くろねこの散歩道

日々のつれづれを…違った視点で、のんびり書いていきます。

障害者施設 労働基準監督署により改善指導へ

2007-02-23 00:29:08 | 福祉
こんばんは、くろねこです。
書こうかどうか迷ったのですが、書きました。
長くて読むのもしんどいかもしれませんが、最後までお付き合いください。

時給わずか100円台…神戸の障害者施設、改善指導へ

 神戸市内の知的障害者の作業所が、最低賃金法に違反しているなどとして、神戸東労働基準監督署は近く改善指導を行う方針を固めた。
 作業所は一定の条件を満たせば労働関係法規の適用が除外されるが、同署は、作業実態が訓練の範囲を超えた「労働」にあたると判断した。作業所への改善指導は異例。同様の事例はほかにもあるとみられ、厚生労働省は近く、労働者としての保護を徹底するよう、関係施設に通達を出す。
 指導を受けるのは、社会福祉法人「神戸育成会」(小林八郎理事長)と、運営する3作業所。知的障害者計16人が、指導員から指導や援助を受けながら、クリーニングなどを行い、工賃などとして1人あたり年間約25万円を得ている。
 作業所や授産施設は〈1〉作業収入は必要経費を除き、障害者に全額工賃として支払う〈2〉能力により工賃に差を設けない〈3〉出欠や作業時間、作業量などは自由で、指導監督をしない――などを条件に、労働基準法の適用を除外される。障害者は労働者とみなされず、労働法規の対象とならない。
 同署は昨年11月、同育成会へ立ち入り調査し、収支報告書などを分析。この結果、同育成会は、作業収入を障害者に全額還元せず、遅刻すると工賃を減額するなど適用除外の条件を逸脱していることがわかった。
 また、同育成会の昨年度の会計報告によると、作業収入は計約1600万円で、このほかに神戸市から年間約1400万円の補助金を受けているのに、障害者の工賃や福利厚生に使われた費用は計約400万円で、残りは指導員の人件費などに充当されていた。最低賃金は、兵庫県では時給683円だが、関係者によると、同育成会の作業所では百数十円程度だったと見られている。
 同署は、工賃が最低賃金法に違反し、名簿や賃金台帳などの不備が労基法に抵触するなどと判断、指導することを決めた。同育成会は、労基法適用除外の条件に合うように作業環境を見直し、作業所のまま継続するか、労基法などの労働関係法を適用した事業所に衣替えするかを求められることになる。
 同育成会の足立千鶴理事は「保護者の理解を得て10年以上前から行っており、違法と言われては、作業所の運営は極めて難しい」と話している。
 埼玉県立大の丸山一郎教授(社会福祉学)は、「障害のために生産性が低い人たちを、福祉の世界に押し込めてきた矛盾の表れ。障害者を労働者として認め、雇用政策の中で支援していく方向へ、改める必要がある」と指摘している。
(2007年2月19日3時9分 読売新聞)


時給についてはこんなものです。この施設が特別ではありません。
月1万円くらいが平均です。これ自体がおかしいのですが…

作業収入1600万円
補助金1400万円
収入合計 約3000万円

障害者の工賃や福利厚生に使われた費用 計約400万円
スタッフ人件費など 3000万円-400万円=2600万円

他の新聞記事には、スタッフは7名と記載がありました。
労働時間を年間2000時間と仮定、労基法では1日8時間、1週間40時間です。

現状では・・・
 スタッフの人件費 2600万円/7人=約371万円(時給1855円)
 障害者の人件費 400万円/16人=25万円(時給125円)

これを合法化すると・・・
 スタッフの人件費1400万円/7人=200万円/人(時給1000円)
 障害者の人件費1600万円/16人=100万円/人(時給625円)


 今回の論点は、小規模作業所で働いている障害者が、労働基準法で守られる労働者として該当するかどうか?です。
 実態は、労働者性はあいまいだと思いますが・・・しかし、ルール違反をしてしまった。

一番のポイントは
>作業収入は必要経費を除き、障害者に全額工賃として支払う

 金額の多さ少なさに関係なく、障害者が稼いだお金を、職員側がピンハネしてしまった事です。
これは、絶対に取り締まらなくてはいけない事です。
 この事例は施設側がマシな方ですが・・・ケアレスミスですよね。

しかし、障害者(労働者ではない人間)を集めて、逃げられないように施設に閉じ込めて、不当に安い賃金(実質賃金を払わない)で働かせ、利益を搾取する事業主が現れるかもしれません。表向きは福祉施設。

一歩間違えれば強制労働です。強制労働は、労働基準法で一番罰則が重いです。
1年以上10年以下の懲役又は20万円以上300万円以下の罰金です。

 このような施設を取り締まるのは当然だ!と言えば・・・
 多分、福祉関係者から猛反発が来ると思います。
 
そんな事したら、実際に運営できない!ですよね。
 合法化すると、年間1人200万円しか給料払えないんですから。
 現在の違法状態ならば、年間1人370万円払える。

 しかし、補助金が入っている以上は、このような事は制度の信頼に関わる事です。金額の問題ではありません。
 どうせインチキやっているんだ。補助金なんかなくしてしまえという世論になってしまいます。

 補助金の出資者は社会全体です。

 そもそも「お金」を適切に処理していたかも疑問です。いい加減などんぶり勘定だったのではないでしょうか?
 一部福祉関係者の「お金」に対する認識の甘さが、このような事態になってしまったと思います。

 少なくとも、福祉学部は学校で、福祉施設のカネの流れ勉強すべきだと思います。カネをタブー扱いせず。補助金が入っている以上、透明性は高めなくてはいけません。そうすれば、現状の問題点などみえてくると思うんですね。

 今回の事件を通して、改めて、施設の問題を考えてみるきっかけになればと思います。

 実態を社会に公表して、社会全体の判断を仰ぐんです。
 悪い方向へは行かないと、自分は思います。