万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

核合意の行方―イランは北朝鮮と同列か否か

2013-11-27 15:50:48 | 国際政治
イラン核問題 「歴史的な過ちだ」 イスラエル首相、痛烈批判(産経新聞) - goo ニュース
 難航が予測されていただけに、欧米6カ国とイランとの核問題交渉が合意に達したことは、驚きを以って国際社会に伝えられました。テーブルを挟んで角突き合わせていた交渉参加者たちの表情にも、どこか、安堵と達成感が伺えます。

 その一方で、この画期的な合意に対して、イスラエル首相は、低レベルであれ、ウラン濃縮をイランに認めたことを、”歴史的な過ち”として痛烈に批判しています。核開発問題をめぐっては、北朝鮮という悪しき前例がありますので、イスラエルが不安を感じるのも故なきことではありません。北朝鮮は、交渉において自国に有利な条件や譲歩を引き出しては、舌の根も乾かぬうちに国際的な合意を破り続けてきたのですから。その結果、ミサイル搭載可能な小型化に成功したか否かは不明なものの、北朝鮮は、核兵器を保有した可能性はかなり高いそうです。北朝鮮のような無法国家にとって、交渉とは、目的達成のための時間稼ぎでしかなかったのです。それでは、イランは、どうでしょうか。強権政治で知られたアフマディネジェト政権時代にあっては、イランに対する国際的な信頼性は北朝鮮と同レベルに近く、順法精神の欠如が不安視されていました。しかしながら、現在のイランは、以前のイランとは違います。新たに就任したロウハニ大統領は、前政権と比較すると、はるかに穏健であり、常識的な判断ができる人物です。

 イランが、北朝鮮と同列ではなく、より信頼性の高い国に変貌したのであるならば、この合意は、中東の平和と安定に大いに寄与する可能性があります。懸念が完全に払拭されたわけではありませんが、まずは、ロウハニ政権下のイランが合意を誠実に順守するのか、見極めてはどうかと思うのです。

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2 コメント

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Unknown (ねむ太)
2013-11-27 20:48:23
こんばんは。イランの原子力技術の一部は、イランからの留学生によって持ちだされた可能性が指摘されていました。
東北大学の研究室で学生ならだれでもアクセスできるパソコンに研究結果の一部が保管してあり、それを持ち帰ったとの疑惑がありました。
この問題の根本は、インフォメーションとインテリジェンスの区別がつかず、どちらも情報という言葉で一括りにしてしまう事が原因です。
北朝鮮のウラン濃縮技術も、我が国の技術を盗み出し応用している可能性が指摘されています。
国際社会が制裁措置をしている最中、こっそりと原油を輸入しようと画策していたのが韓国です。
我が国は拉致問題を抱えていますので、モンゴルだけではなくイランとも国交があります。
中東・アフリカ諸国は欧米諸国に対し歴史的な背景もあり拭い切れない不信感を持っていますが、我が国に対しては同じアジアの民であり、アジア諸国の開放・独立の為に多大な貢献をした国として敬意を持っています。
我が国は核不拡散の立場からもNTPを順守しつつ原発など核の平和利用を提案する事が求められます。
その為にもアラブ首長国連邦・トルコに原発輸出する事は有意義な事です。
何処かから「原発輸出は死の商人と同じだ」との声が左の耳に聞こえてくるのですが。
原発即時停止や反原発を声高に叫ぶ連中は、原子力の平和利用の為の技術も放棄しろとでも言いたいのでしよう。
原子力の基礎技術から利用までトータルな技術によってこそ核不拡散や原子力の安全な平和利用が可能となるのです。
歴史を紐解いてみても、日本と中東諸国の対立はありません。
どちらかと言うと、イスラームとキリスト教の対立こそが世界各地でのテロの原因てもあるように思われます。
イスラエルと中東諸国の対立の原因は、キリスト教・イスラム教・ユダヤ教の巡礼の地であったエルサレムを一方的にイスラエルが独立する時に占有した結果です。
イスラエルが巡礼の地としてエルサレムを開放しない限り、アラブ諸国とイスラエルの対立は続くでしょう。
イスラエルも公式には認めていませんが核武装はしています。
北朝鮮の問題は、我が国の国会議員の中にアントニオ猪木と言う、北朝鮮の代理人がいますので、特定秘密保護法可決・NSC法案可決が可決された事は良い事です。
これにより、北朝鮮による核の問題や拉致問題の解決に向け進展する事を強く望みます。
中国もすでに軍を制御する能力に疑問符が付く状態ですので、中国の崩壊・韓国経済の崩壊による北朝鮮の動きが気になるところではあります。
北朝鮮が暴発しないよう、イランやモンゴルなどと連携し国際社会の厳しい監視の目を向けておく事が必要でしょう。


ねむ太さま (kuranishi masako)
2013-11-27 22:31:46
 コメントをいただきまして、ありがとうございました。
 実のところ、最貧国の北朝鮮でさえ核開発に着手したぐらいですから、NPTが存在しないと仮定しますと、どの国も、あらゆる資源をつぎ込み、全力で取り組めば、核を保有する能力はあるそうです(技術的な難易度はそれほど高くないらしい…)。能力がありながら、締約国は核拡散防止に自発的に協力しているのですから、イスラエルが、締約国のNPTに対する誠実な遵守に期待しつつ、自らは核を密かに保有しているとしますと、イランにだけに厳しい態度を取ることは、フェアではないということになります。また、NPT条約には、安全保障上の重大な危機にあると認められる場合には、脱退できるとありますので、ウラン濃縮の権利を認めることに、それほど目くじらを立てる必要はないのではないかとも思うのです。イランの軟化を考えますと、中国、韓国、北朝鮮の方が、国際社会にとりましては、よほど危険な存在です。日本国は、地政学上、現在、最も危ない地域に身を置いていることのではないかと思うのです。

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