地図のいろいろ

半世紀も地図作りに携わっていましたので、この辺で振り返って地図を見直してみようかな~・・・。

ポルトラ-ノ型海図

2008-04-07 16:45:35 | Weblog
ポルトラーノ型海図(地中海の地図)
大航海時代の幕開けは、帆船の誕生や、羅針盤の活躍、それに地図のレベルがアップしたことでより華やかになりました。

その地図がここに取り上げた、ポルトラーノ型の海図です。

羅針盤が登城したこともあり、地図上に記された多数の方位線が航海を助けました。方角と距離を教えてくれたのです。

16C以降にプトレマイオス図が採用されるまで、長い間地中海での航海にはポルトラーノ型の地図が使われていました。

ポルトラーノとは人名ではなく、「ポルトラーノ」と呼ばれた水路誌の名前です。

地図上のある一点から32方向に航程線という方位盤が描かれ、この32の線のうち東西南北を含む16の線上の中心点から等距離のところにさらに新しい中心点を取り、ここからまた32の航程線をのばすことにより、地図上をこの方位盤でうめることができるわけです。
こうして普通は合計17(=16+1)の中心点が地図上に設けられ、その中心点には羅針盤をモチーフにした装飾的な方位盤が描かれています。

「ポルトラーノ型海図」は大航海時代の14Cから16Cにかけて、地中海地方で大量に作られました。海岸線は「現代の地図と比べてもそれほど遜色が無」く、海岸沿いの都市は詳しく書き込まれています。主要港を赤で、その他の地名を黒いインクでかかれています。
また、水深の記載こそ無いが、航海に欠かせない岩礁や浅瀬などは記号化して書き込まれています。
一方、当然ですが、航海用という特性から内陸の情報はさほど詳しく書かれていません。

これら海図とともに、羅針盤の活躍があります。
羅針盤は中国で発生したようですが、もとは水の上に磁石の針を浮かべて方向を見ていたようです。しかし、何しろ波の荒い海の上のこと、水がこぼれて役に立たず、1560年ころイタリアで水平に磁針を保つ宙ずり式の羅針盤が作られ一件落着したようです。

また、自分の位置を知るのに、緯度は星の角度を測ることで容易に知ることができますが、経度は正確な時間がわからなければ知る方法はほとんどありませんでした。
当時、正確な時間を計れる時計はまだ無く、航海に使われたのは砂時計だったそうです。これを船員が30分おきにひっくり返すというものだったそうで、当然正確な時間は計れません。また、この砂時計は使っているうちに中の砂がガラスをけずって、落ちる時間がだんだん早くなるような代物だったそうです。

このため、南北は問題なかったようですが、東西方向の距離は長いあいだ正確な値が測定できなかったそうです。
コロンブスの計画もそうした地図を基にしていたため、実際のインド、中国は3倍以上遠くにあったので、途中にアメリカ大陸がなければ、延々と航海する羽目になっていたでしょう。
多分、行方不明になっていたのではといわれています。
「アメリカ大陸発見」のお陰ですね。


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