万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

危うい日本国の司法の独立-ゴーン前日産会長の保釈

2018-12-21 10:40:13 | 国際政治
仏メディア「大どんでん返し」ゴーン被告
 昨日、東京地方裁判所は、東京拘置所に収容されていたカルロス・ゴーン容疑者について、検察側の拘留延長の準抗告を退ける決定を下しました。検察側の延長要求が却下されるのは異例中の異例であり、その背景には、国際圧力も指摘されております。

 第一の国際圧力説は、海外メディアによる‘ゴーン容疑者擁護キャンペーン’です。逮捕以来、ルノー本社が所在するフランスのメディアを始め、重国籍でもあった同容疑者、並びに、グレック・ケリー容疑者に因む諸国のメディアは、一斉に、日本批判の報道を開始しています。この説ですと、東京地裁は、ゴーン容疑者を援護射撃するメディアの圧力に屈する、あるいは、‘国際世論’に迎合し、法のみによって判断すべき中立・公平な裁判所の立場から逸脱したことにもなります。この分では、メディアが造り出した‘国際世論’がゴーン容疑者無罪をアピールした場合、日本国の司法もこの主張に靡きそうで心配になります。

 第二の国際圧力説は、グローバル・スタンダード説です。上述した海外メディアによる日本批判にあってもこの点は強調されているのですが、日本国の刑事手続きにあっては、容疑者に対する拘留期間が長過ぎ、かつ、聴取の席に弁護士の同席を許さないなど、待遇も劣悪であるとする主張です。‘中世並み’とも揶揄されたようですが、刑事手続きに‘グローバル・スタンダード’なるものが存在するのかは疑問なところです。特にフランス・メディアがこの点に批判的なところからしますと、フランスの制度との比較なのかもしれません。何れにしてもこの説によれば、日本国の裁判所は、所謂‘グローバル・スタンダード’に合わせて拘留期間を短縮化する方針を決定したことになるのですが、この説の真偽は、今後の裁判所の対応によって判断されましょう。仮に、日本国の司法の‘グローバル・スタンダード’への転換であるならば、今後に起きる全ての事件にあっても、検察側の拘留延長の要求は拒否されるはずであるからです。

 第三の国際圧力説は、ゴーン容疑者に関連する諸国、あるいは、同氏が属する国際組織による釈放要求です。東京拘置所の同容疑者の元には、フランス駐日大使、在東京ブラジル総領事館総領事、並びに、駐日レバノン大使が訪れています。これらの要人が直接に地裁に対して保釈を要求したわけではありませんが、こうした行動は、暗黙の圧力となった可能性はあります。あるいは、外交ルート、もしくは、国際人脈を介しての何らかの働きかけがあったのかもしれませんが、この説では、明らかに三権分立の原則に反することとなります。外国の政府機関であれ、あるいは、日本国政府を介したものであれ、司法に対する如何なる政府介入も‘御法度’であるからです。

東京地裁側の独自の判断による保釈である可能性もないわけではありませんが、カルロス・ゴーン前日産会長の逮捕は、国内の事件とは比較にならない程のスケールの大きな国際的な大事件であり、検察側が不十分と判断したように、短期間の拘留で事件の全容が解明できるとは思えません。そうであるからこそ、上記の国際圧力説が信憑性を増すのですが(三つの説の混合かもしれない…)、同事件における裁判所の判断が、日本国における司法の独立を揺るがすとなりますと、その負の影響は深刻です。何故ならば、権力分立こそ、近代国家の統治機構上の原則であり、民主主義国家の‘グローバル・スタンダード’なのですから(もっとも、共産党一党独裁体制の中国は権力分立を否定していますが…)。

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3 コメント

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司法の独立 (櫻井結奈(さくらい・ユ-ナ))
2018-12-22 17:22:55
私は、今回のゴ-ン容疑者の問題については、日本の検察当局は毅然とした態度で対処していただきたいと願っています。
国際圧力に屈したのでは、日本の法律体系は持ちません。
ゴ-ン容疑者の逮捕・取り調べが始まったとき、フランス、ブラジル、レバノンなどの関係者がぞろぞろ出てきましたが、
私は、「おぉ!案の定、やっぱり連中が、穴から首をだしはじめたな!」と思いました。
 でも、そんなものに負けたらダメですよ!

「ゴ-ン氏に対する、日本の検察官は酷い」とかいう‘’国際世論‘’があるそうですが、ゴ-ン氏のはうが、よっぽど酷い事をしています。
櫻井結奈さま (kuranishi masako)
2018-12-22 18:59:50
 コメントをお寄せくださいまして、ありがとうございました。

 フランスメディア一般は、ゴーン容疑者を擁護し、日本国の対応を批判する論調が強いようですが、一般のフランス人は然程ではなく、ゴーン容疑者の行為に対して非難する声もあるようです。おそらく、ゴーン容疑者とバックを同じくしているのではないかと推測されます。もっとも、この一件により、一般の日本国民の多くは、フランスのメディアのいい加減さや反倫理的な態度に気が付いたのではないでしょうか。
世界標準 (Bystrouska.Vixen)
2019-07-16 07:21:02
世界標準とは、法を曲げて犯罪を奨励することだったのですね。
どうりで、支那人が積極的に加担したがるわけです。
もう連合国軍本部から脱退しましょう。連盟を脱退した松岡さんのように。どうしても、留まるというのなら、拠出金は今後一切出さずにおきましょう。
そのお金で、核軍備です。
グローバルスタンダードに従いましてね。これぞ自己努力と言えましょう。

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