万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

経済優先による独立性の喪失-韓国は過去を反省しているのか?

2018-01-08 15:32:54 | 国際政治
昨年、韓国政府は、THAADの配備・運営の配慮を含め、中国に対して自国の対外政策を縛る約束を交わし、対韓経済制裁の緩和という果実を手にしました。主権の制限という代償を払ってまで、韓国は経済的利益を選択したこととなります。

 中国の13億の市場は、かくも絶大なる政治的効果を見せつけたのですが、この選択を見る限り、韓国が、過去の歴史を反省しているとは思えません。何故ならば、1910年の併合条約により、日本国によって韓国が併合された背景には、ロシアの極東侵出(南下政策)の脅威と並んで、韓国の経済事情があったからです(当時は大韓帝国と称したものの、ここでは韓国と表記)。

 日本国による韓国併合に際しては、韓国国内にあって反対論も無いわけではなかったものの、当時、韓国最大の政党であったとされる「一進会」をはじめ、併合に賛成する勢力も少なくありませんでした。韓国側の已むに已まれない事情として指摘し得るのは、その莫大な対外債務です。イザベラ・バードの『朝鮮紀行(1905年)』によれば、1910年の併合に先立ち、韓国は、財政顧問(税関長?)であったジョン・マクレヴィ・ブラウンの発案を受けて、不潔極まりなかったソウル市内の整備などに着手しています。こうした近代化政策には、当然に巨額の資金を要しますので、同国政府は、日本国内で国債を発行するなど、資金調達に奔走したのです。また、日本以外にも、ロシアやイギリス等の列強諸国からも借金を重ねており、同国の“台所事情”は火の車であったと言います。

 恒常的な財政難は、防衛面においても韓国の弱体化を招きます。十分な軍事費を捻出できなければ、ロシアの軍事的脅威に対抗することは到底できないからです。かくして韓国は、併合を選択することで、借金の肩代わりを日本国にしてもらうに留まらず(韓国の対外債務は日本国が完済…)、毎年、日本国からの財政移転を受ける立場を獲得します。また、朝鮮半島の防衛を日本国に丸投げすることで、防衛費の負担をも免除されたのです。

今日、韓国は、日本国による併合を1000年の恨みとして糾弾しておりますが、当時の韓国が主権(統治権)を他国に移譲したのも、今日の同国の政府と同様に、経済問題を優先させたからに他なりません。しかも、今日の場合には、米中対立の最中にあって、経済は中国に依存しながら防衛はアメリカに依存するという、救い難い二面外交の状況にあると言えます。加えて、中国は、韓国を属国化はしても、かつての日本国のように、同国に対して統治責任を以って財政移転や各種の支援を行うとも思えません。韓国は、日本国に対して過去の歴史の反省を求めるよりも、まずは、自国の過去を歴史の教訓とすべきではないかと思うのです。

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2 コメント

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迎撃ミサイルは (Unknown)
2018-01-09 05:12:17
ソフトを交換するとトマホークになるので大連や瀋陽も攻撃できるのだろう。そこで韓国を叩いたけど、これが囲碁の布石みたいなもので、なかなか意図が読めない。
全球的時代に覇権国家になった英米は覇権のコストに気が付かなかったか?イギリスは耐え切れずアメリカもコストに苦しんで衰退し始めた。チャイナはもとから地域的覇権国家だったから、コストに気がついている。外征して属国にするよりは朝貢させるほうが安くつく。琉球などは持って行ったものより、はるかに多くのお土産をもらい、さらに明や清の旗を船に掲げて海賊除けをした。
韓国が中国の属国になるほうが中国の衰退につながるかもしれないのでよいのだけど、たぶん属国にはしない。自力で国家運営ができるから。
南北朝鮮は東アジアの一等国になるチャンスでもあるが、さあどうなるか?朝鮮民族の内戦をやめればだが。人口も8000万人、日本とそれほど違いはない。
Unknownさま (kuranishi masako)
2018-01-09 09:58:53
 コメントをいただきまして、ありがとうございました。

 歴史からしますと、朝鮮半島の属国化は、宗主国である中国の軍事行動を機としていますし、朝鮮半島の歴代王朝は、自ら中国中心の華夷秩序の下で王の位を保障してもらうことを望んでおります。今般の一件は、この歴史的な行動パターンを踏襲しており、中国の属国にならないとは言い切れないのではないでしょうか。

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