万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

日本端子問題が明かす中国の資本主義の利用法

2021年09月22日 12時46分25秒 | 国際政治

 自民党総裁選挙を前にして、メディアによって優勢が報じられてきた河野太郎候補に、重大な疑惑が急浮上することとなりました。それは、河野家のファミリー企業とも言える日本端子という会社と中国との密接な関係です。

 

同社の代表取締役社長は河野候補の実弟である二郎氏が務めているのですが、会長であり、かつ、筆頭株主は父親である河野洋平氏ですので、同社と中国との密接な関係は、洋平氏の現役時代から構築されてきたのでしょう。太郎氏自身も、富士ゼロックスを経て1993年に同社に入社しており、洋平氏には遥かに及ばないものの同社の大株主でもあります(本社は、2017年に河野家のお膝元である平塚市に移転。因みに、河野談話は1993年に発表されている)。

 

さて、日本端子は、ネット上に公開されている同社の沿革を見ますと、1960年に東京都中央区に設立されています。1995年3月には、最初の海外支部として中国の北京市に営業所が開設され、同年12月には、中国との合弁会社「北京日端電子有限公司」が設立されました。ネット情報によりますと、同合弁会社の出資比率は、日本端子側が60%の出資、中国側のパートナーである「京东方科技集团股份有限公司(BOE)」が40%となり、外国企業との合弁に際して中国側の出資率を50%以上とする方針にあった中国にしては、日本国側に有利な出資比率を認めたことが分かります。

 

それでは、何故、中国側は、日本端子に対して、破格とも言える優遇措置を与えたのでしょうか。その背景には、中国共産党の対日政策が見え隠れしています。BOEの正式な設立は1993年のことですが、その前進となるのは、中国国営企業です。同国営企業には、鄧小平氏が改革開放路線を推進するにあたって、日本企業との合併会社設立のパートナーとなってきた実績があり、今日「北京日端電子公司」のトップを務めているのも中国共産党の陳炎順氏であるからです(出資比率では日本国側が過半数を越えて保有するものの、実質的な経営権は中国側が持つことで両者が合意したのでは…)。ここに、中国共産党が、日本国内にあって親中派政治家を育てるために、政治家のファミリー企業に便宜を図ったとする疑いが生じます。因みに、国策企業、あるいは、共産党系企業と言えるBOEは、ディスプレーをはじめ各種の先端的電子製品を製造しており、2011年11月には東京にBOEジャパンを開設すると共に、アメリカを含む全世界に事業を展開しています。

 

その一方で、日本国の政治家一族である河野家としましても、中国との友好関係の維持発展は、自らのファミリー企業の収益拡大と事業展開のチャンスとなります。実際に、北京のみならず、翌1996年に香港、2007年に江蘇州蘇州市、そして、2017年には広東省広州市に合弁会社を設立し、同社の中国ビジネスは急速なる拡大を見せています。しかも、2012年に江蘇省昆日市に設立した「昆山日端電子科技有限公司」は、日本端子による100%出資であったというのですから、特別待遇が際立っているのです。ここに、中国共産党と河野家との利害の一致を見出すことができます。おそらく、河野家が、中国側にとって利用価値のある政治家一族ではなかったならば日本端子の急成長もあり得なかったことでしょう。そして、日本端子が中国で製造している製品は、太陽光発電設備やデジタル化にも使われているというのですから、河野候補が進めている再生エネの導入やデジタル化促進政策の動機や背景も自ずと理解されるのです。

 

 河野家の中国共産党と結託したチャイナ・ビジネスは明らかなる権力の私物化、あるいは、売国行為と言っても過言ではありません。そして、株式の保有関係を用いた海外政治家やその家族に対する個人的な篭絡こそ、中国の対外戦略の主たる手段であったと推測されるのです。この構図は、今般のアメリカ大統領選挙にあって明るみになった、バイデン大統領の子息であるハンター・バイデン氏に纏わるチャイナ疑惑とも共通しています(もっとも、後者の場合には、違法性が問われていますが…)。中国は、自国企業、あるいは、相手方との合弁企業の株式を保有することを特別に認めることで、中国の利益が相手国政治家の利益と一致するように自らの側に取り込んでしまうのです。いわば、’出資’を装った合法的な’買収’とも言えるのですが、共産主義国家中国の政治腐敗体質は、皮肉なことに、配分や譲渡可能な’株式’という資本主義のアイテムが利用されることで(国境を越えた悪しき’株式運命共同体’となる…)、全世界の諸国にその汚染域を広まってしまったのです。

 

おそらく、今般の河野家の一件は、氷山の一角なのでしょう。今後、日本国のみならず全世界の政治家に対して、中国関連の株式の保有状況を調査する必要があるのかもしれません。そして、河野太郎氏の歴史的な役割とは、日本国の首相に華々しく就任することではなく、資本主義のシステムを逆手にとった海外政治家の傀儡化という中国共産党の狡猾なる対外戦略を、広く世に知らしめたことにあったのではないかと思うのです。

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