万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

中国の動きを封じる全方位戦略を

2012年08月17日 15時33分35秒 | アジア
尖閣、中国各紙「日本が挑発招く」 いさめる記事も(朝日新聞) - goo ニュース
 ロンドン・オリンピックのテレビ中継を見ながらふと気付いたのですが、スポーツの試合では、選手たちは、しばしば、相手の動きを止めるという動作を行っています。相手を自由な状態にしては、自らが攻撃されてしまうからです。

 竹島に続き尖閣諸島と、周辺諸国は、日本国に対する領土的な野心を露わにしております。中国各紙によりますと、尖閣諸島の国内法による”編入”や中国漁船衝突事件を棚に上げて、今回の上陸事件は、日本国側の挑発の結果と開き直っているそうです。こうした周辺諸国の動きをそのまま放置しますと、近い将来、日本国は、領土を失いかねない状況に至ります。そこで、スポーツと同様に、まずは、相手国の動きを封じる戦略を立てるべきなのではないでしょうか。動きを封じるには、幾つかの方法があります。まず、(1)物理的な抑止力としては、日米同盟を強化するとともに、尖閣諸島への自衛隊や海保職員を常駐させれば、中国側は、簡単には軍事行動を起こすことはできなくなります。その一方で、(2)日本国側が、国際司法裁判所に対して領有権確認訴訟を起しますと、中国の軍事行動は、平和的な解決を踏みにじる行為となります。国際的な批判は、中国に向けられることになるのです。そして、(3)日本側は、積極的に中国政府に対して、裁判への付託合意を求めれば、中国側には断る根拠がありませんので、窮地に陥ることになります。その間、(4)国際社会に対しては、日本国が、司法解決を主張していることを積極的にアピールし、領土問題の平和解決への支持の獲得に努めるのです。

 日本国の真の目的は、中国を打ち負かすことではなく、その”侵略行為”を未然に封じることにあり、国際社会に安定した法秩序をもたらすことにあります。この基本姿勢が理解されれば、多くの諸国が、日本国の提案に賛意を示すのではないでしょうか。そしてそれは、中国に対する暗黙の圧力となると思うのです。

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4 コメント

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Unknown (ねむ太)
2012-08-17 20:01:27
こんばんは。中国の前に最大の敵は国内にあり・・です。
中国の戦略は着々と進行しています。そして、成功しつつある現実を直視すべきです。
某大手スーパーチェーンのように、あからさまに中国と手を組んで輸入品を格安で販売し、中小スーパーや商店街を壊滅させる。(丹羽宇一郎中国全権大使を決定した人物の実家がそうですね)
中国の危険性に気づいて取引を縮小するような法案を準備した議員は地元の中国に進出している中小企業に徹底的に攻撃され政治活動が出来ないくらいに潰されました。
人件費が安い、友好に騙され中国に進出した企業が人質に取られています。
企業はスポンサーとしてマスコミに圧力をかけ中国に対するODAの見直しや資金援助の凍結を政策として掲げる政党・議員は徹底的なネガティブキャンペーンで潰します。
これが商人に国を任せた結果です。
これから待ち受ける悲惨な未来に付いても言及しなくてはなりません。
旧日本軍による毒ガス弾の後処理(明らかな条約違反ですが)と毒ガス弾の被害者がいなくなれば、次に打ってくる手は日本企業が公害を持ち込んだ汚染の除去・被害者への賠償など数京円にのぼる損害賠償請求を用意してくれています。
条約で決着したはずの毒ガス弾や、ありもしない南京事件など、外患誘致に当たるような出鱈目な報道機関をオピニオンとして持ち上げ、受験に強い・・新聞。
日本がやるべき事は放送法の改正(罰則付きに)弁護士会大学の教授会の自治権の停止。
自治労・官公労・日教組など公務員の組合の政治活動の禁止の徹底。
公安・警察庁の連携による極左集団の徹底的な取締り。
入管法を元に戻し(指紋押捺・写真撮影)外国人登録証の携帯の義務付け。通名廃止。
中国に進出している企業の撤収の支援。
中国・韓国・北朝鮮を除く東南アジア・トルコなどの国々との連携によって南シナ海・インド洋における中国の勢力の牽制。
オーストラリア・パラオ・アメリカと連携して資源や物資の確保と補給線の確保。
つまり、東アジア・太平洋連合の創設を呼びかけアラブ・アフリカ諸国でも呼応する国は加盟を認める事です。
国の経済政策は政治が主導し経団連や商工会議所の意見は参考程度に留めるべきでしょう。
尖閣への自衛隊・海保職員の駐留は早急にするべきです。
商人や自由主義に振り回されることなく国民の為の政治の実現が急務でしょう。
ねむ太さま (kuranishi masako)
2012-08-17 21:59:22
 コメントをいただきまして、ありがとうございました。
 ネット情報によりますと、既に、欧米の企業は、中国市場からの撤退を開始しているそうです。日本企業も、おちおちしているうちに、中国市場どころか、自国の国内経済まで、中国政府に掌握されてしまう可能性すらあります。一連のエネルギーをめぐる騒動も、日本国内のエネルギー産業を配下におさめたい中国が、裏で動いているのではないかと疑っております。日本企業も、政治的に安全な国との経済的な連携を強めるべきであり、それは、中国、韓国、北朝鮮といった近諸国ではないようです。我が国の人口は1億3千万ですので、全ての国民が生活していけるだけの規模の産業力の維持が必要です。国民生活のためにも、政府は、一層、これらの諸国を除いた国々との経済関係強化に努めるべきと思うのです。
Unknown (Suica割)
2012-08-20 13:06:20
国際司法裁判所に提訴しておくのは、良いですね。
尖閣周辺での自衛戦闘が起こった場合、日本がなるべく平和に解決しようと努力した形跡を示せるので、国際世論を有利に出来ます。
後はロシアにも提訴すべきですね。
竹島も北方領土も図式は同じですから。
対中ODAはすぐに切れます。
他国に援助しているのを理由に、援助する余力ある国に援助は必要ないといえば、国際的にみんな納得するでしょう。
Suica割さま (kuranishi masako)
2012-08-20 14:23:01
 コメントをいただきまして、ありがとうございました。
 これまで、日本国政府は、諸外国にODAをばらまくか、あるいは、平身低頭でトラブルが過ぎさるのを待つ、というのが、基本路線としてきました。しかしながら、こうした”事なかれ主義”の日本国の態度こそ、実は、国際社会全体から見ますと、極めて危険な行為であったのではないかと思うのです。何故ならば、ロシア、中国、韓国、北朝鮮といった周辺諸国の不法行為や覇権主義を助長することになったのですから。今後、日本国政府は、国際社会に法の支配を確立すべく、主張すべきは主張する、という態度に、大胆に方向転換すべきです。

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