玄倉川の岸辺

悪行に報いがあるとは限りませんが、愚行の報いから逃れるのは難しいようです

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「岡田質疑応答メモ」デマの下らなさ

2009年10月28日 | 政治・外交
岡田外相が2ちゃんねるに書き込まれたデマに対して削除要請した由。

民主党衆議院議員 岡田かつや | お知らせ

岡田外相、2chに「ねつ造」質疑応答の削除を要求 - ITmedia News
 岡田克也外相と記者による質疑応答をねつ造した文章が掲示板サイト「2ちゃんねる」(2ch)に掲載されているとして、岡田外相の事務所は10月27日、2ch管理者に対し、プロバイダ責任制限法に基づき、該当する内容の削除と投稿した人物の特定を要求したことを明らかにした。要求に応じない場合、別の法的措置を検討するとしている。


問題とされた書き込みはこれ。

オカラ「天皇は植木職人に」「民主党に恭順しろ」ミンス工作員のデマ文?それとも本物?2chに出回る。 (魚拓

デマの拡散に手を貸すつもりはないから引用はしない。
一読して鼻で笑うしかないようなつまらないデマである。なぜデマと断定できるのか、その理由は後で書く。
私は「ネタ」は好きだけれど「デマ」は嫌いだ。何がネタで何がデマかといえば、面白くて気分よく笑えるのがネタで、ただムカムカして不快にさせられるのがデマだ。実際のところ「ちょっと笑った後で不快になる」ようなネタとデマの中間のような作り話も少なくないけれど、「岡田質疑応答メモ」には笑える部分がまったくない。純粋な(というのも変だが)悪意だけのデマである。実につまらない。

私はデマは嫌いだから、もちろん削除要請した岡田外相を支持する  …という気にもならない。「好きにすれば?別に止めないから」くらいの感じだ。応援する気もことさら批判するつもりもない。
そもそも、こんなデマが作られた原因は岡田外相の「天皇陛下の国会開会式でのお言葉は見直すべき」発言にある。個人的には岡田氏の心情はある程度理解できるが、今はそれを問題にする時期なのか、やり方は適切なのかといえば「バカらしい」と言うほかない。まったくもって余計なことをしたものだ。ロボコン0点。夏休みの宿題を済ませていない子供が8月も半ば過ぎてるのについゲームに手を伸ばすように、岡田外相は普天間とかインド洋とかアフガニスタンといった難問から逃げたかったのではないか。そんな想像さえしてしまう。

名誉毀損する悪質なデマの削除を依頼するのはともかく、「投稿した人物の特定を要求」というのは穏やかではない。政権党の国会議員、それも有力閣僚である外務大臣がそこまでするのは国家権力を振りかざすようでおっかない。岡田氏は例によって真面目なだけなのだろうが、後で悪い見本になりそうだから個人責任の追及はほどほどに手控えていただきたい(デマを飛ばした2ちゃんねらーを庇う気はないけれど)。


「お言葉を見直すべき」発言と、その後の岡田外相の弁明を聞くと、どうやら岡田氏は天皇の言葉が政治的に利用される危険について鈍感というかナメているように思われる。岡田氏自身は真面目人間だから天皇の政治利用など考えたこともないのだろうが、「自分はやらないから誰もやらないだろう」と信じているとしたらナイーブ過ぎる。

皮肉なことに、「岡田質疑応答メモ」がデマだと断言できるのもそのナイーブさのおかげだ。
岡田氏は天皇を政治利用してやろうと企んで「お言葉見直し」発言をしたわけではないだろう。だが、「象徴天皇を定めた憲法施行から60年以上が経っている。天皇を政治利用しようなんて、自分はもちろん鳩山内閣・民主党政権・国会議員の誰も思っていない(だろう)」という警戒心のなさが逆に危なっかしい。
「警戒心のなさこそが危険」という実例として、2003年に毎日新聞の記者がヨルダンで空港に不発弾を持ち込む事件があった。

毎日記者の手荷物爆発 ヨルダンの空港 : イラク情勢 : 特集 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
 【アンマン=奥西義和】ヨルダンの首都アンマンの南郊にある「クイーン・アリア国際空港」の手荷物検査所で、1日午後6時50分(日本時間2日午前零時50分)ごろ、手荷物の中にあった金属製物体が爆発し、ヨルダン人空港職員1人が死亡、3人が負傷した。うち1人は重体。ヨルダン警察当局によると、爆発物は毎日新聞東京本社写真部の五味宏基記者(36)の所持品で、警察は五味記者を拘束し、取り調べている。
(略)
 毎日新聞によると、同記者は取り調べに対して、爆発した物体について、イラク国内の道路脇で4月11日に見つけ、記念品として持ち歩いていたと供述した。使用済みで爆発しないと判断したという。日本政府に入った連絡によると、ヨルダン当局は、爆発物が新品だった点を指摘して、「五味記者は、爆発する危険性を十分予想できたはずだ」と追及しているという。


テロリストじゃあるまいし、自分の乗る飛行機に危険な不発弾を意図して持ち込むはずがない。この場合、記者はクラスター弾の撃ち殻だと思い込んで持ち歩いていたのである。空港に行く前に「あなたは危険な不発弾を飛行機に持ち込むのか!」と咎めたら、記者氏は「不発弾を持ち込んで何が悪い」と反論するだろうか。ありえない。それは確信犯の言い分だ。
悪意のない記者氏はいかにも心外そうな顔で「いや、これは不発弾じゃなくてただの撃ち殻です、何の危険もありません」と説明するだろう。うっかり事故、過失による悲劇はこうやって起きる。まことに危なっかしい。
「岡田質疑応答メモ」がデマだと断定できるのは、天皇が政治利用される危険を甘く見ている(そして、それこそが危険な)岡田氏を、正反対の確信犯として描いているからだ。一部だけ引用しよう。


「政治的中立とか…(…間…)
 政治的中立って憲法に書いてあるんですか?マニフェストに書いてあります?皇室の将来より民意ですよ。民意は民主党支持なんです。
 民意より皇室の維持が重要なんてあり得ない。民主主義です民意が"天皇は植木職人になるべき"というのならばそうなるんでしょ」


ああ、バカバカしい!
こんなファシストのパロディみたいなセリフしか思いつかなかったのだとしたらデマの作者は岡田氏のキャラクターを理解していない。はっきり言って頭が悪い。あるいは「わざと不自然なデマを作って引っかかる連中をバカにする」つもりだったのか。だとしたら性格が悪い。どちらにしても、こんなデマを作るくらいならもうちょっと面白い話を考えてほしいものだ。

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