万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

新しい街づくりコンセプトの提案-お散歩空間としての再生

2019年12月03日 17時31分56秒 | 日本政治
 先日、11月24日付の日経新聞の朝刊の一面に、コンビニエンスストアが乱立する実態がトップ記事として掲載されておりました。5分も歩けば競合店が存在するエリアは50%を越え、拡大路線を続けてきた同業界も曲がり角を迎えているそうです。

 その一方で、従来の商店街の衰退は目を覆うばかりです。最近、阿佐ヶ谷駅の商店街に足を運ぶ機会があったのですが、かつての賑わいは見られず、シャッターを下ろしている商店も少なくありませんでした。都心でさえこのような有様なのですが、地方都市の事情はさらに酷く、中心部にあっても人通りがまばらな商店街も散見されます。それでは、商店街は、このまま日本国の風景から消えてしまうのでしょうか。

 この問題を考えるに当たっては、将来、人々がどのような行動様式を以って生活を送って行くのか、あるいは、望ましい生活パターンに注目してみる必要がありそうです。その点、ヒントとなるのは、健康長寿の時代を迎えつつあることです。日本国は、世界屈指の長寿国として知られており、人生100年時代とも称されています。しかしながら、平均寿命と健康寿命とには違いがあり、が「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」である後者の年齢は、男性8.84年、女性12.35年ほど前者より短くなるそうです(2016年のデータ)。両者の差をなくしてゆくことが今後の課題となるのですが、この目的のために、最近、科学的な研究成果に基づいた様々な提言がなされています。

 生活習慣病の予防策として身体機能の面から推薦されているのが、ウォーキングです。ウォーキングであれば、特別な装置を用いなくても誰にでも手軽にできますし、ハードなスポーツとは違って日常的な習慣化も期待できます。高齢者のみならず、メタボリックシンドローム等の成人病に悩むシニア層やゲームに熱中するあまりに運動不足になりがちなジュニア層の健康維持にも役立つかもしれません。つまり、全世代にとりまして、身近な健康維持方法なのです。

 もっとも、何の目的もなく、ただただひたすらに歩き続けるのは苦痛であるとする声もあります。一頃は一日に一万歩とされていましたが、実際にはそれ程多くの歩数を歩く必要はないそうです。とは申しましても、かなりの距離を要します。そこで、考えられるのが、今後、より多くの人々がウォーキングを習慣化すると仮定しますと、お散歩コースに組み込まれた空間としての街づくりはできないのか、という‘お散歩空間プラン’です。お散歩をしながらお買い物もできる、商店を見て歩ける、あるいは、一休憩できる場が設けられていれば、人々が商店街に足を運ぶ目的ともなりましょう。街づくりに健康づくりを取り入れることができれば、一石二鳥なのではないかと思うのです。

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