玄倉川の岸辺

悪行に報いがあるとは限りませんが、愚行の報いから逃れるのは難しいようです

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政治は楽な仕事ではない

2006年09月11日 | 政治・外交
私はどうやらモヒカン族の端くれらしいので倫理よりもシステムが気になる。

大石英司の代替空港: 911で続くヨタ話
* 昨日のテロ朝サンプロで、テッシーが出てきて、盛んに、アメリカはイラク侵攻の根拠が出鱈目だったと認めたのだから、日本政府も、それを認めるべきだ、みたいな話をしていたけれど、私は全く無意味だと思う。そもそも日本は戦争に加担していないわけだし。

日本も誤り認めよ―加藤氏 イラク戦争の米報告書で [CHUNICHI WEB PRESS]
 自民党の加藤紘一元幹事長は10日のテレビ朝日の番組で、米上院の報告書がイラクの旧フセイン政権と国際テロ組織アルカイダの結び付きを否定したことに関し「米上院がイラク戦争を始めたときの情報は間違いだと認めたのだから、日本の政治家も政府も認めて楽になった方がいい」と指摘した。


「アメリカが行ったイラク戦争の当否」と「日本がアメリカを支持した決定の当否」は別問題だと思う。
無関係とまではいわないが、両者をひとつの問題として考えるのはおかしい。極端なことを言えば「イラク戦争が100%間違っていたとしても、支持することで日本が国益を得たなら何の問題もない」という考え方もできる。ここまで露骨なマキャベリズムは多くの善良な日本人から反発されるだろうけれど。
手嶋氏や加藤氏の真意は知らないが、伝えられるところからすると「アメリカが間違いを認めたのだから日本も間違いを認めるべきだ」ということらしい。私には奇妙な意見に聞こえる。まるで「日本は独自の判断を捨てアメリカに判断を委ねよ」と主張しているかのようだ。日本政府がイラク戦争を支持したのが仮に間違いだったとして(私はそうは思っていないが)、反対者たちはそれを「アメリカ追随」と批判していたのではなかったか。イラク戦争支持でアメリカに追随したのは間違いだが、米上院の報告書の内容は独自の検討もせず受け入れるのが正しいのか。

本当に批判すべきなのは「アメリカに判断を依存すること」のはずだ。「アメリカが大量破壊兵器の存在に確信を持っているから」イラク戦争を支持したことと、「米上院の報告書が過ちを認めたから」日本もその通り反省せよと主張するのとは判断の依存という意味で同じだ。日本人自身で情報を集めて判断する労力を惜しみ、結果だけ頂戴する安易なやりかただ。

加藤氏は間違いを認めて「楽になった方がいい」というけれど、「間違いを認める」理由が「楽になる」ためであるのならそんなことは全く必要ない。私は政治家に楽をしてほしいとは思わない。時に自分でも信じていないようなことを言い、痛烈な、あるいは理不尽な批判を浴び、自分の決断の責任を一身に背負って苦しみながら国益を守るのが政治家の仕事のはずだ。簡単に「過ちを認めて楽に」なりたがるような政治家を信頼することはできない。近衛文麿や細川護熙のようなタイプは政治家に向いていない。

「イラク戦争支持が過ちだったと認めること」が日本の国益になるのであれば私はそれに反対しないけれど、どうも「過ちを認めよ」論者の主張からは具体的利益が読み取れない。むしろ「過ちを認めるのは正しいことなので当然だ」という道徳臭を感じてしまう。私は政治の営みが結果として道徳に沿っていることを望むけれど、「正義」が直接に政治の目的になることは望まない。

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4 コメント

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Unknown (そふ)
2006-09-12 17:38:17
そもそも批判のための批判であって、真意などなく、ただの揚げ足取りだという理解だけど、間違いかな?



成分分析 (玄倉川)
2006-09-13 01:28:10
>そふさん

揚げ足取りと「純粋な正義感」とそのほかいろいろ混じってるんでしょうね、たぶん
Unknown (雪斎)
2006-09-17 04:53:36
>「アメリカが行ったイラク戦争の当否」と「日本がアメリカを支持した決定の当否」は別問題だと思う。

無関係とまではいわないが、両者をひとつの問題として考えるのはおかしい。極端なことを言えば「イラク戦争が100%間違っていたとしても、支持することで日本が国益を得たなら何の問題もない」という考え方もできる。ここまで露骨なマキャベリズムは多くの善良な日本人から反発されるだろうけれど。



拙者が米国市民ならばイラク開戦には反対したでしょう。しかし、拙者は、日本国民としては、対米支持を打ち出した小泉総理の判断を断固として支持します。この対米支持のお陰で、日米同盟の「絆」は深まった。どこに政策の優先順位があるかを考えない議論は、無駄です。





信頼 (玄倉川)
2006-09-18 18:48:09
>雪斎さん

お隣の国の大統領が訪米したときのあしらわれかたを見ると、ブッシュ大統領の全面的信頼を獲得した(手なずけた)小泉総理の凄腕を思わずにいられません。

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