万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

資本主義も共産主義も民主主義とは両立しない?-巧妙な二頭作戦なのか

2019-10-12 16:14:48 | 国際政治
1848年にカール・マルクスによる『共産党宣言』が出版されて以来、全世界は、資本主義対共産主義の対立構図が浸透するようになりました。とりわけ第二次世界大戦後にあっては、ロシア革命で共産化したソ連邦が超大国の一角を占め、資本主義の代表国とも言えるアメリカと覇を競ったことから、全世界は、あたかも両陣営に色分けされたかのような様相を呈するようになったのです。しかも、自由主義国と称され、民主主義を制度化してきた西側諸国の国内政治をみましても、左右両勢力の対立は国際社会における冷戦構造と相似形を成していました。つまり、戦後の政治は、国際レベルと国内レベルの両レベルにおいて、二重の二項対立を特色としてきたのです。この時代、誰もが、人類には、自由・民主主義と社会・共産主義の二つしか選択肢はないと信じていたかもしれません。

 しかしながら、共産主義国のみならず、自由主義国にあってもITの発展と軌を一にするかのように全体主義化の脅威が拡がり、体制の違いが曖昧になるに至った今日、資本主義と民主主義との関係について再考してみる必要があるように思えます。資本主義と民主主義はどちらも西側陣営を構成してきた自由主義国の特徴とされてきましたが、実のところ、両者は必ずしも両立するとは限らないからです。

 こうした作業の必要性は、毎年スイスのジュネーブで開かれるダボス会議をはじめ、金融財閥のメンバー、著名な投資家、グローバル企業のCEO、並びに、政治家等が参加する国際フォーラムが世界各地で開催され、これらの何れもが多様性を謳いながら画一的な未来ヴィジョンを提示するに至り、ますます強まっているように思えます。テクノロジーが容赦なく社会や人々の生き方を変えてゆく時代にあって、人類の未来は、金融グローバリスト(資本家)が決定しており(本当のところは、何処で誰が決めたのか分からない…)、人類全体に関わる重大な決定プロセスから諸国民は排除されているのです。民主主義の基盤となる参政権は有名無実化する一方で、各国の政治家は自らの地位を確かにするために金融グローバリストに阿り、彼等から課された‘課題’の達成に躍起になっているようにも見えます。消費税増税に際しての景気対策としてキャッシュレス化が組み込まれているのも、それが金融グローバリストからの要請であるからなのでしょう。また、マスメディアによる印象操作、選挙資金の提供、あるいは、選挙結果への干渉等によって、各国の政治家を実質的に選んでいるのは金融グローバリストかもしれません。そして、こうした国際会議では、その出席者リストに多数の中国人の名が見えるように、国家体制の違いなど全く問題にされないのです。人類の未来は、民主主義なき世界の一択しかないかのようです。

 民主主義の形骸化が発生した要因を突き詰めますと、資本主義と民主主義を一対として捉えてきた既存の認識に誤りがあったとしか言いようがありません。そもそも、資本主義か社会・共産主義かの二者択一の構図こそ、どちらを選んでも非民主的体制に行き着いてしまう巧妙な二頭作戦であったかもしれないのです。体制の違いに関わりなくテクノロジーが人々を支配する道具と化す新種の全体主義が忍び寄る今日、人類は、如何にして自由と民主主義を、そして、人間らしさを取り戻すのか、真剣に考えるべき時に至っているのかもしれません。

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