大宰府での道真は、どのような日々を送っていたのであろうか?
物語は、タイトルから受けるようなコミカルなストーリーではなく、若干のユーモアはありつつも、痛快、悲哀を織り交ぜ、独自の解釈も盛り込んで、読後感さわやかな道真物語となっていた。
都での失意と怨嗟を引きずりながら大宰府に赴任してきた道真に接する、たちの心配りが実にいい。
かつて権勢を誇った雲上人に対して媚びすぎるわけでもなく、一人の目上の人間に対する適度な節度を持った心遣いがいい。
そして、バタバタしながらも、塞ぎがちだった道真の心を解こうと献身的なのがなによりいい。
この物語は、道真が大宰府にやって来たところから始まるが、物語の終わりに時点ではまだ亡くなってはいない。
おそらく、道真が大宰府で過ごした日々の中で、一番楽しかったであろう日々を描きたかったのだ。
真実の道真の人となりはこうであって欲しい、怨霊と恐れられた道真のいきさつの発端はこんなであったらいい、そして大宰府での道真は健やかな日々であってほしい、そんな作者の願いが伝わってくるからだ。
まさに、この小説は、作者から道真への鎮魂のメッセージのようだ。
満足度は、7★★★★★★★
泣くな道真 大宰府の詩 (集英社文庫) | |
澤田 瞳子 | |
集英社 |
歴史探偵の気分になれるウェブ小説を知ってますか。 グーグルやスマホで「北円堂の秘密」とネット検索するとヒットし、小一時間で読めます。北円堂は古都奈良・興福寺の八角円堂です。 その1からラストまで無料です。夢殿と同じ八角形の北円堂を知らない人が多いですね。順に読めば歴史の扉が開き感動に包まれます。重複、 既読ならご免なさい。お仕事のリフレッシュや脳トレにも最適です。物語が観光地に絡むと興味が倍増します。平城京遷都を主導した聖武天皇の外祖父が登場します。古代の政治家の小説です。気が向いたらお読み下さいませ。(奈良のはじまりの歴史は面白いです。日本史の要ですね。)
読み通すには一頑張りが必要かも。
読めば日本史の盲点に気付くでしょう。
ネット小説も面白いです。