万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

移民政策推進なら総選挙を-移民増加は社会を破壊する

2018-05-30 14:14:30 | 日本政治
 イギリスのEU離脱を問う国民投票もアメリカの大統領選挙も、移民政策が重大な争点となりました。両者とも、その結果は移民反対が多数を制したのですが、日本国政府は、前回の総選挙において政策綱領に挙げることなく、単純労働者を含む移民の受け入れを大幅に拡大しようとしているのです。

 本日の日経新聞朝刊の一面には、「外国人、単純労働に門戸」と題する記事が掲載されておりました。同記事に依りますと、日本語能力が十分ではない外国人であっても、2025年頃までに、人手不足に苦しむ分野を中心に50万人を越える労働者を受け入れるそうです。対象となる分野は、建設、農業、介護、宿泊、造船業の5分野ですが、移民の増加には、既存の社会秩序を破壊する作用が伴いますので、国民世論を無視した移民政策の推進は、民主主義の原則に反することは言うまでもないことです。

 しかも、今般の政府の方針において疑われるのは、経済分野における‘人手不足’は口実に過ぎないのではないか、ということです。同政策に対する批判の中には、安価な労働力を求める経済界の思惑があったとする指摘もあります。中韓勢力との熾烈な国際競争に晒されている造船業は別としても(もっとも、日本勢は技術力で勝負する方針なのでは…)、人件費のみを問題とするならば、製造業こそ対象となるはずです。宿泊については、‘人手不足’というよりも、世界各地からの訪日客の増加に伴う外国人スタッフの増員問題として理解されますし、建設分野についても、2020年には東京オリンピックを終わっておりますので、2025年には‘人手不足’の状況も一服しているはずです(中国人の’再クーリー化’?)。否、人口減少時代には、大規模施設や高層ビルの建設よりも、成熟した国に相応しい落ち着いた街並みに景観を整え、かつ、建造物の長寿化を目指すといった発想の転換こそ求められます。おそらく、この50万人超えの外国人労働者で最も利益を得るのは、歴代政府の政策アドヴァイザーの地位にあった竹中平蔵氏が取締役会長を務めるパソナを含む、派遣事業者なのでしょう(現代の奴隷商人?)。

 そして、政府が秘かに‘本丸’と見なしているのは、農業と介護の分野なのではないかと推察されるのです。何故ならば、これらの分野こそ、内部からの社会破壊と直結するリスクが高いからです。農業については、共同体的な要素が色濃く残る農村社会が破壊されますし、介護の分野でも、日本人の一般家庭が外国人労働者の‘職場’ともなるわけですから、一般国民の日常生活にもその影響は及びます。乃ち、人々の生活環境は一変し、一般の国民は、外国人労働者との‘共生’を事実上‘強制’されられるのです。こうした国家喪失的な状況を批判しようものなら、‘ヘイトスピーチ’として取締りの対象にされかねないのですから、一般の国民にとりましては、言論統制を伴う恐怖政治の始まりでもあります。

 もちろん、国民の中には、経済的な理由から政府が提示した移民受け入れ政策に賛成の人も少なくないはずです。しかしながら、その長期的な社会破壊作用に思い至った時、どれほどの国民が、この政策を支持するのでしょうか。少なくとも、全国民に直接的に関係する政策なのですから、政府は、総選挙や国民投票を以って移民受け入れの是非を国民に問うべきではないかと思うのです。

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4 コメント

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Unknown (Unknown)
2018-05-30 19:06:08
介護や、農業建設業などは効率的な技術革新で大幅に簡素化出来るのでは無いでしょうか。

医療に関しても技術革新で簡素化出来るのではと思います。

誰も必要以上のサービスは求めていません。

過剰サービス社会を見直して本当に必要なものを大切に残して、社会生活にも断捨離が必要なのかも知れません。
Unknownさま (kuranishi masako)
2018-05-30 19:52:25
 コメントをいただきまして、ありがとうございました。

 もしかしますと、政府は、国民一般が望む以上に敢えて介護等のサービスレベルを上げて、”人手不足”の状態を創り出しているのかもしれません。移民を受け入れの口実を作るために…。全国民に関わる重大なる問題なのですから、最低限、移民問題を争点とした選挙を経ませんと、国民に対する背信行為でもあるのではないかと思うのです。
賃金は需要と供給で決まる (Unknown)
2018-05-31 04:32:54
支配層は必ず,賃金のアンカーを作って賃金上昇を抑えようとする。外国人労働者も生きがい詐欺によるボランティアも、これも生きがい詐欺か,シルバー事業もそう。シルバーが植木職人の賃金を下げれば、職人になり手がいなくなり、やがて松の高度な剪定をできるものがいなくなり、文化が失われる。
支配層は網を用意する。一般庶民は魚であるが、魚が減れば、外国から新たに導入するだけのことである。
大学の非正規教員も高度な学歴を持つものが多く、かつ資格が要らないからポストは少ないのに労働の供給が多いから酷い労働条件になる。
一方、看護師は資格が必要でかつ女性が多いので育児などで一時的に労働力とならず供給が少なく需要が多いので待遇は良くなる。だから男性の看護師も大きく増加している。
大事なのは賃金は需要と供給で決まるので需要の多いことが見込まれる職業に就くことだ。そして賃金のアンカーを作ろうとする支配層の陰謀を見抜くことだ。
Unknownさま (kuranishi masako)
2018-05-31 07:03:30
 コメントをいただきまして、ありがとうございます。

 Unknowndさまのご説に従いますと、今般、政府は、日本国の農業や介護の担い手をなくすために、外国人労働者を受け入れるということになります。それはそれで酷いお話なのですが、経済的な理由の他に、地域社会や家庭における連帯性を失わせることで、日本国という国そのものの破壊の意図が隠されているように思えます。

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