玄倉川の岸辺

悪行に報いがあるとは限りませんが、愚行の報いから逃れるのは難しいようです

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威嚇射撃の流れ弾(落下弾)について

2009年06月03日 | 日々思うことなど
前の記事に威嚇射撃の流れ弾の問題を指摘するコメントをいただいた。

>真上に向けて発砲すれば、流れ弾が第三者に当たる確率はほとんどない。

ダウト。
イラン・イラク戦争停戦が決まったときは,イラク国民が撃った祝砲の流れ弾で,一説には200人以上が死亡したと言われています。(酒井啓子著『イラクとアメリカ』,岩波新書)


人口密度が高い日本においては
その確率は跳ね上がります。

結論から言えば、私は威嚇発砲の流れ弾にはそれほどの危険性はないと考えている。
「お前はずっと弾丸は危険だ、必要なとき以外は撃つなと言ってたじゃないか!?」と疑問に感じる読者がいるかもしれない。
威嚇発砲した流れ弾の危険を減らすためにはいくつかの条件がある。
上に向けて撃つ場合は、まず空が開けていること。
屋内はもちろん無理だし、ビルの谷間のような場所で弾丸が斜めに飛ぶと室内に飛び込む。たとえば去年の秋葉原連続殺傷事件の場合、周囲はビルが立ち並んでいるから威嚇射撃は危険だ。
状況によっては横や下に向けて撃つこともできる。とはいえ、弾丸が貫通したり跳ね返ると危険なので、標的は草地とか土嚢のような厚みと柔軟性が必要だ。それでも石や金属片に当たって跳弾するかもしれない。やはり真上に向けて撃つのがいちばん安全だろう。
「落ちてくる弾丸は危険じゃないのか」という心配はもっともだが、私は真上からの落下弾に大したエネルギーはないと考えている。実例を示そう。
 FBIのジーン・ジョーンズが、ガバで空中の空きカンを撃っていたら、たまたまあの重い.45ACPがジーンの頭に落下してきた。「ウーッッッ……」なんて声も出ないくらい痛く、でっかいタンコブまで出来たそうだ。

(註) ジーン・ジョーンズ=有名なFBI射撃インストラクター  ガバ=コルト・ガバメント

GUN誌、1980年5月号39ページより引用。
実用拳銃としては最大の45口径弾が真上から落ちてきても「でっかいタンコブ」ができる程度なのである。
Wikipediaによれば、.45ACPの弾丸は10~15g。一方、警察拳銃用.38スペシャルの弾丸は7~10g。よっぽど運の悪い人に落下弾が当たっても、大ケガはしないだろう。

念のため注意しておくと、これはあくまでも真上に向けて撃つ場合のことだ。斜めになればなるほど危険性が高まる。
真上に撃つ場合、弾丸は弾道の頂点で運動エネルギーを失い(正しくは位置エネルギーに変換されて)一瞬静止する。そのあとの落下速度は高度・重量・空気抵抗によって決まる。
だが、斜めに撃った場合は地面に落ちるまで発射時の運動エネルギーが残っている。38スペシャルでは弾丸の初速が800Km/hを超える。半減したとしても400Km/h。十分な殺傷力がある。

拳銃と物理についての質問です。- Yahoo!知恵袋
komekome_888さん

拳銃と物理についての質問です。ばかばかしいと思われるかもしれませんが子供に聞かれて答えに詰まってしまい、困っているのでどなたか回答お願いします。

実弾を威嚇射撃などで天空に向けて発射した場合、その弾はどの程度の高度まであがり、どのくらいのスピードで落ちてくるのでしょうか。また、その落ちてきた弾によって怪我をしたりする可能性はあるのでしょうか。拳銃の種類は警官が持っているリボルバーのタイプでご回答お願いします。



ベストアンサーに選ばれた回答 kudoi_hitoさん

真上に向けて発射した弾はいつか落ちてきますが、空気抵抗と重力が釣り合うところで速度の上昇は止まり、
その後は一定の速度になって落ちてきます。それを終端速度と言います。

終端速度の計算はけっこうややこしいのですが、必要な数字を入れると計算してくれるページがあります。
http://irws.eng.niigata-u.ac.jp/~chem/itou/ce/termvel.html

警官が持っている拳銃の弾は38SPL、およそ8gで主な材料は鉛です。
上記リンクだと球状の形をしていないと計算できないので、仮に直径1cmの鉛で出来た球体だとします。
すると終端速度は61m/sとなります。
8gの弾がその速度で落ちてくると威力は約15Jとなります。そこそこの威力で、当たったら怪我はするでしょう。
野球の硬球(148gだそうです)だと51km/hのスピードのデッドボールということになります。かるいキャッチボール程度でしょうか。
もっとも野球の球より小さくて尖ったものなので怪我の度合いは変わるでしょう。
大きなタンコブができるか、皮膚が裂けたり弾が少しめり込んだりする程度のものだと思われます。
よほど当たり所が悪くない限り死んだりすることはない、その程度の威力です。

これがライフルになると、弾の重さも威力も桁が変わってきます。
また真上ではなく斜め上に発射した場合は、終端速度に達する前に落ちてくることが有り得るので話が変わってきます。
よくこの手の質問があった場合に引き合いに出される、中東で祭の祝砲で死人が出る例は、
「ライフルを使い、必ずしもキッチリ真上に向けて撃ってない」例です。拳銃を真上に向けて撃つのとは全く条件が異なります。


「終端速度」で検索したら模範解答を見つけてしまった。回答者の kudoi_hito さん、そして質問した komekome_888 さん、ありがとうございました。
kudoi_hito さんの解説どおり、中近東のようにライフルを斜め上に向けて撃つと危険だが、拳銃を「真上に向けて撃てば」落下弾の危険は大したことないと思ってよさそうだ。





横須賀の事件とは関係ないが、銃関係のニュースでちょっと気になるものがあった。

中日新聞:原田伸郎さん書類送検へ 銃刀法違反、番組で猟銃手に取る:社会(CHUNICHI Web)
 元「あのねのね」のメンバーでタレントの原田伸郎さん(57)がテレビ番組で不法に猟銃を所持したとして、滋賀県警が銃刀法違反の疑いで、番組を制作・放送したびわ湖放送の本社(大津市)を捜索していたことが分かった。原田さんからも事情を聴き、銃を手渡した猟友会員や番組制作スタッフ、同社とともに書類送検する方針。

 疑いが持たれているのは1月17日に滋賀県余呉町で撮影、生放送された観光情報番組「ときめき滋賀’S」。番組を録画したDVDでは、原田さんは、民家で地元猟友会の男性(49)が持ってきた猟銃を手に取り、「うわ、重たいもんですね」などと話していた。

 銃刀法の規定で、都道府県公安委員会の許可を受けた人以外は銃を持ってはならない。許可を受けた人も正当な理由なく銃を携帯すると罰せられる。県警は、番組プロデューサーらや、プロデューサーの使用者であるびわ湖放送も銃刀法に違反した疑いがあるとみている。

 びわ湖放送の寺村和久取締役は本紙の取材に「事前に猟銃を持ってくるようには言っていないはずだが、半年前のことで現場にいた制作スタッフも記憶があいまい。捜査には全面的に協力している」と話した。猟友会員は「事前の打ち合わせの際にテレビ局側から頼まれ、銃を持っていった」と話している。

うーん、どうなんだろうこれは。
ちょっとやりすぎ、という感じがする。普段は民間の銃器所持に厳しい世論も「変だ、杓子定規すぎる」というものが多い(一例)。
とはいえ、実際のところは番組のビデオを見ないとわからない。
もしかしたら(あくまでも仮の話)、タレント氏が猟銃を手にしたとき「うわーカッコいい、持って帰りたいな」とか「貸してくださいよ、撃ってみたいんです」とか言ったのかもしれない。その場合は警察が「見逃すと悪い影響がある」と判断して捜査するのも理解できる。個人的には厳重注意でいいような気もするが、過去にも銃刀法違反で捕まった芸能人がいたことだし、万が一を心配したのかもしれない。
これはあくまでも最悪の仮定であって、記事のように「うわ、重たいもんですね」だけで銃を返していれば、わざわざ捜査する必要はないだろう。「本物の銃って怖いですね」「素人がうかつに触っていいものじゃない」とか言っていたらむしろ警察がほめてもいいくらいだ。

事件(?)の真相はわからないが、実銃所持者のみなさんはくれぐれも安全確認と管理を怠りなく。そして、私を含めた一般人(=素人)は実銃にみだりに手を触れてはいけません。

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1 コメント

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銃等法違反について (でんか)
2009-06-14 12:01:40
以前、銃の所持を考え所持講習を受けましたが、講師によると銃を他人に渡しても違法ということでした。
例として、奥さんが旦那に、玄関先で銃を渡しても、違法だと言ってました。
神奈川県警の話しですが。

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