玄倉川の岸辺

悪行に報いがあるとは限りませんが、愚行の報いから逃れるのは難しいようです

城内議員の「信念」

2010年03月05日 | 政治・外交
城内議員ブログの炎上は、去年の「眞鍋かおりポスター事件」をなぞるような形で続いている。
「つくづく懲りない人だ」と、呆れるのを通り越して感心してしまう。
城内議員があの調子でブログを続ける限り、無用に読者を怒らせて何度でも炎上騒ぎを繰り返すことだろう。

今回の炎上は「浅田選手の記事を書いたため」と呼ばれることが多いが、実際は3つの原因が合わさって大火事になった。ホップ・ステップ・ジャンプで事故自己記録更新だ。おめでとう城内選手。

ステップ1 浅田選手とキム選手の記事
ステップ2 スピードスケート女子団体追い抜き(チームパシュート)の記事
ステップ3 上の2記事が炎上したのを受けてのコメント

個人的には「ステップ2」つまりチームパシュートの獲得した銀メダルを「つめの甘さやちょっとしたミス」呼ばわりし「勝たなければしょうがない」と切り捨てたのがいちばんひどいと思う。傲慢というか勘違い野郎というか精神力馬鹿というか何というか。目の前でそんなことを言われたら「お前、何様のつもりだ!?思い上がるな!!」と激怒しそうだ。百分の一秒を競うトップアスリートに対して無礼千万である。

「ステップ1」、女子フィギュアの採点問題についてはあまり言いたくない。というか、私には言う資格がない。
ショートプログラムとエキシビジョンで浅田選手の演技は見たけれど、肝心のフリーはダイジェストでしか見ていない。なぜかといえば、先に結果を知ってしまって「真央ちゃんの涙を見るのは辛いな…」と思ったからだ。なんとも意気地がない。録画はしてあるので、そのうちにちゃんと見るつもりだけれど。たぶん半年後くらいに(やっぱり意気地がない)。
金メダルを獲得したキム選手についてはまともに見ていない。実を言えば、私はキム選手が嫌いなのだ。4年前に初めて知ったときは「浅田選手のいいライバルだな、競い合って技を磨いてほしい」と好感を持ったものだが、何年かして「練習妨害」アピール「安藤選手を減点しろ」アピールの話を聞いてがっかりした。いくら強くてもこういう選手を好きにはなれない。F1でシューマッハーを尊敬はしても応援する気になれないのと同じだ。
フィギュアファンのブログや2ちゃんねるなどを見ると、浅田・キム両選手の問題に限らずフィギュアスケートの採点について疑問と怒りがくすぶっている。私には多くの説明や推理のどれが正しいのか判断できないけれど、不明瞭なルールとジャッジのために選手とファンが振り回されるのは残念なことだと思う。
城内ブログに長文コメントを寄せているのはフィギュアファンが多いが、いささか陰謀論めいた韓国批判・キム選手批判が気になる。それこそ城内議員の「ステップ3」での逆切れを正当化しかねない。浅田選手の立派さ、演技の素晴らしさを語るのはいいがライバル批判はほどほどに。

「ステップ3」で城内議員は寄せられたコメントを「言葉尻をとらえての罵詈雑言のオンパレード」と切り捨て、真面目にフィギュア界の現状を説明し忠告した人たちを怒らせた。それよりなにより、城内議員を「保守政治家」と信じて応援してきた人たちを失望させたのは「私が命がけで反対した左派勢力推進の人権擁護法案(インターネット規制法案)の是非について真剣に再考してみたいと思った次第です。」という言葉だった。「ブログに批判コメントを書かれたくらいで『命がけで反対した』信念を曲げるのか」と怒る人の気持は理解できる。
私自身はと言えば、城内議員の器の小ささは前から知っているし、人権擁護法案には特に反対しない(推進派というわけでもないが)立場なので、単純に「何やってるんだか」と軽蔑するだけである。


さて、今年最大級のブログ炎上におそれをなしたのか、はたまた支援者から「いい加減にしろ」と叱られたのか、城内議員は謝罪記事とコメントを出した。

☆お知らせ☆ ブログでの発言について « 城内実のとことん信念ブログ
 2月27日の記事以来、皆様には貴重なご意見やお叱りをいただき、ありがとうございます。
 私のブログでのいくつかの発言が誤解を招くものであったこと、また、多くの方の気持ちを逆撫でするものであったことを認め、この場でお詫びするとともに、重ねて私の真意をお伝えしたいと思います。

城内議員が「浅田選手記事」で謝罪 「多くの人の気持ち逆撫でした」 : J-CASTニュース

なんともかんとも、形だけは整っているが真情の伝わらない薄っぺらな文章である。
私がひっかかったのは、ブログ読者の「気持を逆撫でした」ことを謝罪しているが「大敗」呼ばわりされた浅田選手と「つめの甘さやちょっとしたミス」で金メダルを逃したと貶められたチームパシュートへのお詫びがないことだ。これではかえって各選手のファンが怒りを募らせるだろう。「ステップ3」で人権擁護法案反対を見直し云々と口走ったことへの明確な反省もない。
眞鍋ポスター事件のときの説明謝罪(?)もそうだが、城内氏の対応は「遅すぎ」「身勝手」「ピント外れ」の三拍子がそろっていてかえって傷口を広げる。これが彼の持ち味なのだろう(嫌な持ち味だな)。

謝罪記事はまだいいとして、J-CASTのコメントにも新たな火種が転がっている。

城内議員はJ-CASTニュースの取材に対し、「私も浅田選手のファンであり、金メダルを取れなかったことが非常に残念だったことであのような冷静さを欠いた文章になった」と語った。
(中略) 
ただ、浅田選手の努力は認めるが銀メダルは銀メダル。「完敗」を認める事は重要で、「ルールのせいとか、置かれている環境のせい、など責任逃れをするような議論はよろしくない。全ては本人の努力と結果」と語る。

なるほど、浅田選手とチームパシュートに謝らないのはミスではなくて城内氏の信念によるものだったか。それなら腑に落ちる。ぜんぜん共感も支持もしないけれど。
怒るのもバカらしくなったので簡単に指摘するが、「ルールのせいとか、置かれている環境のせい、など責任逃れをするような議論はよろしくない。全ては本人の努力と結果」という言葉にはまことに驚いた。たしか城内議員は新自由主義(ネオリベラリズム)に反対する保守政治家を名乗っていたはずである。

◎ 政 治 ◎ 新自由主義経済の終焉   « 城内実のとことん信念ブログ

だが私には「全ては本人の努力と結果」という言葉こそまさにネオリベ的だとしか思えない。リバタリアンと言えばいいのか、自由主義の中でもかなりラジカルな部類だろう。私は特に反ネオリベでもネオリベ支持でもないのだが(正直言って経済のことはよくわからない)、反ネオリベを称する「とことん信念を貫く保守政治家」がホリエモンの言いそうなセリフを語って平然としているのを見るとさすがに呆れてしまう。もし私が筋金入りの反・新自由主義だとしたらこう言うだろう。

「何がなんでもルールに従え、というのはルールを作った強者の横暴を認めることになる。ルールは公平で多くの人が納得するものであるべきだ。環境に恵まれた人とそうでない人の間に極端な差が生まれるのは不公平だ。『全ては本人の努力と結果』というのは自己責任教で、政治と社会の責任を個人に押し付けているだけだ」

さて、城内氏のコメントとどちらが反ネオリベ的だろうか?


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1 コメント

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ま、べつにいいんじゃないの (Chiave)
2010-03-06 05:10:55
日本が韓国に負けたことの鬱憤をどこにぶつけていいかわからない人たちが、格好の標的をみつけて攻撃しているだけの話。
ネオべりがどうだのというむつかし話ではないでしょう。
城内議員がいったことは正論であり、負けは負け。潔く受け止めるべきものだ。