万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

南スーダン日報隠し問題に見る野党の矛盾

2018-04-20 17:26:51 | 日本政治
問題相次ぎ野党反対の中 小野寺防衛相が訪米に出発
 内戦の激化が懸念される南スーダンでは、2011年7月9日から国連のPKOの一環として国際連合南スーダン派遣団が活動を開始しております。日本国の自衛隊も、2012年1月から安倍内閣の決定によって撤退される2017年5月まで同活動に参加していました。凡そ5年に亘る現地での活動に関しては、今日、政府が意図的に自衛隊の日報の一部を隠したとして、野党側が政府批判を強めております。しかしながら、この問題、むしろ、野党側の矛盾が表面化しているように思えます。

 野党側の主たる批判点は、稲田朋美元防衛相の国会での虚偽答弁、及び、防衛相と自衛隊との文民統制に関わる関係に加えて、隠されたとされる日報の内容にあるようです。つまり、政府が日報の一部を隠蔽した理由は、そこには、国民に“知られたくない事実”が書かれていたと主張しているのです。この“知られたくない事実”とは派遣先の南スーダンの現地状況であり、そこには“銃弾が飛び交う厳しい現実”が克明に記されているというのです。

 自衛隊の南スーダンへの派遣は、PKO活動協力時における後方支援を定めた自衛隊法第84条の4第2項第4項、及び、国際平和協力法に基づくものです。野党からすれば、現地の現実が日報に描かれている通りであるならば、PKO参加5原則の内の一つである“紛争当事者の間で停戦合意が成立している”の要件を満たしておらず、政府は、その現実を意図的に隠蔽したことになります。森友学園問題等を機に国民の政府に対する信頼性が揺らいでいる現状にあって、自衛隊の日報隠し問題を再燃させれば、安倍政権を退陣に追い込む最後の一押しになると考えたのでしょう。

 ところが、南スーダンへの自衛隊の派遣を決断したのは、当時民主党政権にあって首相を務めた菅直人氏であり、それは2011年8月8日のことです。また、現地での状況が悪化した2012年4月の時点にあって、自衛隊の撤収を見送ったのも当時の民主党政権です。自衛隊の派遣の要件について批判するならば、むしろ、その批判は野党側へのブーメランとなるはずなのです。

 そして、野党側の認識に更なる倒錯が見られるのは、“平和”に対する基本的な考え方です。野党側は、“危険な戦闘が起こり得る地域への自衛隊の派遣は、平和に反する行為である”と信じています。しかしながら、PKO活動、即ち、平和維持活動とは、その名称が端的に表すように平和のための活動です。南スーダンにあっては、内戦の再発防止を目的とした国際的な軍事協力となりましょう。交戦能力を有する相対立する武装勢力の双方を抑え込むためには物理的な力を要することは自明であり、仮に、言葉だけで停戦が誠実に守られるならば、敢えて武装した部隊を抑え役として派遣する必要はありません。平和を護るためにこそ、時には軍事力が必要とされる場合もあるのです(もっとも、南スーダンのPKOには中国の人民解放軍も派遣されており、政治的中立性には懸念がある…)。

 野党側の脳裏には、軍事力=絶対悪とする概念が刷り込まれており、それ故に、日報隠し問題は、政府批判の絶好の材料となると踏んだのでしょう。しかしながら、野党側の矛盾に満ちた批判姿勢こそ、野党側が自らの真の目的を国民に‘隠蔽’していることを示唆しており、北朝鮮危機や中国の拡張主義によって日本国を取り巻く国際情勢が急速に悪化する中、国民に不安を与えているのではないかと思うのです。

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