万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

ドイツはダブル・スタンダード!?

2008年02月16日 17時11分27秒 | 国際政治
中国外務省の談によりますと、ドイツとの関係修復の合意に際して、チベット独立を支持せず、また、台湾の国連加盟の是非を問う国民投票の実施にも反対する、とするメルケル首相の言質をとったと言います(本日付日経朝刊)。この報道の真偽のほどはわかりませんが(中国政府は、しばしば勝手な翻訳をしますので・・・)、もし、本当であるとしますと、ドイツの政策は、ダブル・スタンダードになるのではないか、と思うのです。

 現在、EU諸国の多くは、ヨーロッパの内部問題とも言えるコソボ独立については、民族自決を尊重し、早々に独立承認を行う構えを示しています(明日にもコソボの独立宣言が・・・)。その一方で、アジアに関しては、チベットが侵略されているという事実にも、台湾の独立にも否定的ということになりますと、国際社会において共通の原則であるべき民族独立の原則は、巧妙に使い分けされていることになります。コソボと比較しましても、チベットの国家としての歴史は長いわけですし、また、台湾の独立国家としての地位は国際法に照らしても合法的なのですから、ドイツの方針は、ダブル・スタンダードということになりましょう。

 これまでメルケル首相は、多くの諸国が中国になびく中で、ダライ・ラマ一四世と会談するなど、侵略行為や国民弾圧に対して毅然とした態度で反対を表明してきました。それだけに、今回の態度豹変は、まことに、残念でなりません。中国の覇権主義を止めなくては、国際社会は、決して安全と安定を得ることはできないのですから。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。

にほんブログ村 政治ブログへ
コメント (1)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

薬害肝炎で救うべきは1万人か28万人か

2008年02月15日 17時37分34秒 | 日本政治
「フィブリノゲン」投与記録、9千人分を確認…厚労相(読売新聞) - goo ニュース
 
 薬害肝炎問題については、当初1千人程度とされた救済対象の人数が、再調査の結果、9千人程に上ることが判明しました。この再調査により、救済の範囲が飛躍的に拡大することにはなったのですが、どうも腑に落ちない点があるのです。

 それは、立法措置によって救済を講じる場合、カルテ等の投与証明がある一部の人々に限定すべきなのか、それとも、証明がないにせよ、投与された28万人を対象とすべきか、という問題です。本来、投与された方々の立場は同じなのですから、医療機関側の記録保存の状況によって、天と地ほどの開きが生じてしまうことは望ましくありません。このことを考えますと、救済策は、肝炎一般を対象に行うべきではなかったか、と思うのです。ただし、推定1千人に対して予算が200億円程が見込まれているそうですので、28万人となりますと、莫大な予算がかかってしまいます。9千人でさえ、単純計算で1800億円となり、28万人となりますと5兆6千万円ともなりますので、財政上、不可能な数字となってしまいます。

 政府は、救済策を法案化するに先立って、不公平がないように、最大28万人が救済対象となることを考慮すべきであったと思うのです。また、他の救済問題とのバランスも考えて、予算に上限を設けることも必要なのかもしれません。このままでは、証拠がなく、救済の対象から外れた圧倒的大多数の患者の方々や、厚生省の落ち度によって財政負担を負うことになった国民には不満が残りましょうし、何とも、合点のいかない杜撰な救済策となってしまうように思うのです。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。

にほんブログ村 政治ブログへ

  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

製品開発が排出削減評価につながる方法

2008年02月14日 20時05分05秒 | 国際経済
 地球温暖化防止のための様々な制度が検討されていますが、企業が、エネルギー効率を改善した製品を研究・開発し、それを広く販売した場合、その製品の売上数に比例して、排出削減効果として評価する方法はいかがでしょうか。例えば、既存の製品のエネルギー使用量を100とした場合、これを新製品の開発によって80とした企業には、20×製品販売数の削減評価を受けられるとするものです(単位は後で考えます・・・)。

 これまでの案では、発電所や製鉄所といった大型施設に対して、生産段階での温暖化ガス削減を求めるものが多くを占めてきており、環境配慮の製品の使用による削減効果は評価の対象とはなってきませんでした。このため、市場のメカニズムに、削減インセンティブを充分に組み込みことができなかったのです。しかしながら、上記の製品開発評価方法を採用しますと、消費を冷え込ませたり、生産に制限を加えることなく、温暖ガスの削減を実現することができます。

 経済と環境とは、評価システムを工夫するだけで、かなり両立する可能性が高まるのではないか、と思うのです。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。

にほんブログ村 経済ブログへ

  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

排出権キャップ方式は班田収授法になる?

2008年02月13日 17時38分12秒 | 国際経済
 排出権取引については、既にEUが各企業に有償で排出枠を割り当てるキャップ方式の導入を検討しており、各国とも、制度設計に関する議論が活発化してきているようです(本日付日経朝刊「経済教室」)。ところで、このキャップ方式、有償無償にかかわらず、班田収授法と同じような運命を辿るかもしれないと思うのです。

 班田収授法とは、646年の大化の改新に際して、各人に一定の口分田を与えた制度です。しかしながら、この制度は、100年あまりで崩壊することになりました。崩壊の原因は、固定的な配分方式では、田畑の開墾などによる農地の変化についてゆけなったからです。このことは、排出権取引の制度でも、キャップ方式による初期配分が、その後の市場の変化に充分に対応できない可能性を示しています。初期配分は、配分時点の実績や状況によって決定されますので、刻一刻と変化する市場にあっては、長期的に初期の配分枠を維持することは困難なのです。市場には、消費者のニーズに合わせて生産規模を拡大させる企業もあれば、縮小させる企業もあります。もし、キャップ制度を公平に保とうとするならば、短期間で配分を常に調整してゆかなくてはならなくなるでしょう。

 市場は生き物ですので、時間とともに変化します。変化するものに対して、固定的な枠を設定することは、市場の健全な成長を歪める要因となりそうで、心配なのです。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。 

にほんブログ村 経済ブログへ

  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

日本国の使命は中国との喧嘩

2008年02月12日 18時44分38秒 | アジア
東シナ海ガス田が奪われる日-対等な日中関係は喧嘩なしでは築けない-中川昭一(衆議院議員・自民党)(1)(PHP研究所) - goo ニュース

 『権利のための闘争』という19世紀にイェーリングの著した書物があります。この本は、自己の権利=法を守るためには、不法な侵害に対して闘わなければならないことを訴えています。現在の中国に対する対応を考えますに、つい、この本の意図するところが思い起こされるのです。

 日本国が、中国に対して抗議し、反論を述べている内容は、決して、国際法に反した不当な要求でも無理難題でもありません。その反対に、中国政府が、軍事力を背景に推し進めている不法行為、あるいは、不当な要求に対して、当然な対応をしているのです。これで、両国間に喧嘩が起きたとしても、それは、法による国際秩序を守るためには、いたしかたのないことです。逆に、もし、日本国が正当な抗議をしないとなりますと、あっという間に、アジアは、中国の覇権主義に飲み込まれてしまうかもしれません。友好のスローガンに隠れてひたすら追従し、中国の覇権主義を許せば、日本国は、後世に災いを残すことになりましょう。

 日本国のアジアにおいて果たす役割とは、もしかしますと、中国と”喧嘩”することなのかもしれません。”喧嘩”によって、法による秩序が守られ、アジア諸国が安全を得られるならば、日本国こそ、中国との”喧嘩”を買って出るべきなのではないでしょうか。

 よろしければ、クリックをお願いいたします。

にほんブログ村 政治ブログへ
コメント (1)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

G7は悪循環を止められる?

2008年02月11日 18時21分17秒 | 国際経済
G7声明文の要旨(ロイター) - goo ニュース

 現在、各国とも株式市場の相場が下落傾向にあり、その原因の一つとして、ヘッジ・ファンドなどによる原油買い・株式売りによる値ざや稼ぎが指摘されています。国際投資家の投資先の多様化は、これに呼応する証券取引所の取引商品の拡大にも及び、アジア市場にも、排出権などにも巨額のマネーが流れ込みそうです(本日付日経朝刊)。それでは、この傾向が続きますと、どのような結果が待ち受けているのでしょうか?

 まず言えることは、製造業にとっては、冬の時代が到来しそうということです。原料や排出権価格の上昇は、企業の収益を悪化させます。また、証券市場からのマネーの逃避は、企業の資金調達を難しくしますし、設備投資が減少しますと、生産性のアップや温暖化対策の速度も遅くなるかもしれません。

 そうして、何よりも心配されることは、商品市場発の輸入インフレが、世界規模で発生することです。商品市場へのマネー流入は、全ての国の物価水準を押し上げる効果があります。膨張した投資マネーが、経済成長によって充分に吸収されなかったり、あるいは、経済の効率化をもたらす投資に向かわない場合には、全般的なインフレ、あるいは、バブルを招いてしまうのです。インフレは、国民生活を直撃しますので、決して望ましいことではありません。

 この現象は、経済のメカニズムにおける悪循環と言えそうです。商品市場に資金が集まれば集まるほど、経済活動の方は衰退するのですから。今回のG7の話し合いを見ましても、どうやら、こうした悪循環を断ち切る政策協調は打ち出されていないようです。もとより、外因性のインフレに対しては、中央銀行の政策には限界がありますし、財政政策も、国庫に余裕のある国にしかできません。果たして、誰が、この悪循環を止めるのでしょうか。もしかしますと、それは、投資の流れを健全化するための商品市場の規制政策かもしれません。

 よろしければ、クリックをお願い申しあげます。

にほんブログ村 経済ブログへ

  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

中国調査団は日本国の警察権を侵害?

2008年02月10日 17時14分12秒 | アジア
生協側、中国にギョーザ提供=殺虫剤検出と同製造日-警察が保管要請 (時事通信) - goo ニュース

 事もあろうに、厳重保管を依頼されていたはずの生協が、事件の調査のために来日した中国政府の調査団に未開封の餃子を提供してしまったと言います(生協側は、日本国の捜査当局との連絡の行き違いを主張しているようですが・・・)。この中国政府の行為は、日本国の警察権、つまり、主権の侵害に当たるのではないか、と思うのです。

 国内で発生した事件の調査は、国際法においては国内管轄事項として扱われ、不干渉が原則となっています。しかしながら、今回の事件については、中国側の調査団は、証拠となるべき物品を独自のルートで入手したわけですから、いわば、押収行為を行ったことになります。これは、明らかに日本国の警察しか行えない行為であって、たとえ事件の発生地が中国であったとしても、中国側調査団には、他国において警察権を行使する権利はないはずです。少なくとも、日本国の捜査当局の許可を要したと言えましょう。

 未開封の製品は、農薬の混入地を決定する動かぬ証拠となるものですので、この問題は、事件の解決に悪影響を及ぼしかねません。日本国の警察は、政府を通して、速やかに、中国政府に供出物の返還を求めるべきではないか、と思うのです。見過ごしてしまいますと、あたかも、日本国が、中国に対して自国領域内における警察権の行使を容認したとも取られてしまうかもしれませんので、充分な注意が必要です。

 よろしければ、クリックをよろしくお願い申し上げます。

にほんブログ村 政治ブログへ
コメント (2)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

移民の心得は必要?

2008年02月09日 18時05分45秒 | 国際政治
英国国教会大主教「イスラム法部分適用」 「1国2制度になる」論争に(産経新聞) - goo ニュース

 イギリスは、長らく国内の移民政策として、いわゆる”サラダ・ボール方式”を採用してきました。世界各国からイギリスに渡って来た移民の人々は、それぞれのコミュニティーを形成し、出身国の文化や生活習慣、宗教等を保持することを認めてきたのです。

 ところが、イスラム教のように、社会生活にイスラム法がしみ込んでいる場合、イスラム教徒の移民は、自らの信仰を保ちながら、家族法についてはイスラムを離れることに抵抗を感じることになります。イスラム系の移民は、受け入れ国の法律に従うことが、イスラム教の教えであるシャリーアに反する行為を行っているという感覚を持つからです。つまり、”自国”への忠誠心とイスラムへの信仰との板挟みになるのです。

 それでは、英国国教会主教の提言のように、受け入れ国側が、イスラム法を部分的にではあれ、認めるべきなのでしょうか。一たびこの方法を認めますと、イスラム教徒ばかりを特別扱いできませんので、一国二制度どころが、一国多制度なってしまうかもしれません。また、同じ民族や宗教の間にはさしたる問題が起きないとしても、異民族や異教徒間の婚姻や離婚の場合には、両者のルールが競合して、問題が複雑化しそうです。

 思いますに、スカーフの着用といった生活習慣を認めることは可能であっても、法律行為については、やはり、受け入れ国の法律を遵守する必要はあるかもしれません。移民する側にも、受け入れ国の法律を守るという心得と覚悟がなければ、むしろ、信仰を優先し、移民しないほうが良いのかもしれないのです。多民族国家化の現象はイギリスのみの問題ではありませんが、やはり、優先順位や多文化容認の範囲を決めておきませんと、どの国も、カオスに陥らないとも限らないのです。
 
 よろしければ、クリックをよろしくお願い申し上げます。

にほんブログ村 政治ブログ 政治・社会問題へ

  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

スカーフ容認がトルコを変える?

2008年02月08日 18時06分29秒 | 中近東
スカーフ着用容認へ改憲案承認=トルコ国会(時事通信) - goo ニュース

 ケマル=パシャ以来の近代化路線を継承して、トルコは、政教分離を柱とした世俗主義の道を歩んできました(トルコにはスルタンがいたため、特に敏感・・・)。そのトルコにおいて、イスラムの象徴でもある女性のスカーフ着用が、大学において容認されると言います。この措置から予測されるトルコの行くへには、大きく分けて二つの方向性あります。

 第一の方向性は、文字通り、スカーフの着用容認は、トルコ社会のイスラム回帰を意味するというものです。そうして、それは、政治的にも政教分離の原則が揺らぎ始めた兆候でもあり、西欧との挟間にあって、トルコが、イスラム側に顔を向けたことになります。

 第二の方向性は、これによって、トルコ国内の個人の自由がより広がるとするものです。そもそも、服装に関して国家が禁止措置を取ること自体が、現代国家の原則である個人の基本的な自由を侵害しているとも考えられます。そうして、トルコの場合には、スカーフの容認は、信教の自由のみならず、学問や職業選択などの自由にも及ぶかもしれません。記事にあるように、もし、スカーフ禁止令が大学における女子教育の機会を奪っていたとしましたら、容認への転換は、女性にとっては、人生のチャンスを広げることになりましょう。

 さて、トルコは、どちらの方向に進むのでしょうか。これは、今後、トルコの女性たちが、どのように考え、どのように行動し、そうして、トルコ社会がそれをどのように受け止めるか、によって明らかとなってくるでしょう。許容される範囲で、社会にイスラム教の慣習が残っていたとしても、政治的には、政教分離を維持することも可能なのかもしれないのですから。

 よろしければ、クリックをよろしくお願い申し上げます。 
 
にほんブログ村 政治ブログ 政治・社会問題へ

  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

毒入り餃子事件は司法解決で

2008年02月07日 18時44分06秒 | 国際経済
中国の製造元など起訴 米連邦大陪審 ペットフード中毒死で(産経新聞) - goo ニュース

 中国製の食品による実害が多々発生しているにも拘わらず、相手が中国となりますと、なかなかスムースに解決しそうにありません。そこで、アメリカでは、中国に所在する製造元を刑事犯として起訴するようです。この方法、もしかしますと、日本国も”毒入り餃子事件”に用いるべきかもしれません。

 日本で発生した”毒入り餃子事件”については、日本国政府の弱腰の姿勢が目立ち、中国政府に対して必要以上に気を使っている様子が伺えます。この頼りない態度には、政治の場における力関係が働いているともとれなくもありません。玉虫色の政治的な決着さえあり得そうです。こうしたうやむやな解決を回避するためには、むしろ、政治からきっぱりと切り離し、司法の場に持ち込む方が、解決の近道とも考えられます。幸いにして、日本国の刑法でも、国内で起きた傷害事件は国外犯であっても罪を問うことができます(刑法第三条の二)。

 事件性がある場合には、政府が表に出るよりも、独立性が保障されている司法サイドに任せた方が賢明と言えましょう。訴訟が増えれば、中国も、現代国家における司法の役割を学ぶ機会となるかもしれません。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。

にほんブログ村 経済ブログへ

  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

共和党と民主党で微妙に違う国家観

2008年02月06日 19時23分36秒 | アメリカ
速報スーパーチューズデー コラム「大手町から見る米大統領選」(16回目) (gooニュース) - goo ニュース

 今日は、大統領選の行方を占うスーパーチューズデーということで、テレビやネットでは、選挙の開票結果が盛んに速報されています。現在のところ、両党とも決定的な勝敗は付いていないとのことですが、両党の候補者選びの制度から、微妙な国家観の違いが見えてきます。

 共和党の場合には、大統領本選と同様に、党レベルであっても、最も多くの得票を獲得した候補者が、州毎に割り当てられた代議員数の全てを獲得する”総取り方式”を採用しています。一方の民主党は、州毎ではありますが、候補者の得票数に応じて代議員を割り当てる”比例分配方式”を用いているのです。それでは、両者の違いは、何に起因しているのでしょうか。

 建国以来の歴史を振り返ってみますと、アメリカは、独立的な州が合邦した”合衆国”として成立しました。このため現在でも、アメリカでは、大統領は州が決定するという意識が強いのです。この伝統を引き継いで、共和党は、大統領選挙における”州”の選択を重視していると理解することができます。対して、比例制を採用している民主党は、大統領の選出には、”個人”の選択をより強く反映すべきと考えているようです。つまり、民主党の方は、”単一国家”の考え方に近いのです。

 両党の選挙制度の違いが、アメリカの国家間の違いをも表していることは、大変、興味深いことと思うのです。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。

にほんブログ村 政治ブログへ

  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

待望される正義の味方

2008年02月05日 17時50分18秒 | 国際政治
「ランボー」最新作がミャンマーで人気、反軍政に一役(読売新聞) - goo ニュース

 現代社会を眺めてみますと、悪者をばったばったと打ち倒す正義の味方なんてもう古い、という意見が大半を占めそうなのですが、それでも人間とは、頭の片隅で正義の味方を待望するものなのかもしれません。況してや、現実に”悪者”が大手を振って権力と暴力を振りかざしている国であれば、なおさらのことです。

 ビルマでは、密かにアメリカの映画「ランボー」が人気を集めていると言います。この現象もまた、日常的に政府の弾圧に曝されているビルマ国民の心理を映しだしていると言えそうです。たとえ、それが仮想の世界の作りものであったとしても、国民は、自らを苦境から救い出し、悪を成敗してくれる正義の味方の登場を心から希求しているのです。

 本当のところを言いますと、ビルマの国民自身が、自らの手で圧政を敷く政府を倒すことがベストなシナリオとは言えましょう。しかしながら、軍事政権である限り、政府と国民との物理的な力の差ははっきりしており、国民が行動を起こすことも簡単ではありません。ですから、少なくともビルマの軍事独裁に反対する諸国は、「ランボー」ほど華々しくはなくとも、悪の弾圧国家と闘う正義の味方ではあるべきと思うのです。

よろしければ、クリックをお願い申し上げます。

にほんブログ村 政治ブログへ
コメント (2)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「国際標準」の功罪

2008年02月04日 18時42分35秒 | 国際経済
 1994年に、WTOにおいて、国内規格は国際規格に従うべし、とするTBT協定が成立して以来、”「国際標準」を制した者がグローバル市場を制する”、とする認識が広まることになりました(本日付日経朝刊)。この結果、EUをはじめアメリカや中国なども、国際標準を制定する国際機関(ISOやIEC…)に自国出身の委員を送り込もうと鎬を削っていると言います。

 確かに、国際的に製品やサービスの基準が標準化されますと、”規格”という非関税障壁が撤廃されますので、貿易を円滑化する効果が期待できますし、また、製造段階においても、国別生産のコストを省くことができます。「国際標準」は、市場のグローバル化に益しているとは言えそうです。

 しかしながら、その反面、「国際標準」が、国家間の力関係や人脈によって決まるという面には問題がありそうなのです。もちろん、自国に有利な規格を採用させるために、国際機関への自国出身者を増やすという対応もあるのですが、「国際標準」というものの本質に照らしますと、それが、ベストとは思えないのです。何故ならば、政治的に決定された「国際標準」が、必ずしも最も優れた基準であるわけではありませんし、むしろ、大国の国内規格の押し付けが起きてしまう可能性もあるからです。

 「国際標準」をより信頼性の高いものにするためには、むしろ、政治力学が働かない中立・公平な組織を構築する方が望ましく、もし、それができないならば、自由競争に任せて最適な基準への収れんを待つ方が良いのかもしれません。何れにしましても、公正であって、かつ、時代の変化に柔軟に対応できるような仕組み作りへの努力は必要のように思うのです。

よろしければ、クリックをお願い申し上げます。

にほんブログ村 経済ブログへ

  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

”毒入り餃子事件”の日中攻防戦

2008年02月03日 18時40分55秒 | アジア
殺虫剤の混入は人為的か 岸田国民生活担当相(共同通信) - goo ニュース
 
 果たして、”毒入り餃子事件”の真相は、解明されるのでしょうか。この事件、どうやら、犯行現場をめぐる日中の攻防戦に発展しそうなのです。

 その兆候は、毒入り餃子の袋に1ミリほどの穴が外部から開けられていた、という情報が、大々的に報じられた時点において、既に見られました。もし、これが、梱包後に犯罪が行われた証拠となりますと、犯行現場は中国以外でもあり得ることになります(つまり、日本国内)。その一方で、外部からの毒物注入がない場合には、当然に、犯行現場は中国に特定されます。おそらく、中国政府の何らかの圧力か、工作活動によって、日本国内での外部注入説の可能性が残されたとの見方もできます。

 現在のところでは、中国の天洋食品の幹部も河北省輸出検疫局の局長も、口裏を合わせるかのように、現地での毒物混入はあり得ないと述べていますが、中国の政府機構が、中央集権的であって、治安当局が政治的支配下にあることを考えますと、公正な調査が行われる望みは薄そうです。ですから、日本国政府は、中国政府に対して、厳正な調査と真相の究明を強く迫らねばならぬ立場にあるのです。もし、この事件がうやむやにされるとなりますと、日中双方の政府とも、信頼を大きく失墜させることだけは確かなのですから。
 

よろしければ、クリックをお願い申し上げます。

にほんブログ村 政治ブログへ

  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

国籍を決める権利は誰のもの?

2008年02月02日 15時46分27秒 | 日本政治
外国人選挙権「憲法に反する」 自民若手有志の会(産経新聞) - goo ニュース

 日本国のみならず、移民の法的地位については、常々国内的な議論を呼ぶものです。外国人選挙権については、憲法違反である疑いが濃いことは確かなのですが(憲法違反については、本ブログ1月24付けの記事「最高裁判所が憲法の抜け道をつくる」http://blog.goo.ne.jp/kuranishimasako/e/370e155268351001ba11785b9004f18dをご覧ください)、国籍取得の許可制から届け出制への変更も、著しくバランスを欠くとともに、危険な法案のように思うのです。

 そもそも、国民のメンバーシップを決める権利は、誰にあるのでしょうか。抽象的な理想論の立場にたてば、それは、個人の選択の自由、ということになりましょう。しかしながら、現実には、既存の国家の国民集団が存在しており、国籍取得を望む人は、その集団のメンバーシップ(国籍)を獲得しなくてなりません。現に、全ての国には国籍法が制定されていますし、「世界人権宣言」にあっても、国家の領域内の自由移動と自国からの離脱権しか認めていません。ですから、本当のところは、国家および既存の国民の側にも、メンバーシップを認める権利があるのです。この加入手続きは、他の一般の任意団体と変わりはありません。

 国籍が生命・身体・財産に関する基本権とは異なって、特別の権利であるとすると、届け出制への変更は、国籍取得希望者の権利のみを一方的に認める制度となります(受け入れ側の承認権の放棄)。仮に、日本国への忠誠心や犯罪歴といったものも問わずして国籍を付与しますと、後々、日本国内の分裂要因となりましょう。永住権者が特定の国(韓国・北朝鮮)に限られていることを考慮しますと、表で議論されていない国籍法改正案の方が、むしろ、外国人参政権法案よりも危険度が高い法案なのではないでしょうか。

よろしければ、クリックをお願い申し上げます。

 にほんブログ村 政治ブログへ

  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする