万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

日本国政府の対中接近は逆効果では?

2017年12月25日 19時47分56秒 | 国際政治
日中与党交流が開幕
報道に拠りますと、中国の習近平政権は、情報統制の一環としてネット情報の取締りを強化し、インターネット当局が、ネット上の1万3000サイトと1000万のSNSのアカウントを閉鎖したそうです。習独裁体制の盤石化が狙いなのでしょうが、この措置は、日本国政府の対中政策にも影響を与えるのではないでしょうか。

 情報統制の厳格化の理由としては、テロ対策といった尤もらしい口実が挙げられておりますが、真の目的が、共産党一党独裁体制や現政権に対する批判封じであるは想像に難くありません。このため、この措置については、中国国内でも国民から不満の声が上がっているそうです。SNSのアカウント閉鎖を見ても、人口規模が13億とは言え、1000万の数は膨大であり、逆から見ますと、かくも多くの人々が、現政権に対して不満を抱いていることの証ともなります。このことは、アカウントを閉鎖された1000万人の情報発信者のみならず、支持者や共感者を併せますと、相当数の中国国民が、中国政府から見ますと“不満分子”となるはずです。

 言論の自由の保障は、近現代国家の基本原則でありますので、中国に対する国際評価は低下することは必至ですが、日本国政府も、ここで、二者択一の選択を迫られることとなります。乃ち、現習近平体制を容認し、それに接近するのか、それとも、自由を求める中国国民を支持するのか、という選択です。

 目下、自民党と公明党の幹事長が第7回日中与党交流協議会主席のために中国を訪問しておりますが、果たして、情報統制の徹底によって国民の言論の自由を弾圧する中国政府に対して融和策を選択することは、日本国の適切な選択なのでしょうか。仮に、日本国政府が、習近平政権との友好関係を深めるとしますと、中国国民の日本国に対する期待は失望に変わり、親日国民増加の期待とは逆に、反日国民を増やす結果となるかもしれません。つまり、逆効果となるかもしれないのです。日本国は、自由で民主的な国として、一般中国国民の側に立った政策を立案すべきではないかと思うのです。

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