万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

天皇・皇后高麗神社参拝の政治的危険性

2017年09月21日 14時55分57秒 | 日本政治
「皇室」のニュース昨日9月20日、天皇・皇后両陛下は、私的旅行としつつも埼玉県日高市の高麗神社を日本史上において初めて参拝したそうです。ネット上では既に批判の声が聞かれますが、その理由は、高麗神社とは、北朝鮮との関連が深い歴史を有する神社であるからです。

 7世紀後半の東アジアは、唐による極東征服事業が本格化した動乱の時代にありますが、668年に高句麗が唐・新羅連合軍によって攻め滅ぼされると、高句麗王族等の遺民は日本国に亡命しております。その後、朝廷は、716(霊亀2)年に高句麗の遺民1799人を武蔵野国に移住させて高麗郡を設置していますが、高麗神社は、日本国に帰化した高句麗の王族とされる高麗若光を祭る神社です。そして、高句麗こそ、現在の北朝鮮の地域にあった古代朝鮮の王国に他ならないのです。

 高句麗滅亡から凡そ1300年以上が経過した今日にあっては、当時の高句麗遺民もすっかり日本国に同化しており、住民の方々も取り立てて朝鮮半島由来の歴史を意識していないかもしれません。しかしながら、北朝鮮情勢が緊迫化している中での天皇・皇后参拝となりますと、否が応でも、そこに政治的リスクを読み取らざるを得ないのです。

 第1のリスクは、日本国による北朝鮮に対する宥和姿勢の表れとして誤解される可能性があります。現行の日本国憲法では、天皇の地位は“日本国及び日本国統合の象徴”と定められています。北朝鮮からすれば、象徴である日本国の天皇が、史上初めて高句麗由来の神社を訪れる行為は、自国に対する友好アピールと映ることでしょう。

 第1に関連して第2のリスクは、今般の訪問が、“参拝”と報じられている点です。近年、天皇・皇后両陛下は、朝鮮半島への謝罪訪問を計画しているとの観測が流されていましたが、“参拝”ともなりますと、祭神である高麗若光の前に拝礼する、即ち、頭を下げたものと推測されます。つまり、”参拝”は、日本国が北朝鮮に対して屈服する構図として理解さえる恐れがあります。

 第3のリスクは、朝鮮半島有事に際して予測される北朝鮮難民の発生を念頭に置いた、日本国による難民引き受けのメッセージとなる可能性です。上述したように、大和朝廷は、古代にあって、戦争によって滅亡した諸国の遺民を受け入れています。あるいは、近代に至って日本国に渡ってきた在日韓国・朝鮮人を意識した、諂いのアピールであるのかもしれません。

 以上に述べたような重大な政治的リスクを考慮しますと、‘現皇室’は、一体、誰のために行動しているのか、自ずと疑問が湧いてきます。時期が時期だけに意図的な選択と計画としか考えられず、それが“日本国を海に沈める”と言い放つ暴力国家、即ち北朝鮮に秋波を送るものであるならば、日本国、並びに、日本国民に対する背信行為となりかねないと思うのです。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。

にほんブログ村 政治ブログへにほんブログ村

コメント (7)    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 衆議院解散に大義はあるのか? | トップ | 北朝鮮問題-善悪を区別しな... »
最新の画像もっと見る

7 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (オカブ)
2017-09-21 17:44:58
倉西先生
いつもご指導ありがとうございます。
今回の天皇・皇后の高麗神社「参拝」には、私も疑問を呈さざるを得ません。
先生、ご指摘の3つのリスクは誠にその通りで、日本が重大な国家存亡の危機に直面するかもしれないこの時期に何をしているのか?という思いです。
ただ、神道的意味からすれば高麗若光は渡来帰化人とはいえ、日本の祭神ですし、一方、靖国神社には朝鮮人も祀られています。
ただ、マスコミの報道が①高麗神社は、日本と「朝鮮」との絆の源である②天皇・皇后が日本と「朝鮮半島」との「友好」を祈願して参拝した。ということを強く強調して情報を流すオンパレードの姿勢に非常な危険を感じました。
私の危惧は、まずこの参拝をこの時期に企画した者(天皇・皇后自身?宮内庁職員?)にどのような「意図」があったのか?そして、それを「日朝友好」に結びつける意図の背景には、どのような陰謀が隠されているか、ということです。
それらが、すべて先生ご指摘の3つのリスクに結びついてきます。
思えば、生前退位に関しても「象徴」天皇は明白な「憲法違反」を犯しています。
「お言葉」が特例法を作ってしまったのです。
以前、拙ブログの「皇室廃止論」のエントリーをご紹介しましたが、その中で、明治天皇から今上までは天皇は一定の政治的ツールとして機能してきたと述べました。
しかし、それはあくまで法律の定める範囲のなかで機能してきたのであったのですが、今上は生前退位で、重大な憲法違反を犯しました。
今上が、退位後どのような形で存在するか、まだ予測できませんが、今上は最も日本で危険な人物の一人になる可能性があります。
オカブさま (kuranishi masako)
2017-09-21 18:58:23
 コメントをいただきまして、ありがとうございました。

 高麗神社参拝は、日本国内よりも、韓国において大々的に報じられているそうです。同神社には、民潭から寄贈された像も置かれているそうですが、地理的には、高句麗は北朝鮮に位置しますので、全く以って、国民の皇室に対する不信感が募りそうな出来事です。

 皇室につきましては、少なくとも、室町期、戦国期並びに明治期におきまして、皇統が途絶えている可能性が否定できず、特に、現皇室の行動は”劇場化”しており、背後に、何らかの国際勢力やカルト集団の気配さえ感じさせます。退位後には、政府の縛りなく自由に行動するとなりますと、日本国の国益を損ねたり、国民感情を逆なでする危険性は、さらに高まることでしょう。皇室問題は、日本国の歴史の清算を要する問題でありますが、国民も、そろそろその危険性を認識すべき時ではないかと思うのです。
Unknown (北極熊)
2017-09-22 11:02:47
生前退位には反対意見の立場ですが、もう、こういう困った事する天皇陛下なら、とっとと退位して欲しい、と言う気もします。 しかし、生前退位は、こうした「困った事」に傾注する姿勢を、新天皇である皇太子に引き継ぐために画策されたのかもしれず、そう思うと非常に残念ですね。 こういう事が続いていくと、国民の中に皇室不要論が広がりはしないかが心配です。 
北極熊さま (kuranishi masako)
2017-09-22 19:25:36
 コメントをいただきまして、ありがとうございました。

 正直申し上げまして、こうした私的活動が続き、かつ、新天皇もまた私心優先となりますと、世論の皇室不要論は不可避となりましょう。もしかしますと、現皇室自身が自らの”幕引き”を望んでおり(実は自らの皇位に正統性がないことを知っている…)、それ故に、敢えて国民から反感を買う行為を行っているのかもしれません…。
疑問? (櫻井結奈(さくらい・ゆうな))
2017-09-25 16:38:12
天皇皇后両陛下が、高麗神社に御参拝されたことが、何故大騒ぎになるのか、私にはわかりません。
特に、韓国が極めて扇情的に報道してるようですが、不愉快です。
また、日本の一部ブログでも、天皇皇后に批判めいたことを言ったり、逆におかしな持ち上げかたをしたりしてますが、慎みの欠けたことと言わざるをえません。
天皇皇后両陛下が、高麗神社に参拝されること自体は、何の問題もありません。
天皇陛下は、地方に御旅行されるおり、地元の有名神社にできる限り参拝されており、また、事情で行けなかった場合は、代理の勅使を派遣されています。
天皇陛下は、神道の最高の神職であらせられますから当然のことです。
この度の高麗神社御参拝も、そう言う御趣旨であり、それ以上でも、それ以下でもありません。!
ところで、高麗神社は、伝説では、日本に亡命帰化した高句麗の王族を祭っているそうですが、日本固有の神様もまつられており、高句麗王族は、それに合祀されているにすぎません。
例えていえば、靖国神社に朝鮮人出身の兵士も祀られているのと同様です。高麗神社という名前ですが、あくまでも、『日本の神社なのです。なお、高麗神社の入り口、境内に朝鮮式の偶像が立ってますが、これは、近年、韓国人たちが、奉納したものであり、もともとはなかったものです。
いずれにせよ、高麗神社は、今の日本と朝鮮半島の政治外交問題とは関係はありません!!!

☆それから、くれぐれも言っておきますが。。。天皇皇后両陛下にたいする礼儀と節度は、わきまえて下さい!!!!!!
高麗神社について。。。追伸 (桜井結奈(さくらい、ゆうな)☆)
2017-09-25 17:36:25
年輩者のかたにお聞きしますと、この高麗神社は昔は、ごく普通の日本の村の神社だったそうです。
地元の人が、初詣や季節のお祭りに、静謐な環境のもとで、お祈りしていたそうです。
 しかし、1960年代後半のころに、在日朝鮮人の歴史作家が、この神社を『見つけて』、さかんに書き立てたらしいです。
それからというもの、在日朝鮮人や本国朝鮮人たちが、おしかけてきて、自分たち流の、イベントをしたり、おかしな朝鮮式偶像を建立したらしいです。
何か、腹立たしい気持ちもします。
朝鮮韓国には、まともな宗教がないので、日本に何か古代朝鮮と関係がありそうな???ものをみつけると、それに結集してくるのでしょう。
ただし、それは、今回の天皇皇后両陛下の御参拝とは、全く別問題です!!
天皇皇后両陛下が、この神社にお詣りあそばされたことは、有りがたいことだと思います。
今回のことで、天皇皇后両陛下に、おかしな、あてこすりをなさるべきではありません。
櫻井結奈さま (kuranishi masako)
2017-09-25 19:19:26
 コメント、並びに、追伸をいただきまして、ありがとうございました。

 櫻井さまが、今般の参拝につきまして、いただきましたコメントに記されましたように考え、また、憤慨を表明することは、全く以って自由であると思います。その一方で、皇族は、公人でありますので、その行動には責任が伴います。諸外国や日本国内での世論の受け止め方を慎重に見極め、訪問先を選ぶ必要があると思われます。ネットの反応を見ますと、高麗神社参拝には少なくない国民が不快感を感じております。この事実を重く受け止めるべきです。なお、現在の皇族が、国民から尊敬を受けるに値するか否かは、皇室関連の情報を十分に収集してから判断してください。私は、現皇室に失望しておりますし、現行憲法が定める準立憲君主的な体制は改め、天皇位は、伝統文化の継承を含めて国家祭祀を専らとする公職として残すべきと考えております。皇室の権威を笠に着て、自由な意見を封じるような櫻井さまの態度は、むしろ、一般国民からは反感を持たれるのではないでしょうか。

 高麗神社は、櫻井さまご自身が指摘しておられるように、既に韓国や北朝鮮が政治利用しております。こうした状況にあって参拝すれば、当然に、今般も両国に政治利用されると予測するのが常識的な判断です。

日本政治」カテゴリの最新記事