万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

米ロ首脳会談の目的は対中協力要請か?

2018-06-28 16:14:32 | アメリカ
米ロ首脳、第三国で会談へ=プーチン大統領と合意―ボルトン米補佐官
日本国の国会では“モリ・カケ問題”で審議の大半が費やされる中、国際情勢は刻一刻と流動性を増しています。各国首脳によるトップレベル会談の頻度もペースも上がっておりますが、この流れは、一体、何を意味するのでしょうか。

 そもそも、国際社会において何らの問題も懸案もなければ、時間や労力を要する首脳会談の場を設ける必要はないはずです。伝統的に外交儀礼を重んじるアジアとは違い、政治において実務を重んじるアメリカの大統領が、かくも頻繁に首脳外交を展開するのは、異例といえば異例の事態です。既存の政治を批判し、型破りな行動で支持を集めてきたトランプ大統領がアメリカの外交スタイルを根底から変えた、とする見方も可能ではありますが、それにしましても、同大統領の動きは何かに追われているかのようです。

 ビジネス界出身の現実主義者でもあるトランプ大統領が首脳会談に奔走しているとしますと、そこにはそうせざるを得ない理由があるはずです。そして、その動機を対中包囲網の形成と想定しますと、同大統領の堰を切ったような積極的な外交攻勢も説明が付かないわけではありません。一見、対北融和政策に見える米朝首脳会談での合意も、アメリカ陣営への北朝鮮の取り込みと見れば対中戦略の一環となり得ます。予定されているプーチン大統領との米ロ首脳会談も、公表されるか否かは別としても、来るべき米中対立を見据えたロシアへの対中協力要請を目的としているのかもしれません。中ロの軍事的な結束は、アメリカ陣営にとりましては最大の脅威となるからです。ユンケルEU委員長やイタリアのコンテ首相との会談も、‘陣営固め’として理解されます。

 折も折、訪中したマティス国防長官と会見した習近平国家主席は、国際的な批判を浴びている南シナ海問題について、「祖先が残した領土は一寸たりとも失うことはできない。他人のものは少しもいらない」と語ったと報じられています。2016年7月12日の常設仲裁裁判所の判決によって、南シナ海の諸島に対する中国の領有権主張の歴史的、並びに、法的根拠は既に否定されておりますので、“祖先が残した領土”など南シナ海には存在しておりません。また、“他人のものは少しもいらない”と語りつつ、中国が、南シナ海のみならず、チベットやウイグルなどを不法に併合するに留まらず、日本国の尖閣諸島を含む周辺諸国の領域に対して領有権を主張していることも紛れもない事実です。中国は、自己弁護すればするほどその言行不一致が際立ち、自らが‘信頼できない国’、否、‘信頼してはならない国’であることを証明してしまっているのです。

 中国が不誠実な侵略的国家である以上、今後とも、米中関係が好転するとは考え難く、周辺諸国のみならず、全世界規模での中国脅威論が高まることでしょう。仮に、トランプ大統領が、ロシアから対中協力を取り付けることに成功すれば、同大統領は、北朝鮮に対して軍事、並びに、経済的圧力を極限までかけようとしたように、中国に対しても、制裁レベルを一段と上げてゆくことが予測されます(もっとも、裏の裏があり、全ての諸国が国際組織のシナリオの下に操られている可能性もありますが…)。日本国内にも親中派の勢力が影響力を保持しておりますが、中国が‘信頼してはいけない国’であることは証明済みですので、日本国政府も、中国との対立激化を前提とした政策への転換を図るべき時期が来ているのではないかと思うのです。

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4 コメント

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Unknown (北極熊)
2018-06-29 10:15:01
第2次世界大戦までは、ヨーロッパの中での対立に敵味方が付いていった感じでしたが、第3次世界大戦があるとすれば、ヨーロッパは盟主ドイツに追随してまとまり中国側についてしまうような気がする。 イギリスは、(国民投票の結果とは言え)それを見据えてEU離脱を決めたのかもしれない。 イギリスとアメリカの(日本も)同盟関係は変らないとして、ロシアもこちら側かもしれませんね。 そういう風に考えると、この数年の安倍政権の外交運営は絶妙だと思われます。
北極熊さま (kuranishi masako)
2018-06-29 10:32:00
 コメントをいただきまして、ありがとうございました。

 EUは確かに中国寄りのスタンスが目立ちますが、ヨーロッパとなりますと、いささか違うようにも思えます。特に、最近、中国に対する警戒感が頓に高まっており、仮に、第三次世界大戦に至ったとしても、EU加盟国が一致団結して中国に与することはないのではないかと予測しております(EUにあっても、軍事や外交に関する主権的な権限は加盟国にある…)。ドイツ国内でも、’女帝’とも称されたメルケル政権も、保守派の足元からの’反乱’により崩壊の危機にあるそうです。何れにいたしましても、中国との関係は、日本国のみならず、世界的な規模で抜き差しならない段階に至っているように思えます。
Unknown (北極熊)
2018-07-02 09:52:44
昨日か一昨日、なんかのニュースで、トランプ大統領がフランスのマクロン大統領に、「EU離脱したら?」と言ったとか、と言うのを見たんですが、フェイクじゃなかったら、そういう展開の可能性も無くはないという事を認識すべきかもしれませんね。 まあ、マクロンさんのうちは無いとしても、ルペンさんなんかだと、、、、、。 EUって、結局、独仏が戦争始めないように作ったものだし、その他の国なんて、ドイツの強さにコバンザメのようにくっついてるだけだから、ドイツが落ち目になると、ソ連みたいになるかも知れないとも思うのですけど、、、。
北極熊さま (kuranishi masako)
2018-07-02 10:41:22
 コメントをいただきまして、ありがとうございました。

 EUからの離脱があり得るとすれば、それは、EUが’帝国化’し、加盟国を支配する立場に至る時ではないかと思います。国境管理権や財政権限にまで踏み込みますと、加盟国からの反発も強まるものと予測されます(逆説的には、マクロン大統領の統合推進政策が分裂の引き金となる?)。
 なお、ヨーロッパは、一先ずは、今日、普遍的価値とされる民主主義、自由、法の支配といった価値を生み出した地域ですので、ロシアに易々と靡く可能性はそれ程高くはないのではないのでしょうが、人類野蛮化思想?や移民・難民等で国民性にも変化が生じておりますので、北極熊さまのおっしゃる展開もあり得ないわけではないとは思います。

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