万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

北朝鮮のミサイル実験で早まる最終決断の日

2017-09-15 11:27:29 | 国際政治
安倍首相「国連安保理緊急会合開催を要請する」
 国連安保理の緊急会合において対北制裁決議が採択されてから僅か一週間も経たぬ内に、北朝鮮は、ミサイルを太平洋方面に向けて発射しました。飛距離は3700㎞ほどと報じられていますが、この発射、関係各国の最終決断の時期を早めたのではないでしょうか。

 今般の対北制裁決議では、“さらなる核実験や発射にはさらなる重大な措置を取る決意を表明する”と明記されており、この方針に従えば、安保理緊急会合が再招集されることとなります。この点、仮に中ロが、北朝鮮による“さらなる”行動を抑制しつつアメリカを交渉の罠に引きずり込み、自国の国益に沿った方向に誘導しようと目論んでいたとしますと、この思惑は外れます。逆に、制裁レベルのアップを明記した決議文に縛られ、早々に、石油禁輸への合意という踏み絵を踏まされることとなりましょう。つまり、中ロは、あくまでも北朝鮮を擁護するのか、アメリカ主導の経済制裁の枠組に留まるのか、という岐路に立たされるのです。後者を選択した場合、中ロもまた北朝鮮と同列となり、国際社会において“悪の枢軸”と見なされることでしょう。

 そして、最も重大な決断を迫られるのがアメリカであることは、言うまでもないことです。アメリカは、上述した安保理緊急会合における中ロの対応によって、最終決断を下すのではないかと推測されるのです。仮に、同会合で中ロが石油禁輸にまで踏み込むことに同意した場合には、あるいは、猶予期間を設けた上であれ、経済制裁路線を継続するかもしれません。その一方で、中ロがあくまでも石油禁輸措置に反対し、安保理の決裂が明確となった場合には、単独、または、有志連合による制裁、及び、北朝鮮の核・ミサイル保有の承認といった他の選択肢もあり、かつ、中ロの軍事介入の可能性と軍事的制裁の効果とを天秤に図る必要があるものの、ミサイル迎撃を含め、アメリカが武力行使のオプションを選択する可能性は格段に高まることでしょう。

 日本国もまた、北朝鮮の攻撃対象であることにはアメリカと変わりはなく、北朝鮮の暴発リスクを考慮すれば、Jアラートのみの対応では、最早不十分な段階に達しているのではないかと思うのです。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。

 にほんブログ村 政治ブログへ
にほんブログ村
『政治』 ジャンルのランキング
コメント (4)   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 北朝鮮による核使用の可能性... | トップ | 北朝鮮危機-日本国の国家安... »
最近の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (オカブ)
2017-09-15 15:35:37
倉西先生
いつもご指導ありがとうございます。
今般のミサイル発射で、国連安保理諸国、及び米側同盟国、制裁を継続するにせよ、軍事行動を起こすにせよ、何もしないにせよ、新しい判断の段階に入ったのではないかと思います。
特に日本の立場としては、核とミサイルが将来「脅迫に使われるであろう」という未来形ではなく、日本を制裁国側から引き剝がそうという「脅迫」に現時点で使用されているのですから事態は深刻です。
それに対応する軍事オプションも幾つかの段階があるのですが、北朝鮮がグアムを射程に収めある程度正確な着弾を見込める運搬手段を実現した段階で、アメリカは最大限の北朝鮮・核拠点攻撃を行うのがセオリーです。
日本に至っては、防衛体制はJアラートと児童生徒の防空頭巾だけですが、いまだ多くの日本人が「話せばわかる」と考えているのでしょうか?
オカブさま (kuranishi masako)
2017-09-15 20:31:30
 コメントをいただきまして、ありがとうございました。

 かつて犬養毅首相は、乱入してきた青年将校に対して”話せばわかる”と語り応接間に通しながら、結局は、問答無用に殺害されてしまいました。この事件は、”話せば分かる”の言葉と共に広まったため、何事も”話せば分かる”事例と勘違いされがちなのですが、実のところは、”話してもわからず”、悲劇的結末を招いた事例です。今日こそ、この歴史的事件の教訓を噛み締める時かもしれません。北朝鮮のミサイル発射が常態化する恐れもあるそうですので、日本国政府は、アメリカ政府と共に、事態打開のため策を早急に策定すべきではないかと思うのです。
Unknown (アスカ)
2017-09-16 08:42:25
毎日読ませて頂きありがとうございます。情報弱者ですので、政治ブログを一通り読ませていただいておりますが、最近では、まず最初に先生のブログと、我が郷は足日木垂水のほとり様読ませていただくようになりました。無駄なくスッキリと知りたい事が伝わって来るのです。日本には世界一の技術がありながら、防衛に使わせてもらえず、北朝鮮のミサイルに貢献してしまったなど国民は泣いても泣ききれないですね。
アスカさま (kuranishi masako)
2017-09-16 09:13:18
 コメントをいただきまして、ありがとうございました。

 報じられるところに拠りますと、早急に、安保理緊急会合が開催されるそうです。各国の方針も自ずと定まってきますので、展開によっては、日本国は、持てる技術力を全て防衛力強化に注込む可能性もあるのではないかと思います。戦後、長らく”平和ぼけ”の状況が続いてきましたが、日本国が、自国の防衛体制の脆弱性に正面から向き合うという意味において、歴史的な転換点となるかもしれないと思うのです。

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

国際政治」カテゴリの最新記事