万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

慰安婦問題は再交渉ではなく司法解決をー国連委員会の勧告問題

2017年05月13日 15時12分15秒 | 国際政治
【「慰安婦」日韓合意】国連委員会が「慰安婦」日韓合意見直しを勧告 「補償や名誉回復は十分でない」 報告書で両政府に
 韓国において慰安婦合意の再交渉を主張してきた文在寅氏が大統領に就任した矢先、国連の拷問禁止委員会からも同合意を見直すよう求める勧告を記した報告書が公表されたそうです。日本国政府は、再交渉には応じない構えですが、この問題、やはり、司法解決でしか最終的な決着を見ることはないように思えます。

 日本国内のマスメディアは、日韓合意について、専ら韓国側だけが憤懣やるかたないかのように報じています。しかしながら、日韓合意については、事実関係を明確にしないまま日本国政府が政治的妥協に応じたとして、反発している日本国民も少なくありません。政府は否定しつつも、各国メディアが日本国政府が”性奴隷”を認めたかのように報じたため、むしろ、名誉を傷つけられた日本国民側に不満が鬱積しているとも言えます。

 報告書を作成した拷問禁止委員会は、被害者への”補償や名誉回復が不十分”であることを見直しの理由として挙げており、韓国寄りの立場からの勧告であることは確かです。しかしながら、今日の統治システムでは、損害の賠償は司法制度を通して判断されるものであり、証拠に基づく事実認定がその基礎となります(証拠主義)。慰安婦問題の場合には、事業者や軍規違反による犯罪被害者は存在してはいても、当時の日本国政府、並びに、日本軍が、日本国籍を有する日本国民であった朝鮮の女性達を慰安婦として組織的に強制連行した歴史的な事実はありません。慰安婦問題の本質とは、事実の有無が争われているのであり、この問題は、事実認定を抜きにしては解決し得ないのです。補償問題となるならば、当然に個別具体的に被害が確定されねばならず、日本国政府は、むしろ、同委員会の勧告を”渡りに舟”とし、韓国政府に対しては、日韓による再交渉ではなく、司法解決を提案すべきなのです。仮に、かねてより主張していたように、慰安婦問題は疑いの挟む余地のない”事実”であるならば、韓国側も、難色を示すことなく同意することでしょう。拷問禁止委員会も、司法解決こそ、最も適切かつ公平で、正当なる解決手段なのですから、日本国政府の対応を支持せざるを得ないはずです。

 同委員会は、被害者への補償や名誉回復が不十分と主張しておりますが、慰安婦問題の実像が明らかになれば、真の被害者が日本国民であることに気が付くことでしょう。冤罪を着せられ、国際社会において名誉を著しく毀損されたのですから。この点、安易な政治的妥協を選択した日本国政府にも責任があるのですから、国連委員会の勧告を名誉回復のチャンスの到来とみなし、司法解決の目指すべきと思うのです。

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