万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

ペロシ下院議長の訪台を三次元戦争の視点から見ると-米中合作?

2022年08月03日 13時42分15秒 | 国際政治
ウクライナ危機は、ウクライナを支援するアメリカの対ロ関係のみならず、覇権主義においてロシアと同質とみる中国との関係をも悪化させる要因となりました。今般のペロシ下院議長の台湾訪問も、自由主義並びに民主主義体制を擁護する姿勢を中国に見せつける対中牽制の狙いもあるのでしょう。ペロシ下院議長を乗せてマレーシアを飛び立った航空機は、米軍機であったそうです。

一日足らずとはいえ、ペロシ下院議長の訪台に対しては、勇気ある行動として評価する見方もあります。‘アメリカは、台湾を決して見捨てない’とする強いメッセージであり、台湾政府も国民も、さぞや心づく強く感じたことでしょう。本日、8月3日には、同議長は、台湾総統の蔡英文女史との会談のみならず、同国の議会である立法院の訪問も予定しており、権力分立を否定する共産党一党独裁国家、中国に対する‘当てつけ’なのかもしれません。

 その一方で、ペロシ下院議長の訪台に対する中国の反応は‘激烈’です。同議長は、過去にあって天安門事件を厳しく批判すると共に、チベット人やウイグル人への弾圧、並びに、香港問題についても人権問題として糾弾してきました。中国にとりましては、同議長はもとより‘好ましからざる人物’なのです。そのペロシ下院議長が、習近平国家主席が併合の方針を公言して憚らない台湾を訪問したのですから、中国は、「中国の主権と領土の侵害」とまで述べて猛反発しているのです。しかも、‘国家の主権と領土侵害’との認識にありますので、その反発は、外務省声明という名の共産主義国家ならではの口汚い‘口撃’に留まりません。

 報道によりますと、中国政府は、8月4日から7日にかけて「台湾を取り巻く海域6か所で実弾射撃訓練を実施する」と通告しているそうです。中国側では、既に中国軍用機「Su(スホイ)35」が「台湾海峡を通過している」とする中国国営新華社通信等による報道があります。その一方で、台湾のメディアも、‘中国軍のミサイル駆逐艦の航行が確認され’ると共に、‘空母「遼寧」と「山東」が出港した’とも報じています。‘台湾海峡波高し’の状況にあるのですが、米軍もまた、米海軍の関連団体「米海軍協会」によれば、米空母ロナルド・レーガンがフィリピン海に、強襲揚陸艦トリポリが沖縄周辺に展開しているそうです。

かくして、メディアは、偶発的な事件が米中間の軍事衝突を招きかねない危機的現状を報じることになるのですが、果たして、この米中間の対立激化は、両国間の応酬による偶然の成り行きなのでしょうか。このまま事態がエスカレートすれば、第三次世界大戦を招きかねないのですが、三次元戦争の視点から見ますと、以下のようなシナリオもあり得るようにお思えます。

 三次元戦争における第三の当事者は、国家ではなく超国家権力体です。そして、この勢力の目的は、第三次世界大戦を引き起こすことであり、二次元における当事国の一国は、ロシアであっても中国であっても構わないのです。ウクライナ情勢は、今日、膠着状態に陥っている上に、各国とも第三次世界大戦、あるいは、核戦争を警戒して、思い通りに戦線を拡大することができません。そこで、次なる‘発火点’として白羽の矢を立てたのが台湾であり、このためには、偶発的な事件を装って米中間の軍事的衝突を起こす必要があります。同シナリオにあっては、ペロシ下院議長の訪台は中国に対する‘挑発’であり、中国の過激とも言える軍事的対応も戦争への道を自然に見せるためのカバーストーリーの一幕なのです。

もっとも、超国家権力は、中国に対してはより手の込んだシナリオを準備しているかもしれません。体何故ならば、習主席の立場が危ういとする報道があるからです。同主席は、人事を掌握し切れていないとする報道もあります。同報道が事実であるならば、習主席は、自己を頂点とする独裁体制を維持するために、戦争に訴えるかもしれませんし、河北省の避暑地である北戴河にて毎年開かれている、歴代指導者や共産党幹部が結集する秘密会議において、アメリカに対する手ぬるい対応を責められ、開戦の決断を迫れるかもしれません。あるいは、上述した習体制の動揺が事実であるならば、同会議にあって、超国家権力体は習主席の首をすげ替えて、中国のトップにより戦争遂行にふさわしい人物をキャスティングするかもしれません。何れのシナリオであっても、誰もが納得してしまいそうなカバー・ストーリーです。

過去の二度の世界大戦に遭っても、背後から超国家勢力が各国を巧妙に操っていた節があります。ウクライナ危機にせよ、台湾危機にせよ、各国政府も国民も、三次元戦争の視点からシナリオの存在を疑ってみることも大事な作業なのではないかと思うのです。‘時代の潮流’なるものに流されて、多大なる犠牲を払わされないために。

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