万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

公開交渉になりつつある米朝首脳会談

2018-04-23 15:46:19 | 国際政治
G7外相、北朝鮮の核を認めず 最大圧力を維持、行動促す
 北朝鮮に付き纏ってきた従来のイメージとは、厚い帳が降ろされた秘密主義の国というものです。他国との関係も隠密工作や裏取引等を得意としてきたのでしょうが、米朝首脳会談が近づくにつれ、否が応でも国際社会の表舞台に姿を見せざるを得ない状況に追い詰められてきた感があります。

 北朝鮮の金正恩委員長が極秘に中国を訪問し、習近平国家主席と首脳会談の場を設けた辺りまでは、北朝鮮の秘密主義外交の真骨頂であったかもしれません。あるいは、ポンペオCIA長官の極秘訪朝も、アメリカを自らの土俵に巧みに引き込んだ点において、北朝鮮側は外交的には成功と評価していたことでしょう。‘サプライズ外交’と言えば、日本国内では2002年9月の小泉首相による平壌訪問が知られておりますが、相手が北朝鮮であったことを考慮すれば、これも、北朝鮮側の戦略に嵌められてしまったのかもしれません(日朝平壌宣言の内容は日本国にとって極めて不利であった…)。

 ところが、今月20日、朝鮮労働党中央委員会第7期第3回総会において、金委員長が自国が引き起こした核・ミサイル問題について新方針を発表したことから、これまでの秘密主義外交に変化が生じてきました。何故ならば、同新方針こそ、日朝首脳会談に際しての北朝鮮側の基本スタンスであったからです。つまり、北部に所在する核施設の廃棄とミサイル開発の停止を譲歩項目とする一方で、製造済みの核については保有を継続し、それらの先制使用という選択肢も残したのです。

 新方針の形態で発表された北朝鮮が示した“合意案”に対して、アメリカ側は、事実上、拒否する姿勢を明らかにしています。あくまでも製造済みの核をも含めた北朝鮮の完全なる非核化を求め、同国が拒絶した場合には、何らの見返りも与えないとする態度で臨む意向を示しているのです。この基本姿勢はG7でも共有されており、北朝鮮の提案は、同国の後ろ盾でもある中ロからは歓迎されつつも、いわば、国際社会一般からは拒絶されたこととなるのです。

 かくして、米朝首脳会議以前にあって、米朝の応酬は、既にアメリカ側による北朝鮮提案の拒否の段階に至っており、ボールは北朝鮮側に返される格好となりました。今後、北朝鮮側は、何らかの機会を利用して、アメリカ側の要求の全面的受託、自国提案の修正、あるいは、首脳会談の見送りなど、自国の立場を表明するかもしれません。何れにしましても、衆人が見守る中で、両国間の交渉が進むこととなり、それは、政府のみならず、少なくとも情報が遮断されていない自由主義国にあっては誰もが知るところとなったのです。

 このことは、北朝鮮が、もはや、これまでの秘密主義外交において得てきた利益を得られなくなることを意味します。アメリカのトランプ政権のみならず、全世界の諸国や人々が納得する解決でなければ、真の解決とはならないからです。米朝会談の開催は、‘サプライズ外交’の再現を狙ったのでしょうが、今度ばかりは、この手は通用しないのではないかと思うのです。

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