玄倉川の岸辺

悪行に報いがあるとは限りませんが、愚行の報いから逃れるのは難しいようです

情報の信頼性と熱量

2007年12月15日 | 日々思うことなど
タフですばしっこいゴキブロガー(自称)の私は当然このニュースにも興味を持つ。

今度は“ゴキブリラーメン”騒動 元バイト学生書き込み、バーミヤン激怒 - ITmedia News
 吉野家の「テラ豚丼」、ケンタッキー(KFC)「ゴキブリ揚げ」と、外食産業を狙い打ちにした“サイバーテロ”があったが、今度は、中華系ファミレス「バーミヤン」で「ゴキブリラーメン」騒動が勃発(ぼつぱつ)した。都内の私大2年の男子学生(20)が、日記サイトに「ゴキブリのだしが効いたスープでラーメンを出していた」などと書き込んだのだ。関連サイトは“大炎上”している。

2ちゃんねるニュー速+のスレッドを見ると、さすがに人間は経験に学ぶもので、これまでの流言蜚語への空騒ぎとはいくらか雰囲気が違う。
ケンタッキーの「ゴキブリフライ騒動」では熱に浮かされたようにヒステリックな断言とKFC叩きばかり目立ったが、今回の「ゴキブリラーメン」では落ち着いて物事を考える人がいる。
いろいろな立場から「証言の信頼性」「内部告発の適切な方法」「実名をさらしてネットで悪ふざけする怖さ」「風評被害に対する企業の対応」「信用毀損罪・業務妨害罪の成立要件」「外食産業における一般的な衛生状態」「個人的なゴキブリ遭遇体験」が語られており、集団心理や集合「痴」ではなく集合知がはたらいていると言える。

ちょっと不思議なのは、「証言」自体を比べると「ゴキラーメン」のほうが「ゴキフライ」よりまだしも具体的で信頼性がありそうなのに、騒ぎの熱量は逆に低くなっていること。
Wikipediaによると、流言の発生条件として「大切なこと(重要性高)が嘘か本当か分からない(不確かさ極大)ときに、流言が発生する」そうである。「ゴキブリフライ騒ぎ」のときは信頼性がゼロに近いぶん妄想をたくましくして疑いと怒りに取り付かれた人が多かったのだろうか。
…いや、なにも難しく考える必要はない。きっと2ちゃんねらは単純に「飽きた」のだ。そして「26歳女性店長」に萌えるのに忙しかったのである。彼女がどんなルックスと性格の持ち主なのかわからないのに!

まさに人間は想像力で動く生き物である。人の心に強く働きかけるのは冷たい現実(リアル)よりも熱い現実感(リアリティ)だ(参考記事「リアルとかリアリティとか」)。現実と密着した動物と想像力で動く人間の違いは決定的だ(岸田秀の受け売り)。
それは凄いことだけれど、ちょっと、いやかなり怖いことでもある。