お母さんの関心を引きたがりますから、泣いたり、かんしゃくをおこして関心を引こうとしますが、それがだめだと知ると、別のことを考えますから、おとなしくなります。そしてその時に、声をかけてあげると、自分の意志を「こうしたい」「ああしたい」というようになります。

⑥ですから子どもが泣くというのは、いろいろな意味がありますが、まず小さいうちは泣くことで、言葉を表現しているのだと思ってください。お母さんたちの中に、泣くことを非常に嫌がる方がありますが、私は泣くことは全然気になりません。(もちろん小児科医の家で育ったので、昔の医者は自分の家の一部が診療所でしたから、一日中赤ちゃんの泣き声が聞こえていました。そういう中で育ったから、泣き声は全然気になりません。赤ちゃんがわんわん泣いているところで平気で眠れます。)
小さいうちは、喋れないかわりに泣くことで表現しています。何らかの要求を満たして欲しいと表現しています。その要求が大人にわからないことに問題があります。おなかがすいているとか、おむつがぬれているとか、暑いとか寒いとか泣くことで表現しています。
もう少し大きくなって、多少言葉もわかるようになっても泣きます。今度は泣くことで自分の要求を通そうとます。逆に怒りを表現したり、泣いていろいろ表現します。
予防注射をされたあと泣くのは、怒って泣くことが一番多い。それからびっくりして泣いたりします。
転んでけがをした時、痛いから泣くというより、びっくりして泣くことが多いです。だから、その時、「痛かったの」と言ってはいけません。「大丈夫よ」と言って、安心させてあげます。大人だってそうですが、痛みというのはそんなに長続きしませんし、痛いと思ってもケガをした直後だけで、そのあとまで痛みが続くことはよほどのことでない限りはありません。子どもはびっくりするのです。だから泣き続けます。
予防注射をしたあと、三種混合の予防注射はあとまで痛いですが、他の予防注射は針を刺した時と、針を抜いた時が痛いです。特に針先が筋肉にさわると痛いです。だけど上手に刺せば、皮下に入っている間は痛くないです。神経がないから。筋肉に触ると痛いです。だから上手に針を刺せば、針を剌した時と抜いた時が痛いだけです。
予防注射は無理やり押さえ付けられてやられることと、ちくっと刺されたり、抜いたりする時の痛み、それに対して怒って泣くことが多いのです。あとまで泣いているのは、ほとんど怒っているためです。それを何とかして泣きやまそうとする必要はありません。怒らせておくしかないでしょう。ある程度怒りを発散させると、泣き止みます。つまり、ストレスを発散させるためには、泣くことも必要です。
大人もそうです。外国では男の人が公衆の面前で涙を出して泣いたりします。そういうことを平気で表現するようです。日本では男が泣くのはみっともないとされて、男の子に対しても「泣いてはいけない」と言いますが、泣くことは感情の表現で、できるだけ表現した方がストレスにならないです。だから「子どもは泣いてもよい」のです。
 悲しいことがあったり、悔しいことがあったり、怒ったり、いろんなことで泣きますから、その感情を発散させてあげましょう。ある程度泣くとおさまります。
また「うそ泣き」などと言いますが、関心をひこうとして泣いたりします。他に面白そうなことがあると、もう泣き止んでしまいます。子どもの気持ちを他へそらせばよいです。

⑦子どもは、一人一人みんな違います。だからよその子や、上の子と比較しないでください。何故かというと、一人ずつ違うからです。その子の個性がありますから。
生まれつき持っているものを気質と言います。後天的につくられたものが性格です。一般的には混同されて、同じように考えられていますが違います。
生まれつきの気質はなおりません。後天的な性格は、条件が変われば変わっていきますし、育て方や周囲の環境によっても変えられます。
例えば味の好みは、甘いものが好きな子と塩からいものが好きな子ともう生後1ヵ月ではっきりしてきます。糖水を飲ませると喜ぶがお茶や白湯を嫌がる子と、糖水は嫌がってお茶を喜ぶ子と分かれてきます。これは変えられません。
小さい時から、甘いものを与えたから甘い物好きになるわけではありません。けれども、後からなる場合があります。甘い物を制限されたために、甘い物に飢えていると、大きくなると甘い物好きになります。
一般的には、子どもはみな甘い物が好きです。それは脳の代謝にグルコースが必須であり、成長が止まるまでは甘い物が好きですが、大人になると元々甘い物好きな人以外はそれ程甘い物を食べなくなります。
だから一人一人みんな違います。生まれつきのものは変えられません。後天的なものは変えられます。だけど、小さいうちだったら、すぐ変わるけれども、大人になってからだと非常に変わるのは難しいです。

⑧同じように育てても一人一人みんな違います。一つは生まれた順番で、第1子であるか、長男、長女であるか、次男、次女であるか、末っ子であるかによって変わってきます。生まれた順番によって、性格が変わってきます。双子を育てる時に長男次男とか、長女次女というように分けて育てると、それで性格は変わって来ます。長男は長男らしくなります。
もう一つは、第一子は親(特に母親)にとっては、第一子は何をするにも初めての経験です。母乳、離乳食、保育所、幼稚園、学校と何でも初めての経験です。それで母親の関心が強くなります。第二子は、なんでも二回目の経験で慣れていますから、それ程苦になりません。それで適当にされます。その違いが子どもの正確に影響します。

 ⑨子どもを疑ってはいけません。子どもに嘘をついてもいけません。子どもは、大人が嘘をついたことが判ると、大人を信用しなくなります。だから嘘になるようなことも言ってはいけないのです。
予防注射に連れて行くときに、「注射をする?」と聞かれたら、「じゃ先生に聞いてみましょうね」と言って連れて行きます。また、何か買って欲しいといった時に、「買ってあげる」と言わずに、「お父さんに相談してみるからね」と答えましょう。嘘にならなければいい。本当のことを必ずしも言わなくともいいのです。
子どもを疑ったら、子どもは嘘をつくようになります。疑ってはいけません。嘘をついているとわかっても、信じているふりをします。普通、嘘をついたことのない子どもは、嘘をつき続けられません。だから後で嘘だったよと必ず言います。ところが繰り返し疑っていると今度は平気で嘘をつくようになります。「嘘つき」は嘘をついてもいいのです。たから疑ってはいけない。信じてあげましょう。嘘とわかっていても。

 ⑩大人が一方的にさせた約束は、本当は約束ではありません。一方的な押し付けに過ぎません。だから子どもは守らなくていいのです。大人でも暴力団に囲まれてさせられたサインや署名は、法律上無効にできます。手続きはかなり面倒ですが、取り消すことはできます。それと同じです。強制的にさせられた約束は、守る義務はありません。
本人が自分の意志でした約束は、子どもは守ります。昔、目黒で、バットで自分の両親と祖母を殴り殺した少年がいました。「成績が上がらなかったら小遣いをやらない」ということを、親が一方的に決め、しぶしぶ子供は同意したのですが、そういうしぶしぶ同意させられたことが一杯あって、中学生でしたが、カーッとなってやってしまった事件です。たまたま祖父が外に出ていていなかったので、祖父は生き残りました。子ども一人が大人四人に監視されて、中学まで育った。全部強制されて大人の思いどおりにさせられた。そういうふうに育ってしまうと、カーッとなってキレてしまうことがあります。「親を殺した子どもたち」というアメリカでのいくつかの事件を書いた本には、どの事件でも殺したあと「ああせいせいした」と言うと書かれています。
強制的な約束は、約束ではありません。強制することは子どものためにはならないのです。小さい時から何でも強制することは決していいことではありません。子どもを納得させること。その気にさせることです。そのためにはいろんな仕組みをつくることです。

⑪必ず言うことを聞かせる方法があります。実は私も前に勤めていた病院で、どうしても言うことをきかない子どもたちが数人いました。実際にやったことがあります。お母さんに見られると困るので離してやりました。
「ホワイト博士の育児書」という本にも書いてあるのです。特に何でもいや、いやしたり、わざと親がいけないということをやったり、危険なことをしたりする時に言うことをきかせる方法。それは子どもの自由を奪うことです。子どもは小さいうちは特にそうですが、しょっちゅう動いています。その動きを抑えてしまう。別の部屋に連れて行き、そこで子どもを動けなくさせます。肩や、手、足などを抑えて。泣こうが叫ぼうが全く動けなくします。
押さえ付けている間に、例えば噛みつくとか、お母さんの髪の毛を引っぱるとか、相手に痛い思いをさせるとか、こういうことをしてはいけませんよと言う。「今度したら、また動けなくさせますよ。これはしないでちょうだい。」と言い聞かせること。子どもがうんと言ったら、離してやればいい。うんと言わなくても、黙っておとなしくなったら、離してやればいい。大体2分から5分かかります。またやったら、同じことをする。別に強く押さえることはない。子どもが動けなければいい。とにかく子どもは、しょっちゅう体を動かしてないといられないものです。じっとさせちゃう。また同じことをしたら、またやる。「早ければ2、3回やればもうしなくなる。抵抗する子は1週間くらいかかる。」とホワイト博士の本には書いてありますが、私がした時は1回やると、大抵の子どもはそれでしなくなります。自由を奪う。自由を奪うだけでいいのです。そんなにギュッと押さえなくてもいい。とにかく動こうとしたら、動けなくする。何もできない。手も足も動かせない。目は動かしてもかまわない。泣こうがわめこうがかまわない。でも体は動かせない。そうするとみんな言うことを聞きます。体罰はしてはいけません。体罰しても効果はありません。
国立埼玉病院時代にはしましたが、その後はそんなことをしなくても子どもたちはみんな言うことを聞いてくれました。私がめったに「いけない」と言わないこと、しからないことを知ってもらうと優しく「しないでね」というだけでしなくなります。まだ話が通じない子は、例えば診察室の机の引き出しを開けてしまうとかしたがれば、開かないように引き出しを押さえてしまいます。それで他の方に関心をひかせます。

ルネ・デュボスが「人間と適応」という本に書いてますが、アマゾンの奥地にいるワイワイ族という人達が、今から百年くらい前までにやっていたことですが、野生の獣や鳥を自分の家族のように飼い慣らすにはどうするかという方法があります。それは猛獣でも鳥でも壷か大きな箱の中に入れて、真っ暗にして24~48時間ぐらい入れっぱなしにして何も与えない。外から一切光も食べ物も水もやらないのです。中で静かにしていて時間がたったら、ふたを開けて出してやります。出て来たら、食べ物や水をやります。その間に生きていなければしょうがないですが、生きていたら、もう家族同然のふるまいをするようになると言います。ただし、その一家だけです。家族の匂いを覚えさせて、森に離してやります。森の中で出会ったり、自分からその家に帰ってくる時は、もう家族の一員のようにふるまいます。  
だけど他の人に対しては全然違うのです。人間に対してではなく、その一家にだけ慣れるのです。そういうふうにワイワイ族がやっているという。
やっぱり似たようなことだと思いました。子どもも自分の自由を奪われるということで、言うことを聞くようになる。その時にちゃんと話をしてポイントを押さえておく。でもできるだけそういうことはしない方がいいです。どうしても危険なこと、どうしてもしてはいけないことをする場合には、それをするといい。叩いたり、痛い目にあわせると、これは反発するだけです。その時だけやらないで、陰で見えない所でやります。
もし中学生や高校生であれば、機会あれば仕返しを狙ってきます。ある荒れた中学で女教師がクラスの中を歩く時に注意していないと、ライターでスカートに火をつけられたりすることがあると言っていました。しかし、やはり荒れたクラスを受け持った別の女教師はそんなことはなかったと言いました。二人の間には、中学生に接する態度が違ったのです。後者の教師は時間がかかりますが、実に上手に子どもたちのこころをつかみ、荒れていたクラスをまとめていたのです。その人は日教組の活動家で学校側と対立しているのに、荒れたクラスができると校長から懇願されてそのクラスを受け持たされていました。
私もある病院で外来を担当した時に、モンスターペアレントと言われる親を、できるだけ私の日に来るようにしてもらいました。でも私にはちっともモンスターではありませんでした。

#2.子どもたちを上手に育てる方法。
日常生活の中でのこと
① お風呂
楽しく遊ばせながら、その間にすばやく洗う。お風呂嫌いにしないこと。

②しつけ
一番難しいのは、言葉でコミュニケーションをとれないような1歳前後から2歳ぐらいまで。2歳すぎて3歳近くになってくると、子どもにもよりますが、言葉は喋れなくても、親の言うことは理解できるようになり、言葉でコミュニケーションがとれるようになります。
しつけというのは、教育です。しつけなくてはいけないと言って、力(暴力や言葉、お金など)で強制する人達が日本でも外国でも沢山います。しかし、しつけというのはあくまで教育です。教えるということです。
幼児教育の基本は、興味を持って自分からやり始めるように仕向けて、やりたがった時に正しいやり方を教えることです。お箸を持つ、鉛筆を持つ。そこから始まります。トイレットトレーニングもそうです。トイレに行くことに興味を持たせる。そこから始まります。
興味がないのにやらせようとしても、難しいです。叱って、いうことを聞かせようとすると、叱られない所でやりますから、いろんな事故や外でのトラブルにつながります。親のいないところでやります。ですから叱ってはいけません。
 マナーは小さいうちは意味がわかりませんから、マナーに属することは、教えても意味がありません。マナーというのは大体、4歳過ぎで教えるのがよいです。3歳では理解できない子が出てしまいます。4歳では9割はうまくいきますが、できない子もいます。
よく見かけますが、若いお母さんたちの間で流行っているのが、おもちゃを「お借りします」と言わせる。ところが、「お借りします」の意味が子どもにはわからないからどうするかというと、「お借りします」と言えば、借りられると思っている。相手の子が嫌がっても「お借りします」といって、取ってしまうのです。そういう子が出てきます。意味がわからないのだから仕方がありません。言えば借りられると思っているのです。でも相手の方は嫌だと言っている。すると無理やり取ってしまいます。だから「お借りします」の本当の意味がわかっていないのです。
できるだけそういう場合は親が代わりに言って、借りればいい。嫌だと言ったら、「じゃしょうがないわね。あとで貸してね。」と言って、切り上げます。そうしてお借りしますの意味を教えるのです。

◇危険なことは叱ってはいけない。
危険なこと、危ないことはその説明をして、まず目を見て「これはしないでちょうだい」と目で訴えかけること。普通の子は大体それで言うことを聞いてくれます。じっと目を見て、真剣に訴えると、普通はしません。
どうしても言うこと聞かなければ前に述べたように、強制的な方法をとるのですが、それはあまりしない方がいいです。できるだけ繰り返し繰り返し言い続けることです。それで言うことを聞いてくれたら、一人でいても決してやりません。親が見ていないところでもやりません。

◇一人でやっていけないことは、親がついていても、やらせてはいけません。典型的なのは、親が抱いて窓やベランダから下をのぞかせる。これをやると、一人でいる時に自分でのぞいて落っこちて事故につながります。
北欧やアメリカのいくつかの州は、窓やべランダには柵をつけるように法律で義務づけています。のぞけないようにします。
いろんな想像できない、今言う想定外の事故があります。子どもの習性を知っていれば想定内なのですが。
窓際にべッドを置いていたら、子どもがベッドの上で、跳んだり跳ねたりしていた。窓が開いていてもちろん日本では柵がありません。それで飛んだ拍子に窓から飛び出して、下に落ちて命を落としました。ということもあります。これは高いアパートであった実例です。自分でのぞいたわけでも飛び降りたわけでもありません。ただべッドの上で跳びはねていただけで落ちました。そうすると窓には落ちないように防護をしておかないと危険だということになります。
それから高い所に乗せてあげることもいけません。わざと高い所に乗せてあげたりする親がいるのですが、そうすると子どもは一人で自分で上っていきます。箪笥の上なども上手に上ります。順番に引き出しを開けて昇っていきます。教えなくてもやります。
昔ある病院で、私の腰ぐらいのべッドの高さで、私の顔ぐらいまでの柵がありました。その子は、ベッドより低いぐらいの背の高さだから柵よりも低い。にもかかわらずふっと気が付くと下に降りているのです。柵を上げたべッドの中にいたはずなのに。「あれ、誰が降ろしたのかな?」と思うが、誰も降ろしていないのです。ちゃんと柵は上がったまま。変だなと思いました。それが2~3回ありました。ある時看護師がそーっと隠れて見てたら、上手に柵を上って反対側に向いて下に降りていたのです。
子どもは考えられないことをします。
だからこんなことはできないだろうなどと思ってはいけません。そうしないとびっくりするようなことをします。よく上手にできるなと思うようなことをやります。しかも周りで見ている時は決してやらない。だから気が付かない。誰もいなくなるとやります。

◇子どもがしてはいけないことは、大人がする所を見られてはいけません。できるだけやっているところを見せないことです。子どもは大人の真似をしたがり、必ず真似をします。
他の子をすぐひっぱたく子がいます。それは多分周りの大人から叩かれていたのです。叩かれる子はよその子どもや大人を叩く。だから叩いてはいけません。叩くというのが普通だと思っているのです。
最近子どもの虐待が目立っています。子どもを虐待する親は、子ども時代に虐待されていることが多いです。だから虐待している親を責められません。教育して直してあげないと治りません。それが判ってアメリカ、ヨーロッパでは虐待する親の教育プログラムが作られて、教育治療が進んでいます。
日本ではまだ遅れて、そういう負の連鎖が一般には理解されていません。自分がやられたことを子どもにやってしまいます。自分では判っていても止められないのです。それが悲劇です。それがどんどん増えています。それは叩いて子どもを言うこと聞かせようとすることは、日本だけではないですが、一般的に残っています。子どもを自分の思いどおりにさせようとするのに暴力を使ってはいけないのです。
乳幼児に虐待しても、こりずに同じことをします。怒られたことだけ覚えていて、なぜ怒られたか覚えていないのです。そしていつも自分が悪いことをしたと思い込みます。子どもの虐待で親を責めると、子どもは「違う、私が悪かった」と言います。

◇大人がしてはいけないことは子どもにさせてはいけません。日本では子どもだからいいだろうという風潮が、特にお年寄りにあるのですが、これはいけないこと。「子どもはいいけれども、大人になったらしてはいけない」ということをどこかで教えてあげないと、そのまま大人になってしまいます。それで、子ども時代にやったことを大人になってもやり続けて失敗します。子どもが何か悪いことをしたら、それはいけないことを教え、相手に対して親が謝ります。子どもを謝らせるというのは小さいうちは無理ですから、無理に頭を下げさせるというのは意味がありません。親が謝っているのを見て、「これは失敗したな」と子どもに思わせることが大切です。親に迷惑をかけたと思うようになってくれるのが一番です。そうすると自分で謝るようになります。
話は違いますが、悪い言葉を使った時に叱ってはいけません。知らぬふりして反応しないこと。違う話題にすりかえます。関心を示さないことです。芸人が芸をした時にお客さんに受けないと別の芸を考えます。それと同じです。無関心のふりをします。そうするとつまらないから親にはしなくなります。昔、国立病院時代にダジャレをよく言う意志が居ましたが、まず出勤して医局という医師のたまり場で試して、受けると病棟へ行って言い、さらに受けると外来で患者さん相手に使うのです。毎日違うダジャレを考えていたようです。それと同じです。叱るという関心を見せてはいけません。

◇しつけの基本的なことは、「しつけ」はあくまで教育だということです。やりたがるようにさせて、やりたがった時に正しいやり方を教えます。お箸の持ち方も始めから正しいやり方を教えます。絵の描き方、音楽でも、いろいろな習い事もそうですが、最初から正しいやり方を教えます。
大人もそうです。早く上達したかったら、スキーでもスケートでも、テニスでも先生について正しいやり方を覚えることが上達の秘訣です。その方が上達が速いです。変な癖がつくと、一生治りません。私がアイスホッケーの東京学連の講習会で教わったアイスホッケーのカナダから来たコーチは「最初についた悪い癖はもう治らない。上手にその癖をカバーするだけです。うまくなったら、上手にカバーするけれどもその癖は治らない。」と言っていました。 
実際にそうです。私もアイスホッケーでスケー卜をやっていて、変な癖がつきました。その後、中年になってスキーを始めたら、すぐ上達したけれども、ある程度うまくなったらその変な癖が同じように出て来ました。それはある程度ごまかすことはできますが、治りませんでした。大人でも同じなのです。新しいスポーツする時には、きちんと正しいやり方を教わりましょう。
子どもは特にそうです。初めてやるものは正しいやり方をきちんと教えます。根気よく教えて下さい。そうすると速く上手になります。お箸でも1歳半から2歳ぐらいで持ちたがりますから、持ちたがった時に正しいやり方を教えます。そうすると、3歳で小豆をお箸でつまめるようになります。

③添い寝。
添い寝というのは、ある時東大の小児科教授が添い寝をしてもいいと言い出した。それ以来一般に添い寝がいいと言うようになりました。
それまでの小児科医は何とかして添い寝は止めさせようという歴史でした。明治時代の後半に小児科医が生まれてからずっと添い寝は止めさせようとした歴史があります。なぜかというと、添い寝をして赤ちゃんを窒息死させる事例が後を断たなかったのです。
それでその東大教授が言い出した後、ある小児科医が全国調査をしました。その結果は、たった1カ月の間に2人添い寝で窒息死した例が見つかりました。だから添い寝はしてはいけないと思います。同じお布団に寝るということです。隣の布団に寝るのは添い寝ではありません。
また添い寝して寝かしつけていると、添い寝をしないと寝られなくなります。タバコを止められないお父さんたちと同じように、添い寝をしないと眠れない習慣がついてしまいます。だから添い寝はしないで下さい。側についているのは構わないです。一緒に寝ないこと。
これはプライドを持つようになる月齢、つまり生後7か月頃です。人見知りの始まる頃です。人見知りは一種の自己主張です。それが始まると治そうとすることに抵抗します。
だから人見知り前に治すことがこつです。

 ④指しゃぶり
指しゃぶりというのは要求不満の現れです。何でも口へ持って行くというのは。その一番は食欲です。
ヨーロッパやアメリカで指しゃぶりを止めさせようという動きがあり、その時に何をしたかというと、要求に応じて離乳食を早めていきました。欧米で離乳食をどんどん早く進めて来たら、指しゃぶりをする子や、口に物を持って行く子が減ってしまいました。
落ちている物を口に入れません。そうなるのは全員ではなく、3分の2くらいです。3分の1はいくら離乳食を早くしても、指しゃぶりをしたり物を口に持って行ったりします。
それでその次に、物をしゃぶったりくわえたりする欲望があるのではないかと考えて2ヵ月から4ヵ月の間にしゃぶらせたり、くわえさせたりさせました。それでまた指しゃぶりする子が減りました。お腹が一杯になってもそうしておくと、その内に指をしゃぶらなくなりました。
でも結局1割の子はどうしても残ってしまいました。これは何か判らない他の原因による要求不満と考えられています。これはその要求を満たしてあげないと治すのはなかなか難しいです。
いずれにしろ、子どもの要求を満たすと、1歳頃には指をしゃぶらなくなります。他の方へ関心が移って行きます。その時期をのがすと指しゃぶりは4~5歳まで続いてしまいます。
指をしゃぶることが、精神安定剤の代わりになって満足感を得ます。指しゃぶりを、引っ張って離しても無理です。
指しゃぶりを止めさせたかったら、両手を使う遊びをさせます。退屈させないようにして、常に飽きたらほかのもの、飽きたらほかのものと両手を使わせていると、指が口にいきません。つまり指から関心をそらせます。
でも寝る時には指しゃぶりをしてしまいます。その場合はぐっすり眠ったら指を抜いておくことです。一晩中指をしゃぶり続けていないと眠れないようになってしまうと、歯間が変形します。歯というのは面白いもので、動くのです。新しい歯が生えてくれば、整列していきます。少ないと間が空いてきます。だから、歯が生えるスペースが狭いと飛び出して来たりします。指をしゃぶると、真ん中の歯の間が開いてきます。それでいけないと言うのです。
おしゃぶりも同じです。おしゃぶりと指しゃぶりとどっちがいいかと言ったら、おしゃぶりの方がいいです。その理由はおしゃぶりは始終手に取るところにあるわけではないです。 
一般的におしゃぶりは3歳で離れることが多いです。子どもが恥ずかしく思うからです。それで自分で止めようと思うようになります。ところが指しゃぶりは5、6歳まで続いてしまいます。なかなか恥ずかしいと思わないからです。
おしゃぶりは赤ちゃんのものだと思っているから、おしゃぶりしていると恥ずかしいと思いますが、指は自分の指ですから恥ずかしくないのです。指しゃぶりが終わったと思ったら、爪を噛んでいます。

 ⑤食事とおやつ
おやつは「お菓子と果物」と思い込んでいる方が多いですが、子どもの食事というのは、必要なカロリーを1日3回の食事で満たせないので、おやつが必要です。1日に必要なカロリーを4等分して4分のlが1回の食事で3食食べ、残っている4分の1を何回かに分けておやつにします。夜遅ければ夜食が必要になります。
夜食べさせると虫歯になると食べさせない人がいます。大人たちはお腹が空いたら夜でも食べます。それを子どもには食べさせないというのはおかしな話です。子どもだってお腹が空きます。食べたら歯をみがけばよいです。
虫歯になるのはまた、別な理由です。
虫歯は、世界的に見て先進国では減っていて発展途上国で増えています。ということは何らかの生活上、または文化的な問題に関連しているのではないかということが疑われています。歯磨きが普及したためとか、フッ素を塗ったから減ったという証明はありません。
ただ歯を磨かないよりは磨いた方がいいです。多少は少なくなる程度です。だから歯磨きを無理やりさせてはいけません。歯磨きはできるだけ楽しくさせて毎日するようにさせましょう。無理やりきれいに磨こうとすると、子どもは嫌がります。嫌がるのを無理やりすると大嫌いになってしなくなります。折角お母さんたちが歯を磨かせようと思っても、子どもが嫌がって、一生歯を磨かなくなったりすることがよくあります。嫌いにしないことが大切。

 おやつはお菓子や果物ではなくて、軽い食事です。1回の食事の基本はお子様ランチ。
お子様ランチを食べる時に、お菓子やデザートから食べて構わないです。「お菓子やデザートは食事が済んでからにしなさい」と言うと、少食、偏食の習慣がつきやすくなります。それはお菓子が食べたいから「もうお腹が一杯、じゃ食べても良い?」と言って、お菓子やデザー卜を食べます。でも本当はまだお腹が一杯じゃない。だけど言った手前、子どもは食べないで我慢してしまいます。それで少食の習慣がついてしまいます。いつ何を食べても構わないです。
子どもの食事を見ていますと、先にお菓子を食べて、デザートを食べてそれからおかずを食べて、最後に白いご飯だけもくもくと食べたりします。別にそれで構いません。子どもの好きに食べればいいです。お腹が空いた時に欲しい物を欲しいだけ食べればいいです。
今から60年以上前にイギリスで小児科の女医さんが、一歳半頃の子ども二人を使って試みた実験が、クララ・デービスのカフェテリア実験と呼ばれています。科学史にも、スポック博士の育児書にも出ていたと思いますが、忘れました。
二人の子に今でいうバイキング式で、いろいろな子どもの食事を並べて、好きなものを好きなだけ食べさせました。その結果は、子どもたちはムラ食い、まとめ食いをしましたが、一か月と言う期間を取って調べたら、必要なものを必要なだけ食べていたのです。その結果を学会で発表したら、ヨーロッパやアメリカでいくつもの追試験がされてみな同じ結果になり、それが良いことになりました。日本では知られていません。一部の栄養士は知っていましたが、小児科医で知っている人はほとんどいませんでした。

甘いものを好きにさせたくなかったら、甘く調理した糖分のたっぷり入った食べ物を食事中に食べさせてしまいます。つまり糠分を充分満たしてあげれば、体が甘い糖分のものを必要と感じなくなります。そうすれば甘い物を好きになりません。でも生まれつき甘い物が好きな人は直せません。それはご両親のどちらかが好きだったら、仕方がありません。

沢山食べさせようと思うお母さん達がいます。それはうまくいきません。沢山食べる子はお腹が空くから沢山食べます。お腹が空くのは、どんどん大きくなる子、それからよく動く子で、そういう子は沢山食べます。女の子やおとなしい子はお腹が空かないから沢山は食べません。二歳でときどき大人並みに食べたりします。
 ハチドリという鳥が上野動物園にいますが、飛んでいる時に羽が見えません。止まると見えます。つまり羽を蜂の羽のように動かしているのです。ハチドリは大体自分の体重の10倍から15倍の食糧を毎日食べます。そのぐらい食べないと、羽を動かすエネルギーが得られないからです。よく動く子は沢山食べないと、お腹が空いてしまうのです。よく動く子というのは、のべつどこか体を動かしています。おとなしい子はそんなにお腹が空かないです。だから沢山は食べられないです。小さい子もお腹が空かない。だから少ししか食べないです。それで構いません。好きなだけ食べればいいです。
沢山食べると大きくなるというのは思い違いです。大きくなる子が沢山食べます。
ただ、私の年代から上の人達は必ずしもそうは言わないです。あの人は中学生時代に沢山食べたから急に大きくなったなどと言います。それは何故かというと、昔は食糧が充分なかったから、沢山食べられず少ししか食べられなかった。大きくなる素質があるけれども少ししか食べられなかった人は、ある時沢山食べると大きくなります。大きくなれなかった分を取り返します。
今の子どもたちは、食べたいだけ食べられる時代ですから、食べたいだけあげればいい。そうするとその子どもの持って生まれた大きさに成長します。それは変えられません。沢山食べさせたから大きくなる訳ではないです。犬だってそうです。犬の種類によって大きくなるタイプとならないタイプとあります。小さいタイプの犬に、沢山食べさせてもふとるだけで大きくはならない。それと同じです。
いずれにせよ、乳幼児期には子どもたちにお腹を一杯にしてあげて下さい。
 遊びながら食べるのを止めてはいけません。食べている間は与えてよいです。しかし、遊び専門になったら止めて、片付けてしまいましょう。

⑥トイレットトレ-ニングと排便の習慣。
 トイレットトレ-ニングは、トイレに行こうという気持ちにさせるのが一番のポイントです。オマルを置いておき、乗ってやってみようかと誘導する。トイレに行って見ようかと誘導するのも構いませんが、強制してはいけません。強制すればする程行かなくなります。興味を引くことです。それとなく親が「トイレに行ってくるからね」と言って、行くところを見せる。子どももトイレってどんなところかな、やってみようかなという気持ちにさせる。そうすると、興味を持ちます。嫌がったら止めておく。それからおむつもそうです。無理に取ってはいけません。何とかして取ろうとすると、おむつ関連のいろんな病気、おねしょやおもらしをするようになります。自然に取れるまで待つことです。自分でおむつをするのを嫌がるようになったら、取って良いです。ただ、うまく教えられないのにおむつを嫌がる子は、しょうがないのでおむつをするしかないですが、トレ-ニング用のパンツに替えても構いません。
おねしょを治療するのは小児科です。泌尿器料にかかるのなら、小児泌尿器科です。でも小児泌尿器科を専門にしている人は少数しかいません。おねしょに対して、指導が「途中で起こすと良い」と言うのと、「起こしてはいけない」と言うのと、二つに分かれていますが、両方とも思い違いです。その子どもに合わせるのが一番正解です。アメリカの小児科の教科書には、そう書いてあります。おねしょは放っておいても必ず治ります。ただし、早くて小学校2年生、遅いと6年生から中学1年生頃までかかります。それ以上超えることはまずない。だけど、おねしょはどうしてなるかという話をしただけで、一晩で治る子もいます。だから精神的な要素があります。100パーセントこうすればうまく行く方法はないけれども、6歳過ぎたおねしょの子がいたらお連れになって頂ければ、おねしょのお話をしてあげます。子どもにまず私の話を聞いてもらうことです。そうすると、ずっと少なくなります。要するに、緊張しておねしょをすることが多いのです。
子どもは面白いです。うんちを自分の分身、自分の身体の一部みたいに思うのです。だからよくうんちを触ったりします。汚いとは思わない。自分の身体から出て来たのだから身体の一部みたいなものです。それを叱ってもしょうがない。上手にすばやく片付ける。だからうんちをするときに、人に見られるのを嫌がったりする子がでてきます。またトイレでおしっこはするのに、うんちをしたがらなかったりする。これもおむつの中でさせるより仕方がない。おむつの中にすると、「出た」と言う。これはそのまま待ってるしかない。そのうちにおむつの中にするのが気持ち悪いとトイレに行ってするようになります。
便秘。便秘は大きくなってからは便がでないと気になる人の病気ですが、赤ちゃん時代は食事の量、つまり離乳食の量が少ないと便秘になります。

⑦夜泣き
夜泣きは悪い夢。人は夢を見てストレスを発散させています。嫌なことが昼間あると、それを夢で見て発散します。嫌なことがあっても、昼間は嫌だと言えないのに、夢の中では嫌だと言えるのです。夢の中で嫌だと言って泣いて夜泣きをします。恐ろしいことや怖いことはいつまでも覚えていて、毎晩その夢を見て泣く子もいます。子どもは恐ろしがらせたり、怖がらせたりしてはいけません。そうするとそれがずっと染み付いてしまう。特に乳児の初期や、妊娠の後期にお母さんがパニックになると、臆病な子になります。
幼児は現実と空想の区別が子どもにはありません。だからサンタクロースを信じるのは小学校の低学年くらいまで。現実と空想の区別がないからです。小学校の中学年になってくると、区別がつくようになります。区別がつくまでは怖い話をしてはいけません。現実と作り話の区別がつかないから怖がる。それで夜泣きをします。
ある小児科医が書いていましたが、ある子は高い高いをするとその夜泣くという。どうもそれが嫌だったようで、夜中にその夢を見て泣いて嫌だと言っていたのです。高い高いを止めたら、夜泣きをしなくなりました。夜泣きをする場合には何か嫌なことがある。嫌なことはどうやって見分けるかと言うと、子どもの目をよく見ることです。赤ちゃんの場合には目がまん丸で輝いて、いい顔をしていればいいのです。嫌だなって顔をしているとそれは嫌なこと。だから目をいつも見ていること。目を見ていると子どものいろいろな感情が分かります。

 ⑧薄着とはだし
薄着も同じで、嫌がる子にはさせる必要はありません。薄着が健康に良いという根拠はありません。薄着にさせたければ、小さい時から、薄着の習慣をつけます。でも物心がついた時から、薄着を嫌がる子もいます。寒ければ着ればよい。
はだしは、屋外では危険が一杯ありますからお勧めしません。
泥んこ遊びもやりたい子だけがすればよいです。泥んこ遊びをして手が荒れる子は防御して泥んこ遊びをさせます。終わったら手に薬をつけます。つまり子どもの日常生活をやらせながら、それでうまくいく方法を見つけてやらせてあげましょう。これが小児皮膚科医の考え方です。

⑨うがいとマスク
うがいをしても埃や汚れはとれますが、ウイルスや細菌はとれません。風邪をひかないためにうがいをしなさいというのは、あまり意味がない。マスクをしても風邪の予防にはなりません。マスクの隙間を風邪のウイルスは簡単に通過してしまいます。ただ風邪をひいた人は、他の人への濃厚な感染を防ぐためにはマスクをした方がよいです。これを「エチケット・マスク」と言います。
川口の歯科医が始めた濡れマスク法。これは夜寝る時に濡れマスクをして寝ます。そうすると風邪をひかないと言うのですが、のどの乾燥を防ぐためだけですから、それ程特効的なものではありません。ただのどの乾燥を防ぐためには濡れマスクというのは良いです。ただ慣れないと周りを濡らしてしまったり、息が苦しくなったりします。

 ⑩手を洗う。
手からも風邪のウイルスはうつると言いますから、手を洗うことはよいですが、そんなに必死になることもありません。普通は水道水で石鹸を使って洗えば良いです。ただ、あまり洗いすぎないこと。殺菌や消毒は必要ないです。ただし指輪ははずし爪は伸ばさないこと。 
食品を扱う職業の人はしっかりと手洗いをすべきです。でもしばしば調理師は手洗いをしていません。
アメリカでは手洗いを義務付けられてはいないようです。法律で義務付けるかはまだ論争中のようです。でも日本より食中毒が多いことはありません。
だけど日常的には厳重にする必要はありません。皮膚には1平方センチに約10万の微生物が住んでいます。その中には細菌は勿論いますが、細菌以外の生物もいます。そういう常在する細菌叢があり、それが皮膚を守る役目をしています。完全に出来上がるのが小学校の2、3年生ぐらいです。だからそれまでは「とびひ」があります。それ以後はとびひは起きなくなります。手を洗うと一時的にはその細菌も一緒に落ちますがまた増えて戻って来ます。逆に手を洗い過ぎると、その常在の細菌層を乱してしまい皮膚炎が起きます。

 ⑪本を読む
 最近の子どもは本を読まないと言う人がいる。しかし、子どもが本を読まないのは親が本を読んで聞かせないからです。できるだけ小さい時から絵本を続んであげましょう。
本を読むことでお話の世界に子どもを引き込むことです。いつまでかと言うと、本人が自分で読むからいいと言うまで読んであげてください。大体小学校の3、4年生ぐらいになると自分で読むようになります。それまでは読んでと言ったら読んであげましょう。1日1回ぐらいお話を読んで聞かせてあげます。お話の世界を作ること。それが子どもとのコミュニケーションの場にもなります。1日1回30分ぐらい、できるだけ子どもと一緒の時間を作ってあげてください。特に、兄弟ができた場合に、できるだけ1日30分~1時間程度上の子とお母さんと二人だけでいる時間を作ってあげます。下の子を入れない時間を作ってあげて、その時にお話をする時間を作ります。そうすると上のお子さんは安心します。

 ⑫体罰
 体罰はしてはいけません。フランスの小児精神科医に言わせると体罰やスパルタ教育、これは大人の自已満足にしか過ぎないと言う。体罰では教育効果は上がりません。体罰はしてはいけないこと。体罰をして言うことをきく子は、体罰をしなくても言うことをききます。きかない子は体罰してもきかない。たから意味がありません。

⑬水泳や習い事
泳げなくても、人生で困ることはありません。溺れるのは泳げないだけからではないのです。欧米で乳児からの水泳を始めるのは、水を怖がらせないためで、子どもの水の事故を減らすためです。健康には関係はありません。
いろいろな習い事。これも別にやらせたから良いと言うことはありません。やらせたかったら興味を持たせて正しいやり方を教えましょう。よく音楽家の子が跡を継いだりします。それは親のやるのを見て興味を持って、そして始終良い音楽を聴くから耳が肥えます。そうすることで上手になります。絵かきの子は絵が上手なのもそうです。いい絵を始終見ていれば上手になります。だから何かやらせたかったらそういう機会を一杯作って上げましょう。それから良い先生を探して教えてもらう。良い先生は、絵を描くこと、ピアノを弾くこと、そういうことに興味を持たせてくれます。楽しくさせてくれます。そうすると自分で練習したりするようになります。
スポーツも楽しいからするので、スポーツが健康に良いことは何もありません。芸術やスポーツは楽しいからします。楽しくなければする必要はありません。日常生活がちゃんと送れればそれでかまいません。この事はスポーツ医学を専門にしている整形外科などの医者は皆そう言います。学校の部活や少年スポーツは間違っています。アメリカでは野球でもピッチャーは1試合に何球まで、その後何日間か間を空けなければいけないということを、子どもにはしっかり守らせています。それを守らない指導者は弾き出されます。やっと日本も高校野球が2人投手制になったばかりでまだまだ遅れています。そのために身体を壊す子どもが後を断ちません。
芸術やスポーツは楽しいからするので、それに対して興味を持ち、才能があれば伸びていきます。才能があれば伸びるけれども、その子のもっている能力まで早く到達するだけで、そこから先は努力ですが、才能がなかったら駄目です。いくら練習してもイチロー選手のように打てるのは、能力がある人がなれるので、能力がなければいくら努力してもなれません。打撃というのはセンスですから、練習してもある程度までしかいきません。守備は努力すればうまくなることができます。
 早期教育は、早く上達し、早くたどり着くだけで、大人になって同じになります。早期教育はあまり意味がありません。スポーツで早く一人前の高いレベルに達してしまうスポーツ、例えば、水泳、体操、新体操、フィギュアー、シンクロナイズドスイミングなど、若い16、7歳で、世界のトップに立つようなスポーツというのは、寿命が短いようです。大体OB、OGになる年齢は、25~6歳です。私のしていたアイスホッケーはOB年齢は40歳、40歳になると外れます。野球も40歳超えてもやっている人がいます。40歳を超えてもやっている人達は、ハードなトレ-ニングを始めた年齢が遅いのです。落合選手みたいに練習嫌いで有名で練習をあまりしないで、それであれだけ能力を発揮している人は、寿命が長い。練習すれば上手になるというのは一種の幻想で、適度な練習が一番良い。

 ⑭よく遊べよく遊べ
子どもはよく遊ばせることです。遊びの中で、社会的なことを学ぶ。外遊びをできるだけさせた方が良いです。今は外は危険なことが一杯ですから、いろいろ注意しなければならないことが沢山ありますが、他の子と一緒になって遊ぶのが一番です。その中で人間関係を含めていろいろなことを覚えます。明治時代には、「学校ではよく学び、家ではよく遊びましょう。」と教えたそうです。アメリカでは教科書を家に持って帰るのを禁止しています。でも、日本人が行った場合は追いつかないので、許可を取って教科書を家に持って帰って家で教えるそうです。許可を取らないと持って帰れない。

 ⑮けんか
子ども同志のけんかは止めてください。子ども同志のけんかだからと、親が介入しないということはいけないことです。殴り合いのけんかは必ず止めなくてはいけません。言葉でけんかするのは構わないですが、それもできるだけ止めさせた方が良いです。けんかではなく、話し合いをさせること。そうしないと世界各地での内戦のようになってしまいます。暴力を使い出したら、際限がありません。やられたらやられた方が悔しくてやり返します。そうすると、またやり返します。その繰り返しにしか過ぎません。暴力を否定しているのが北欧社会。北欧は人間が人間を殴ることを禁止している社会です。人にやさしい社会です。

 ⑯日光浴
日光浴はしないのが現代です。今は、ほとんどUVカット製品が中心です。日光に当たることは良くないです。日焼けというのは熱と同じで、病気になったときに熱が出るのと同じです。日に焼ける害に対抗して日焼けをします。だから日焼けというのは病的な状態です。これが今の考え方です。日に焼かない。色の白い人は持って生まれた性質ですから、黒くなろうと思わない方が良いです。日に焼けるとシミ、そばかすやしわが沢山できます。小さいときに日に焼けたことが、大人になって出てきます。アンデスの高地に住んでいる先住民達、いわゆるインディオの人達は、私たちと同じモンゴロイドですが、4000メートル、5000メートルの紫外線の強い所に住んでいます。すると40代ぐらいでしわが一杯で真っ黒な顔をして、老人のようになっています。紫外線で早くしわがよります。しわを防ぎたかったら、日に当たらないこと。ですから外気浴の必要もありません。
人は18歳までに一生涯の半分の紫外線を浴びます。だから白人では10歳までに紫外線を防御することを教えます。日本も子どもに教えなければいけない時代になりましたが教えていません。それを元東北大皮膚科教授が言ったので、紫外線の話を書きました。
 日焼けするのはもう止めましょう。日焼けしてもすぐ黒くなって赤くならない子は、そう心配することはありません。日焼けしていけないのは、赤くなって黒くならない子、日に焼けない子、焼けてもすぐ冷めてしまう子、そういう子たちは気をつけないとやけどをします。水疱になってしまう。少しずつ焼いていくと、わりと強くなりますが、またシーズンが終わると、色が取れてしまいます。元々生まれつき色の黒い子は日焼けに強いですから大丈夫ですけれど、他の子は防御してやることが大切です。日に焼けて黒くなるのは、日焼けに強いからですから心配することはありません。一般的には、日焼けを防御するため帽子を被るとか、小さい子でも子ども用の日焼け止めクリームをつけて防御をします。

⑰下の子が生まれた時
 一つは赤ちゃんを守るために、触らせてはいけません。生まれたらすぐすることです。1回も触らせてはいけません。見ているだけ。赤ちゃんは触ってはいけないものだと教えます。上の子が女の子だったら、精巧な赤ちゃんのお人形を買って上げましょう。これはあなたの赤ちゃん、こっちはお母さんの赤ちゃん。おむつを替えたりおっぱいを飲ませたりできるような赤ちゃんの人形を買って上げて、分けてしまう。そうすることによって、上の子に赤ちゃんを触らせないのです。
初めての赤ちゃんを見ることは、子どもにとっては「不思議な生き物」です。ですからさわれません。大人でも初めて見る生き物は、すぐにはさわれませんね。
だから一度さわると繰り返しさわります。一度もさわったことがないとさわるのが怖いからさわらないのです。なぜさわるといけないかというと、始終さわらせると、赤ちゃんがくよくよしない赤ちゃんであればいいけれども、神経質な赤ちゃんはそれを嫌がって病気になります。それを止めるだけで病気が治ります。
 上の子への対策。上の子に対して、できるだけ赤ちゃんの世話は手早く切り上げて、上のお子さんの方にいつも目を向けていること。
もうーつ、上の子のいる前で赤ちゃんをほめないこと。赤ちゃんをほめると、上の子がやきもちを焼きます。上の子がじっと我慢して待ってたらほめて上げましよう。そして「さあ、今度はあなたの番よ、赤ちゃんの世話が終わったから、あなたの番よ」と言って、お相手をしてあげます。
上の子が赤ちゃんになりたがったら、赤ちゃんにしてあげてください。赤ちゃんというのは、寝ていなくてはいけません。おっぱいしか飲めません。おもちゃで遊べません。お菓子が食べられません。だから「お兄さんやお姉さんになると、お菓子が食べられて、おもしろいおもちゃで遊べるけれど、赤ちゃんとどっちが良い?」と聞いて、「赤ちゃん」と言ったら赤ちゃんにしてあげて、絶対おもちゃやお菓子を与えないで、遠くで見せて、「ほらお兄さんやお姉さんだったら、これができるけれど、どっちがいいかな」と言って、自分で選ばせます。お兄さんやお姉さんになりたくなって、「なる」と自分で言ったら、して上げてください。自分で選んだら、「さっきあなたお兄さんやお姉さんになりたがっていたでしょ。」と言って、自分の責任にさせます。親が強制的に「あなたはお姉さんだからとか、お兄さんだからこうしなさい。」というと、親にさせられたのです。ところが自分でお兄さんかお姉さんになると言ったら、自分で選んだのだから人に文句は言えません。自分の責任です。そうするとしょうがないと思います。そうすると、やきもちにならないです。

 ⑱赤ちゃん体操
 赤ちゃん体操やスキンシップも同じで、赤ちゃんが嫌がったらしないでください。赤ちゃんは体操も油をぬってのマッサージも必要はありません。自然にしていれば、うまくいくようにできています。それがうまくいかないのは、何かストレスがあるはずです。赤ちゃんの目を見ていれば判ります。「いやだな」という目をしていたら、やめること。

 ⑲保育所や幼稚園
一番問題は保育所です。日本の厚生労働省が、「母親が育てることが良い」と言って小さいうちから預けさせてくれないのです。保育所に行く最適の時期は人見知り前に連れて行くことです。人見知りが始まってから連れて行くと非常に抵抗します。人見知り前の方がスンナリと同化します。どうしてもそれがうまくいかなかったら、人見知り前に誰か預かってくれる人に預ける。そうやって、慣らしながら保育所に連れて行く。いきなり、1歳過ぎてから行くと、親と離れるのを非常に抵抗します。人見知りというのはどういうことかと言うと、自分の好き嫌いをはっきりと自己主張しているのです。だから良いことなのですが、親にとっては、非常に困ることでもあります。
幼稚園も3歳からというのは、子どもによります。うまく他の子と遊べる子は良いが、うまくいかない子は無理して3歳から入れない方が良いです。もし入れたのだったら、嫌がったらお休みしましょう。行ったり、行かなかったりさせておけば良いです。そうしているうちにだんだん上手に他の子と遊べるようになり、毎日行くようになります。9割の子が幼稚園に行けるようになるのは4歳なのです。
保育所や幼稚園の先生、小学校の先生たちは、私と違うことを言いますからそれを真に受けないことです。何故かというと、登校拒否を治せた教師の話は聞いたことがありません。つまり学校や、幼稚園や保育所へ無理やり連れて行くことによって慣れるということはありません。そのうちに大嫌いになってしまいます。息抜きをさせないといけません。嫌がったら、お休みをし、また行くのを明日にのばします。
 学校へ行くこともそうです。行くのを嫌がったら休ませなさい。「じゃ明日行こうね。今日はお休みしよう。」というと大抵翌日行くようになります。時々、嫌がるときには行かせないでお休みさせてください。母親が仕事を持っていると大変ですが、そういう時にはどこか預ける所を作るとか、考えておくしかないです。休み癖がつくというのは、思い違いです。
行くのを嫌がるには理由があります。だから嫌がる理由をなくせば行くようになります。最近の学校は楽しいことがないので、行きたがらない子が増えるのは仕方がありません。規則、規則で縛っているからです。子どもは楽しいことがあるから行きます。私の頃は給食があるから行くとか、友達と遊べるから行きました。最近は学校で朝早く行って遊べないし、夕方も遅くまで遊ぶことを禁止されていますから、楽しいことは何にもないです。でも学校によってはいろいろ工夫をして楽しい時間を作る所が増えています。

 ⑳給食、食べ物の好き嫌い
食べ物の好き嫌いは治す必要がない。好き嫌いの多くは食べることを強制するためです。食べたがらない時に強制しないことです。大人だって食べたい時と、食べたくない時があります。天麩羅が食べたい時もあれば、さっぱりしたお刺身が良い時もあります。嫌なときに無理に食べさせられると嫌になります。嫌な時に無理に食べさせないようにして下さい。そうすると食べたり、食べなかったりします。それで構いません。しかし、ある程度の好き嫌い、例えばピーマンが嫌いというのは仕方がありません。大きくなるまで待つしかないし、治せません。好きなようにさせておくしかないです。食べられる物があればいいです。ピーマンを食べなくても、ホウレン草を食べたり、小松菜を食べたりしてればいい。替わりの食べ物があれば大丈夫です。

(21)子どもは、良い大人になれば良い。
良い子である必要はありません。大人になった時に、よい大人になればよいです。ても、寄り道しても構わない。最終的に良い大人になればいいのです。いつもいい子で育っていく必要はない。そこのところだけ頭に入れておいて欲しい。途中でいろいろ悪さをしても、終着駅が大人ですから、良い大人になれば良いと思ってください。



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