★★★☆ 旧約聖書「ノアの方船」をもとに描かれた大スペクタル作品。
ある日ノアは夢を観た。大洪水によって世界が滅ぶそんな夢を。
箱舟を創れ---それは神の啓示---。
その日からノアは箱舟の制作に取り掛かる。
この世界にいる全ての動物たちを救う為に。
ラッセルクロウは神に選ばれし善人---にはちとみえない。
とはいえ屈強な父親像にはぴったり。船も作らなきゃだしね。
箱舟は確かに神がくれた「救済」とはいえそうだけど---。
この映画が描いているのは
神の啓示に思い悩み苦しんだ人間ノアの物語といえそうだ。
神は悪しき人間を一掃するために洪水を起こした----。
争い貪る人間たちの浅ましくもおぞましい姿をみつめながら
ノアは神のその心にきづいた。
「人間(悪しきもの)は救われるべきではないと。
夢(預言)通り大洪水が発生したときそれは確信に変わった。
そして思った。自分は救われるべく人間なのだと---。
しかしそれは彼から善人の顔を捨てさせることになる。
なんと彼は 船に乗り込もうとする人間たちを蹴り倒し、排除し
救いを求める人々の声に--叫びに 耳をふさぎ続けたの だ。
ノアも家族もその心中は苦痛と怖さでいっぱいだったに違いない。
彼らがそれに耐えられたのは
「すべて神の御心----」そう信じたからだ。
私はその光景を見つめ ただただ怖ろしいと思った。
しかしノアには疑問があった。
船に乗ることを許された自分たち家族に子種がないことだ。
(子は男ばかり 長男の妻は子が孕めない)
家族の中には 自分勝手なやつはいるわ、心が通ないわ
遂には 自分の中にも「悪はある」と気づいちゃったノアはまたしても確信してしまうのだ。
自分たちもまた(人間は)救われるべきではないのだと。
まぁ・・まさにそれこそが ノアが善人の証とはいえそうだけど
怖いのは
すべてを勝手に判断し神の言葉だと思いこんだことだ。
しかし 神はそんなノアに なをも試練を与える。
子を孕めない長男セムの妻イラに子ができたのだ。
神か--家族か・・。
苦渋の中でノアが導き出した答えとはその子(孫)を殺すことだった。
それは ほんとうに彼の言うような試練だったのか??
見方を変えれば 人間も生きていいのだという神の啓示だとも思えるじゃん。
勝手な思い込み・・・
信仰心の恐ろしさってココにあるようなきもする。
洪水は 罰だったのか?チャンスだったのか・・・
ともすれ無事楽園にたどりついた(許された)彼ら.
彼らのするべきこととは・神が 望んだこととは
平和で穏やかな世界をつくることだったはずだ。
相変わらず争いの絶えないこの世界をみつめ
神はきっと悲しんでいる事だろう。
人間はもう箱舟に乗ることはないのかもしれない。
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