地図のいろいろ

半世紀も地図作りに携わっていましたので、この辺で振り返って地図を見直してみようかな~・・・。

鹿児島県 笠野原(シラス台地)

2008-12-12 14:24:31 | Weblog
台風のシーズンが来るとよく話題になるのが鹿児島県のシラス台地です。

今回はその中でも最も規模が大きい鹿屋市の笠野原台地(南北約13km、東西約10km)を取り上げました。

シラス地質は、雨が続くと泥んこの溜まりになり、それが乾くと表面はコチコチに、そして、その下は水に流されて空洞になるという、厄介な地質です。
これは、火山のマグマに二酸化ケイ素(化学式 SiO2 ガラスや陶磁器の原料)が多く含まれているためだそうです。
土を顕微鏡で見ると、無数の気泡があり、軽くてもろく水に流されやすい性質の土だそうです。
そのため、地下水に侵食され、地下に空洞が出来、崩落して穴や窪地が出来るそうです。

地形図の中央に流れてる中山川は、「中山谷」または「ジョンソン谷」と呼ばれ,地下水が湧き出て流れ浸食されて出来た谷です。ここの谷壁が豪雨でよく崩れ、ひどい災害が起きるそうです。

上の1/5万地形図は、1914年(大正3年)、桜島噴火(大正大噴火)で、耕地が火山灰の被害を受け、これをきっかけに耕地整理事業が始まり、碁盤の目状に整然と区割された現在の姿です。

シラス台地は水はけがよすぎるため、水路も役に立たず、農業用水は地下水を井戸で汲み上げる以外になかったようです。
そのため、昔は比較的地下水位の浅い台地南部の井戸は深さが50m程度で、なんとか人力で水をくみ上げることができたようですが、
中部では牛の力を借りないとくみ上げられないほど深かく、80m以上の井戸も掘られていたようです。
今も「土持堀の深井戸」は鹿児島県指定史跡で残っています。
さらに、北部ではもはや井戸から水をくみ上げることは難しく、川から馬で水を運んだそうです。
そんな土地ですから、水田は殆どありません。
櫻島大根、イモ焼酎の材料のイモなどが主産物です。