玄倉川の岸辺

悪行に報いがあるとは限りませんが、愚行の報いから逃れるのは難しいようです

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ホンダ後のF1、F1後のホンダ

2008年12月14日 | 日々思うことなど
すっかり時機を逸してしまったけれど、ホンダのF1撤退について。

一週間前ニュースを聞いたとき、「しかたない」「残念だ」というよりも「正しい決断だ」「ズルズル引き伸ばさずスパッと決めてよかった」というすっきりした印象で受け止めた。いまでもその気持は変わらない。

私はこれでも長年のF1ファンでありホンダ好きである。
1976年にフジスピードウェイで行われた第一回「F1世界選手権・イン・ジャパン」をテレビで見たし、タミヤが「タイレル六輪車」をプラモ化したときは大喜びして買った。そして大人になってから所有した車やバイクの多くには「HONDA」のエンブレムが付いている。
そんなF1ファンかつホンダ好きの目から見て、ホンダの第三期F1活動には失望することのほうが多かった。
98年に「フルワークスでのF1参戦」を宣言したときは大いに期待した。やがて姿を現した真っ白いRA099はテストで驚くほどの速さを見せてくれた。だが、社内で参戦方針をめぐってゴタゴタが起き、結局ハーベイ(ポスルスウェイト)さんを切り捨てて「エンジンのみ供給」の方針に後退する。失意のハーベイさんが急死してしまったこともあり、ホンダF1の第三期は最初からイヤな感じで始まった。

その後の成績も一向にパッとしなかった。
新興チームのBARと組んだのはいいとして、同時期に参戦したBMW(ウィリアムズ)との成績の差は歴然としていた。ドライバーを代え、チームマネージャーを代え、車のデザイナーを変えても「たまに入賞するのが精いっぱい」という速さの不足はちっとも改善されない。
ジェンソン・バトンと佐藤琢磨をドライバーに迎えた2004年にようやく成果が現れ、琢磨はアメリカGPで表彰台に上り、チームはコンストラクターズランキングで2位となった。ようやくこれから「強いホンダ」の活躍が見られると期待したがぬか喜びだった。
その後の迷走と没落は書くまでもない。今年はついにトロロッソ(昔のミナルディ)以下の成績に落ち込んだ。F1ファンにもホンダ好きにも愛想をつかされるのは無理もない。一説によるとトヨタと並んでF1でもっとも資金量の豊富なチームだそうで、あまりの無駄遣いに笑うことさえできない。昨今の世界的経済状況を思えば撤退以外の選択はありえなかった。

大昔から見てきたF1ファンとして、最近、特に21世紀になってからF1の状況に異常なものを感じていた。
メーカーチームがあまりにも金を使いすぎた。ザウバー(現BMWザウバー)のスポンサーだったレッドブルが「豪華な」モーターホームを持ち込んで驚かれたころがなつかしい。今ではあの程度のモーターホームは貧乏臭いと言われるだけだ。
90年代のハイテク競争(アクティブサス・フルAT)には夢もあったが、最近の「ハイテク規制のなかで数百万ドルをつぎ込んで0.1秒を削る」マシン開発は空しい。特にここ数年のF1マシンはそこらじゅうに空力付加物が生えまくっていて醜い。なんとかグロテスクなカッコよさを見つけてきたが、ノーズ上面に生えた触角状のウィングですべて台無しだ。ホンダの触角はF1でいちばん醜く、成績の悲惨さとあいまって見ることさえ不愉快だった。あんな車に乗せられたバトンとバリチェロが気の毒だ。

マシンに地球の絵を描く「アースドリーム」コンセプトについても悪口を書こうと思ったが空しいのでやめにする。本当になんだったんだろうあれは。07年の後半、「応援してくれた人たちの名前」を細かく書き込んだデザインは泡沫チームのコローニを思い出させた。成績もコローニに毛が生えた程度なのでお似合いといえば言える。

F1ファンもホンダ好きも続けるつもりだが、湯水のように資金を浪費して最後尾近くを走る「ホンダF1」はもう見たくなかった。撤退のニュースを聞いてがっかりするよりむしろほっとした。これ以上空しい応援をしてストレスをためたら健康に悪い。
F1が「古きよきDFV時代」に戻るならそれでけっこうである。巨大メーカーの無駄遣いを見せられるより、レース屋さんたちが汗水たらし頭を絞るのを見たい。ホンダのほうはもっと大変そうだけれどがんばってほしい。F1休止ではなく「撤退」とすっぱり思い切ったのだから、気持を切り替えてべつの夢を実現してほしい。来年発表される新型インサイトにはとても期待している。

がんばれF1、負けるなホンダ。そして佐藤琢磨がF1に復帰できますように。

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セナの時代 (ノムさん)
2008-12-16 08:18:33
私もHONDAファンで、マイカーもHONDAです。
FIは二回だけ実物を見たことがあります。HONDAドライバーはセナでした。
一度はモンツァで、そのときセナは三位だったと思います。優勝はマンセルだったと記憶します。帰りのバスで財布を掏られました。
二度目は鈴鹿で、スポンサー筋から密かに通行証を入手し、ピットの上で観戦できました。その時は最終ストレートでセナが僚友にトップを譲りました。
セナが死んだのは確か'94年と思いますが、そのすぐ後にサンパウロを訪れる機会があり、セナの墓に参りました。多くの花がなければ周囲とまったく同じ規格の、墓標というか、プレートでした。
HONDAやトヨタが巨費を投じて、どうして勝てなかったんですかね?
私は結局ドライバーだと思うのですが、見当外れでしょうか? メカニックは実際にそのスピードを体験できないのですから、ドライバーの感覚を頼りとする他ないのだろうと思います。感じる能力と、それを伝える能力。私は第三期のHONDAも、M.シューマッハがドライバーであったなら、立派な成績を残したのではないかな、と想像します。

HONDAのF1撤退を、私も、ほっとした気持ちで聞きました。
F1マシンの純国産度は? (さつき)
2008-12-21 23:04:14
はじめまして、さつきともうします。
F1についてお詳しいようなので、教えてください。
以前、テレビ番組で、トヨタのマシンもホンダのマシンも純自社製という訳ではなく、例えば、車軸とホイールを連結する肝心な部品はずっと英国製の部品を使い続けているというような話を聞きました。
に本のF1マシンの純国産度はどの程度なのでしょうか。
最近、日本の技術力の底の浅さを実感することが多く、危機感を持っていろいろと調べています。

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